国防部の発射台追加搬入に関する報告漏れ事件に触発されたTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備問題が当分の間、“管理モード”に入る見通しだ。大統領府は、これをきっかけに環境アセスメントをはじめとする手続き的正当性を確保する一方、「THAAD配備の撤回」可能性を憂慮する米国側の説得に積極的に乗り出している。すでにTHAAD発射台の一部が朝鮮半島に展開され、撤回が現実的に困難だとしても、この問題に対する最終決定を下す前に、できるだけ十分な時間を置いて綿密に分析するためと見られる。
韓米首脳会談の日程と議題を調整するため訪米したチョン・ウィヨン国家安保室長は2日(現地時間)の帰国直前、バージニア州のダレス国際空港で記者団に、「THAADに対する韓国政府の基本立場を説明し、数日の間に起きた状況についても、誤解がないように(米国側に)詳しく説明した」と明らかにした。チョン室長は「ホワイトハウスのハーバート・マクマスター国家安全保障会議補佐官もこれに対して感謝し、理解を示した」と伝えた。
チョン室長は「米国側から環境アセスメントに対する憂慮はなかったか」という質問に対し、「そのような憂慮はなかった。韓国政府が取る措置には、ある程度時間がかかるという点についても説明し、(米国は)それを十分に理解するという反応だった」と答えた。
実際、韓国内のTHAAD装備搬入の報告漏れ問題などと関連し、米議会では否定的な気流があることも事実だが、米行政府内では韓国内のTHAAD配備関連手続きにかなりの時間が必要だという点などを理解するという立場を示しているという。ただし、米行政部は韓国内での議論を経た後に出た結論が「THAAD配備の撤回」である可能性については神経を尖らせていると見られる。
これまで文大統領はTHAAD問題と関連し、次の2点を強調してきた。第一に、手続き的正当性を確保することと、第二に、国際的協議に向け努力することだ。手続き的正当性は国内的な問題で、文大統領は環境アセスメントと対国民説明・国会同意過程などに言及した。国際的な協議を強調するのは、前政権が中国に対する説得過程もなく、一方的にTHAAD配備を加速化したことに対する批判だ。
文大統領選挙陣営出身のある外交・安保専門家は4日、「今のところ、環境アセスメントを含め、THAAD配備の手続き的正当性を踏んでいく一方、米中など関連当事国との説得・協議過程を経て、その結果をもとに(THAADを配備するかどうかに対する)最終判断を下すというのが大統領府の考えとみられる」と指摘した。 大統領府関係者は「THAADを配備することになっても、国内の反対世論をなだめ、米国の威信を守ると共に、中国には最大限の理解を求める過程が必要ではないか」と話した。