国連安全保障理事会(安保理)が6日、対北朝鮮制裁決議案を採択したことで、朝鮮半島情勢はさらに冷え込むものと予想される。南北関係の早期復元などは当面考えられない大変な時期になるものとみられる。今月中旬の光復節は通常重要な南北関係の展望と提言などを発表するきっかけになってきたが、今回はどのようなメッセージを盛り込めるかを予測することすら難しい局面になった。
政府は先月提案した南北軍事当局会談や離散家族再会の協議が当初定めた期限を過ぎたが、依然として有効という立場だ。遅くなっても北朝鮮が応えるなら、(南北軍事当局会談や離散家族再会の協議を)進めない理由はないということだ。しかし、北朝鮮の「火星14」型大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射に続き、今回、国連安保理の対北朝鮮制裁案が採択されたことで、これ以上これらの協議に未練を残すのは難しくなったというのが、大方の見解だ。政府当局者は「当分の間、南北関係の将来が不透明になった。8月15日の光復節に北朝鮮にどのようなメッセージを送るべきかすら困惑する」と悲観的な見通しを示した。
大統領府は、今回の対北朝鮮制裁案が満場一致で早期に安保理の合意が行われたことを評価す雰囲気だ。実際、今回の制裁決議は、先月4日に「火星14」型の試験発射が行われてから33日後に採択された。昨年1月の4回目の核実験の時は57日後に、昨年9月の5回目の核実験の時には82日後に採択されたのに比べ、はるかに迅速に行われた。今回の措置の背景には、早期に北朝鮮制裁の効果を最大化することで、北朝鮮を対話に引き出せるのではないかという希望交じりの期待があるものと見られる。しかし、大統領府もしばらく南北関係の硬直化が避けられないことについては憂慮している。
特に政府は、今回の国連の対北朝鮮制裁決議案に、北朝鮮と新たな合弁会社を設立したり、既存の合弁会社の新規投資を禁止する内容が盛り込まれたことが、今後南北間の経済交流と協力にいかなる影響を及ぼすのかに神経を尖らせている。特に南北関係が復元される過程で先に検討される可能性が高い開城(ケソン)工業団地の再稼働や金剛山(クムガンサン)観光の再開などに及ぼす法的性格などについて、検討作業に入ったという。
開城工団問題は2013年、北朝鮮の3回目の核実験以後、対北朝鮮制裁案に核・ミサイル開発に転用されうる大量の現金(バルクキャッシュ・束金)の対北朝鮮への流入を禁止する内容などが含まれ、議論になってきた。専門家の中には南北の特殊関係論を掲げ、開城工団の例外性を認めるべきと主張する人もいる。南北の特殊関係論は、憲法裁判所と大法院(最高裁)も認めた法的地位であり、これは国際法の適用を受けないということだ。一方、開城工団も制裁の例外にはなれないという主張もある。南北が独立した国連会員国であるため、南北関係も国際法の適用対象になるということだ。
しかし、安保理制裁案は、開城工団自体を問題視してはいない。代わりに、開城工団で行った個別的取引内容、例えば、特定業界の新規投資などは制裁の対象になる可能性もある。安保理は、具体的にどのようなものが制裁対象になるかを指定する権限を制裁委員会に委任している。制裁委員会は人道的目的の場合、事前に許可を受けて制裁の例外を認める権限もある。
政府はこのような問題について明確な立場を示していない。政府関係者は「法理論争を離れ、開城工団の再稼働や金剛山観光の再開問題が論議される局面は、現実的に北朝鮮の核問題の解決が軌道に乗らない限り難しい。そのような状況になれば、北朝鮮制裁も緩和されるなど、他の局面に変わるのではないだろうか」と話した。