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海洋警察への捜査妨害しセウォル号実質所有者は“生中継”捜査…誰が主導したのか

登録:2017-05-31 03:57 修正:2017-05-31 16:39
元検察関係者「仁川地検に任せることにしたが 
指揮部署を最高検察庁刑事部ではなく  
反腐敗部に決めて不思議に思った」 
 
ユ・ビョンオン元会長の家宅捜査は生中継まで 
セウォル号7時間疑惑から目をそらせるため 
朴前大統領が「惨事の主犯」と名指し 
検察、地方選挙2日前に国民に向けて謝罪 
軍まで動員して会議も 
政治的意図や“上部”の介入も明らかにすべき
2014年5月21日午後、セウォル号の実所有者のユ・ビョンオン元セモグループ会長(73)を検挙するための検察の逮捕班が京畿道安城市宝蓋面のキリスト教福音浸礼会(救援派)錦繍院内部に入っている=安城/リュ・ウジョン記者//ハンギョレ新聞社

 黄教安(ファン・ギョアン)長官など、法務部がセウォル号の海洋警察捜査に外圧をかけた疑惑が持ち上がると共に、2014年の検察の捜査当時、ユ・ビョンオン元セモグループ会長一家の捜査指揮を最高検察庁反腐敗部(旧最高検察庁中央捜査部)が担当するようになった経緯の究明を求める声も高まっている。法務部と検察首脳部は当時、救助に失敗した海洋警察など、公権力を狙った捜査を遅延させた反面、ユ元会長については大々的かつ公開的な家宅捜索を行い、軍まで動員するなど、朴槿恵(パク・クネ)政権の“政治的意図”を反映しているとの批判を受けた。検察が、セウォル号事件全般を再捜査に着手した場合、このような決定過程に大統領府や法務部による介入の有無も明らかにしなければならないものとみられる。

セウォル号事件関連の捜査体系(2014年)//ハンギョレ新聞社

当時の捜査状況に詳しい元検察関係者は30日、「セウォル号事件が発生した直後、キム・ジンテ検察総長がユ・ビョンオン一家の捜査を(清海鎮海運の管轄にある)仁川(インチョン)地検に任せることにしたが、指揮部署を最高検察庁刑事部ではなく、反腐敗部(旧中央捜査部)に決めたと聞いて不思議に思った」と話した。彼は「大型惨事だった三豊百貨店や聖水大橋崩壊事件などもすべて最高検察庁刑事部が指揮したため、反腐敗部に任せたのは極めて異例だった。再捜査をするならば、大統領府や法務部の関与の有無も明らかにすべきだ」と指摘した。当時、キム・ジンテ検察総長もこの捜査を「豚の頭捜査」(ユ・ビョンオン元会長を政治的いけにえにしようとする捜査)と呼んでいたという。

 検察の他の関係者は「中央捜査部(反腐敗部)が指揮すると、自然に注目度が上がる。当時は、朴槿恵大統領の当日の行動と関連し、多くの疑惑が持ち上がっている状況で、視線を外部に向けさせるためではないかと思った」と話した。ただ、当時、最高検察庁関係者は「捜査初期からユ・ビョンオンが犯したとされる背任や横領または賄賂などに焦点が当てられていたため、反腐敗部が指揮を担当するようになった側面もある」と話した。

 実際に検察のユ・ビョンオン捜査は大騒ぎで行われた。家宅捜索をリアルタイムでマスコミに知らせ、現場を生中継する場面もあった。朴前大統領も、捜査の進行中にユ・ビョンオン一家をセウォル号事件の主犯と名指しし、同年5月27日の閣議で「惨事の根本的な原因であるユ・ビョンオン一家が現在の法を愚弄し、国民の公憤を招いている」と話した。さらに、6月10日には、ユ・ビョンオンを迅速に検挙するよう指示し、最高検察庁の反腐敗部は同日、軍(合参)や警察、安全行政部の関係者たちまで最高検察庁庁舍に呼び集めて緊急会議を開いた。検察は6・4地方選挙の2日前、異例にも「ユ・ビョンオンなどをまだ司法処理できず、申し訳ない」という内容の国民向け謝罪文まで発表した。その間、光州(クァンジュ)地検が進めていた海洋警察など公権力の救助失敗に対する捜査は“上部”の介入で成果を上げられなかった。

特別取材チーム(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/796886.html 韓国語原文入力:2017-05-30 21:06
訳H.J(1770字)

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