外部の専門家で構成された「国民年金公団株式議決権行使専門委員会(専門委)」の要請にもかかわらず、政府が国民年金公団のサムスン合併の賛否を専門委に上程しなかったという証言が出た。国民年金公団が専門委で議論しなかった理由が「大統領府の意向だと聞いた」という供述もあった。
ソウル中央地裁刑事22部(裁判長キム・セユン)の審理で29日に開かれた朴槿恵(パク・クネ)前大統領に対する第3回公判で、チュ・ジンヒョン元韓火投資証券代表とキム・ソンミン元国民年金公団専門委員長の証人尋問が行われた。キム元委員長は裁判で、「(サムスンの)合併比率が国民年金公団の株主価値を毀損しており、SK合併も専門委で議論したため、社会的に敏感な事案である点を考慮し、専門委員会で審議・議決する案件だと判断した」とし、「(専門委員会が開かれなかったことで)専門委員の中には、委員会の権威が深刻に毀損されたとして、委員を辞めるという人もいた」と話した。サムスン物産株式の11.21%、第一毛織株式の4.84%を保有している国民年金公団の意見は、両社が合併できるかどうかに影響を与えかねない事案だった。しかし、保健福祉部と国民年金公団は、キム元専門委員長が求めた専門委員会の開催を受け入れず、2015年7月10日、内部職員で構成された投資委員会がサムスンの合併賛成を決定した。
国内機関投資者のうち唯一、サムスン合併に反対意見を出したチュ・ジンヒョン元韓火投資証券代表は、国民年金公団の議論する過程で大統領府が介入したと主張した。チュ元代表は「パク・チャンギュン中央大学教授(当時専門委員)に(投資委員会だけが行われた理由を)訊いたところ、『大統領府の意向だそうです』と言われた」と証言した。チュ元代表は、特検調査でも「サムスンのために国民年金公団を動かせるのは大統領府しかありませんが、マスコミ報道をみると、サムスンの乗馬支援などが、見返りとして大統領府が得たものではないでしょうか」と供述した。
一方、同日チェ・スンシル氏と共に法廷に出席した朴前大統領は、チェ氏に目もくれず、事件記録を調べたり、ユ・ヨンハ弁護士と活発に意見を交わした。朴前大統領の弁護人たちはチュ元代表に「特検がアン・ジョンボム元大統領府政策調整秘書官をサムスンからの賄賂で起訴しなかった理由を知っているか」など、関連のない質問をして裁判長の制止を受けた。