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「不都合で一方的な同盟から透明かつ堂々とした同盟へ」

登録:2017-07-14 03:54 修正:2017-07-15 07:17
[米軍基地移転、失われた10年]「新しい韓米同盟」求める声高まる 
「住民・専門家など協議体による在韓米軍の統制が必要」

 「在韓米軍の費用-便益分析は、韓国の防衛費分担金を『ただでもらえるお金』のように扱っている」

 2013年4月、米上院軍事委員会が発行した報告書「米国の海外駐留軍支援費用と同盟国の分担」の一部分だ。報告書は第2章「在韓米軍の駐留関連費用」の「韓国の分担金の疑わしい使用」という節で、キャンプ・ハンフリー(平沢米軍基地)に1040万ドル(約120億ウォン)を投じて軍事博物館を建設し、500万ドル(約57億ウォン)をかけて製菓・製パン施設を建設する計画を批判し、「軍事建設費分担金を任務上必須的なものに使うべき」と指摘した。2つの施設の建設計画は後に撤回された。

 韓国の分担金を無駄に使う在韓米軍の行動は、米国議会でさえ俎上に上がった。しかし、いざ韓国政府は米軍の前で無能だったし、市民社会の力はまだ微弱だった。2013年には市民団体「平和と統一を求める人々」(平統人)が監査院に国防部と外交部に対する「分担金公益監査」を請求したが、却下された。韓国は年間2兆ウォン(約1990億円)に近い直接・間接費用を米国に“安保同盟”の代償として支援している。これと別に、韓国が2006年から昨年まで10年間導入した米国産兵器も36兆360億ウォン(3兆6174億円)規模で、世界1位だ。

 市民社会では著しく不公平な韓米同盟が冷戦時代のヒエラルキーから脱し、時代の変化にふさわしいモデルに変わらなければならないという声がますます高まっている。在韓米軍地位協定(SOFA・ソファ)改正も再論されている。

2013年12月に行われた韓米防衛費分担金交渉の様子=写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 「開かれた軍隊のための市民連帯」の活動家、パク・ソクチン氏は「韓国現代史で、軍部や権威主義政権は数十年間、国民を暴力で支配しており、特に在韓米軍は韓国軍以上の聖域だった」としたうえで、「市民社会が軍を民主的に統制するのは、より良い社会を実現するためのカギ」だと話した。彼は「韓国が米国に支払う最も大きな費用は、韓国の安保と平和を全面的に米国に依存する現実そのもの」だとし、「もう『米国が同盟であり、友好国との理由で不平等な関係を持続すべきなのか』と自らに問いかけてみる時が来た」と話した。

 しかし、国家間の利害関係で結ばれた同盟国の駐留軍に対する市民統制は、そう簡単なものではない。特に地球上最後の冷戦対決構図が残っている朝鮮半島と、平和憲法を根拠に国家安保を米国に頼ってきた日本にとってはなおさらだ。

 米国ボストン大学で「韓国と日本の米軍基地反対運動」をテーマに博士論文を執筆しているキム・ジョンヒョン氏は最近、ハンギョレとの電話インタビューで、「両国いずれも米国と同盟、そして米軍の駐留を“動かし難いもの”として捉えている」とし、「そのために、環境汚染や騒音など、生活に関する問題は議論できるが、米軍駐留の正当性やそれが平和に役立つかどうかなど、さらに根本的問題はなかなか議論できないのが現実」だと指摘した。韓国と日本では「米軍基地問題においては、地方自治がきちんと実現されておらず、それが当然視されるのが現実」だということだ。

2011年10月21日、韓国進歩連帯、全国女性連帯、民主労働党など政党、市民社会団体のメンバーたちが京畿道議政府地裁前で、前月24日に東豆川で発生した米軍の10代女子生徒に対する性的暴行事件を糾弾し、韓米SOFA協定改定を求めている=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 キム氏はしかし、日本の米軍基地がある沖縄県と神奈川県には住民救済運動の根が深いとし、その先例を3つの類型にまとめて紹介した。第一に、地方自治団体長の権限を活用し、米軍への供与地提供の署名を拒否したり、基地の工事を許可しない方法だ。第二に、基地の移転や再編などに反対する住民投票である。第三に、住民請願を通じた中央政府への働きかけである。キム氏は「韓米日3カ国における最上位エリート集団の戦略的・地政学的・政治的決定が、世界最強の軍隊である米軍を動かしているが、その決定による実質的かつ直接的影響を受けるのは、米軍基地周辺の地域住民という点を記憶すべきだ」と指摘した。

 これと関連し、予備役海軍中佐であるキム・ドンヨブ慶南大学極東問題研究所教授は、「市民社会が在韓米軍に対する“健全な監視者”の役割を果たすべきだ」と主張した。彼は「韓米関係は、特定の理念を共有する『価値同盟』ではなく、共同目的にむけて協力する『同盟の精神』に基づかなければならない」とし、「今の『不都合で一方的な同盟』から『透明かつ堂々とした同盟』へと変わらなければならない」と強調した。

 昨年初めて、在韓米軍環境条例制定を主導したヤン・グンソ京畿道議員は「軍と地域社会の軋轢を解決するためには、『軍官』協力から『民官軍』協力に発展していかなければならない」としたうえで、「政府と軍当局だけでなく、民間人専門家、市民団体や住民代表も参加する協議体を通じて在韓米軍に対する市民社会の統制を制度化する必要がある」と話した。

 これに先立ち、今年4月ソウルでは参加連帯、平和ネットワークなど10以上の民間団体が「在韓米軍の平沢時代、その意味と課題」をテーマに政策討論会を開いた。民主化のための弁護士会米軍問題研究委員のキム・ユジョン弁護士は主題発表で、「1966年に締結された韓米SOFAは国民意識と基本権が向上し、地方自治が活発な現実とはかけ離れている」とし、「SOFA本協定に環境権・保健権条項と韓国政府や地方自治体の米軍統制規定を新設するなど、時代に合わせて改定すべき」と話した。

チョ・イルジュン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/802421.html 韓国語原文入力:2017-07-12 15:28
訳H.J(2539字)

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