統一部のイ・ドクヘン報道官は22日、「民間交流など、南北関係の主要事案については、国際社会の北朝鮮制裁の枠組みを損なわない範囲内で、柔軟に検討していくつもり」だと明らかにした。文在寅(ムン・ジェイン)大統領就任を前後して対北朝鮮人道支援団体の北朝鮮との接触承認申請が相次いでいる中で出た発言であることから、注目を集めている。李明博(イ・ミョンバク)・朴槿恵(パク・クネ)政権を経て、閉塞していた南北関係に民間交流を通じて風穴を開けることができるかが注目される。
イ報道官は同日午前、定例記者会見で「現在の南北関係の断絶は、朝鮮半島の安定などの側面でも望ましくないと判断している」としてこのように述べた。
新しい政府の発足で南北関係が良くなるだろうという期待感が高まるにつれ、今月2日、「我が民族助け合い運動」を皮切りに対北朝鮮人道支援団体や社会文化交流団体などの対北朝鮮接触申請が相次いでいる。これとは別に対北朝鮮人道支援団体連帯体の「対北朝鮮協力民間団体協議会」(北民協・会長イ・ジェフン)は今月10日、対北朝鮮人道支援全般にわたる協議に向けて、北朝鮮側の民族和解協議会(民和協)と連絡を取るようにしてほしいとして「間接接触申請」を出した状態だ。
これと関連してチョン・ウィヨン大統領府国家安保室長は同日、国会で野党の院内代表たちと会った後、南北対話と関連して記者団に「様々な条件上、本格的な対話を現段階で直ちに再開することはできないが、連絡通信網、板門店(パンムンジョム)ホットラインのようなものは早く再開すべきだと思う」と述べた。チョン室長はまた、「徐々に実務レベルから対話を試みてみる必要がある。人的交流や社会・文化・スポーツ交流といったものは、北朝鮮制裁体制を損なわない範囲内で進めていけると考えている。慎重に検討してみる必要がある」と話した。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、当選を前後に南北関係改善をもとに周りの国家を説得することで、北朝鮮の核・ミサイル問題を解決していく意志を再三表明してきた。共に民主党選挙対策委員会と民主研究院が今月17日に共同で完成した「新政府の国政環境と国政運営の方向」報告書も「民間の対北朝鮮協力交流などに対しては、南北関係の進展によって開放的な態度で臨むべきだ」とし、交流拡大を求めた。
仁済大学のキム・ヨンチョル教授は「南北関係が途絶えた状況で、新政府にできる最小限の対北朝鮮支援を国際規範に合わせて行えばいい」と指摘した。キム教授は「対北朝鮮制裁と関連した国際的合意は、国連安全保障理事会制裁にそのまま盛り込まれている」とし、「安保理制裁を基準にして許されることから、スピードを調整しながら段階的に許容していった方がいいだろう」と話した。
一方、チョン・ウィヨン安保室長は記者団に「国家安保室で国防改革とTHAAD(高高度防衛ミサイル)問題、また、韓米同盟をいかに強化していくかについてTF(タスクフォース)を構成することを検討している」と述べた。