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「全教組再合法化」答はすでに出ている

登録:2017-05-25 23:28 修正:2017-05-26 07:40
「労組ではないとの通知」職権取消すれば終了 
法的判断・国会立法は不要だが 
イ・ナクヨン首相候補「最高裁判決待つ」 
「任期序盤に解決」公約から一歩下がる 
 
解職者の労組加入禁止は3国家のみ 
朴槿恵政権で問題視したのはわずか9人
全国教職員労働組合の専任者が3月14日午後、ソウル鍾路区の政府ソウル庁舎前で政府の法外労組通知の後続措置に抗議し断髪式をしている。全教組の法外労組通知以後、昨年34人の教師が解任されたのに続き今年は16人が重懲戒を受けている=イ・ジョンヨン先任記者//ハンギョレ新聞社

 「議論したり具体的に協議したことはない」。キム・スヒョン大統領府社会首席秘書官は22日、全国教職員労働組合(全教組)の法外労組通知撤回についての質問にこのように答えた。また、イ・ナクヨン首相候補者は25日、国会人事聴聞会で「全教組の合法化をどう思うか」という質問に「(最高)裁判所の判決を待って葛藤を緩和する方案を見つけなければならない」と明らかにした。

 こうした発言は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が大統領候補時期だった4月に「任期序盤に(全教組の)法外労組通知を撤回する」と明らかにしたことからは一歩後退したように見える。これに対し、教育界と労働界では文在寅政府が保守層中心の「反全教組」世論の顔色を伺っているのではないかとの指摘が出ている。さらには不必要な論議を遮断するために、当初の約束どおりこの問題をあっさりと突破すれば良いという注文を出している。

 全教組の法外労組問題を解く最も簡単な解決法は分かっている。雇用労働部が「労組ではない通知」を職権で取消することだ。行政府の行政処分なので、司法府の判断も、国会の立法も待つ法的義務はない。2015年5月、憲法裁判所も「教員でない人が教員労組に一部含まれているとはいっても、これを理由に法外労組にするか否かは行政当局の裁量的判断にかかっている」と明らかにした。施行令と長官告示を改定しなければならなかった歴史教科書国定化の撤回より手続きは簡素だ。

 政府の決定のみで問題の解決が可能だということには異論がほぼない。実際、李明博(イ・ミョンバク)政府も2010年と2012年に全教組に解雇者組合員規約を改正しろと命令したが、法外労組だとは通知しなかった。全教組の法的地位は李明博政府の時にも維持された。

 全教組が法外労組になったのは朴槿恵(パク・クネ)政府になってからだ。2013年10月24日、雇用部は全教組に「労組とみなさない」という公文書をファックスで送った。解職者を組合員に認定した全教組規約(1999年制定)が、労組加入資格を『在職中の教員』に限定した教員労組法2条に反するという理由を新たに突きつけた。6万人の組合員のうち、雇用部が問題にした解雇者は僅か9人だった。

 だが、国際教員団体連盟(EI)が2015年7月に58加盟国を対象にアンケート調査した結果、解職者の教員労組加入を禁止している国家は韓国、リトアニア、リベリアの3カ国だけだった。これに対し国連傘下の国際労働機構(ILO)など国際社会がこの条項を修正するよう粘り強く要求してきた。

 朴槿恵政府の法外労組通知以後、全教組と雇用部は全教組の法的地位をめぐり4年にわたり法廷攻防を続けている。4月、文在寅大統領候補陣営はハンギョレとの電話で、教育部が当時全教組専任者の重懲戒を一方的に押しつけたことを批判して「ソウル行政裁判所、ソウル高裁、憲法裁判所から出た結論が違うので、最高裁の最終判断を待たなければならない」と明らかにしたことがある。当時は、教育部の重懲戒試図と関連して最高裁の判断を見守る必要があると指摘したことで、全教組の法外労組撤回を最高裁判決以後に先送りするという意味ではなかった。

 したがって、法外労組問題と関連しては文在寅政府が今すぐにでも朴槿恵政府時の“法外労組”処分を取り消す必要があるという指摘が多い。こうした場合、現在最高裁に係留中の法廷攻防も中断される。原告である全教組が訴訟を取り下げれば、審理事件自体が消える。全教組が訴訟を維持しても、法外労組通知が撤回されたので訴訟の実益がないと最高裁は却下判断を下すためだ。

 政府と国会は、その後に国際基準に合わせて教員労組法2条を改正する手続きに入れば良い。これは1996年経済協力開発機構(OECD)に加盟する時、金泳三(キム・ヨンサム)政府が約束した「解雇・失業者の労組加入許容」と「教員の団結権保障」をついに履行することでもある。共に民主党のホン・ヨンピョ議員と正義党のイ・ジョンミ議員がすでに改正案を発議した状態だ。労働法の専門家であるキム・ソンス弁護士は「全教組法外労組問題は、文在寅政府が過去の政府の誤りを正せばすぐにでも解決できる問題」として政府の決断を促した。

チョン・ウンジュ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/796321.html 韓国語原文入力:2017-05-25 22:08
訳J.S(2123字)

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