大統領府が国家人権委員会の勧告の受け入れ率を高めるよう政府各省庁に指示した。前政権時代になくなった人権委員会の大統領特別報告も復活する。李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)政権を経て萎縮した人権委員会の機能を正常化し、政府の放置と無関心で色あせてきた人権の価値と地位を回復させるための措置だ。
チョ・グク大統領府民政首席は25日、春秋館ブリーフィングで「文在寅(ムン・ジェイン)大統領は国家の人権軽視や侵害を積極的に正し、基本的人権が実現される国政を繰り広げていくため、人権委員会の大統領特別報告を復活させるよう指示した」と明らかにした。国家人権委員会法に明文化された大統領特別報告は、金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代には定例的に開かれたが、李明博政権が登場してからは形だけのものになり、朴槿恵政権発足後は一度も開かれなかった。チョ首席は「文大統領は定例的に人権委員会の特別報告を聴取し、人権委員会が人権擁護を先導する役割を果たしてくれることを期待している」と述べた。
文大統領はまた、人権委員会から改善勧告を受けた各政府機関に勧告受け入れ率を高めるよう指示したと、チョ首席は明らかにした。人権委員会の機能の実効性を示す勧告受け入れ率は、金大中・盧武鉉政権時代には90%前後だったが、李明博政権2年目の2009年に67%まで急落した後、以後上昇し、2015年には98.8%に達した。しかし、勧告の核心的な事項は排除し、付加的事項だけを受け入れる“うわべだけの受け入れ”がほとんどという批判を受けた。チョ首席は「付加事項だけを一部受け入れるのは事実上勧告を拒否することに他ならない」とし、「このような“うわべだけの受け入れ”の実態を根絶するというのが文大統領の指示」だと強調した。前政権時代、政府機関に蔓延していた勧告の受け入れ拒否事由及び受け入れ如何を返信しなかったり、履行計画を明らかにしない行動についても「文大統領は厳しく根絶するよう指示した」とチヨ首席は付け加えた。大統領府は、人権委員会の勧告の受け入れ率を高めるため、国家機関と機関長の評価項目に「人権委員会の勧告の受け入れ指数」を導入する案など、様々な処置を検討することにした。
人権専門家らは歓迎の意を示した。淑明女子大法学科のホン・ソンス教授は、フェイスブックの書き込みで「盧武鉉政権時代に人権委員会がイラク派兵反対意見などで窮地に追い込まれた時、盧大統領の『人権委員会はそのようなことのために存在する』との一言で、すべての問題が片付いた」としたうえで、「文大統領の人権委員会と関連した指示事項は一言でいうと『これから政府省庁は、人権委員会が勧告すれば、大体の場合受け入れるべき』ということだと思われる』とし、高く評価した。