登録 : 2017.05.16 13:48 修正 : 2017.05.20 06:13

昨年7月「幸福度1位」ブータン訪問後、フェイスブックに掲載 
「国民を幸せにできなければ政府の存在価値がない」 
ブータン保健省長官に「幸福政策導入」の約束も 
当選確定後、ブータン首相と電話し関心を表明

昨年7月、ブータンで会った文在寅大統領とブータンのツェリン・トブゲ首相=文在寅大統領のフェイスブック貯蔵//ハンギョレ新聞社
 文在寅大統領はブータンの「幸福政策」を導入するのか? ブータンと文大統領の格別の縁を知っている人たちが、新政府に期待を交えて投げかける質問だ。

 昨年7月、当時まだ大統領選候補見込みであった文大統領は、本格的な大統領選レースを控えて、考えを整理する旅行に出た。文大統領が選んだ旅行地は、ネパールとブータンだった。彼はブータンに2週間滞在しながら、ブータンのツェリン・トブゲ首相とカルマ・ウラ国民幸福委員長に会った。文大統領は彼らからブータンの幸福政策を紹介され、深い印象を受けたという。文大統領は帰国し、自分のフェイスブックに文を掲載した。「政府が国民を幸せにできなければ、政府の存在価値がない」。ブータン法典にある文だった。

 それで終わりではなかった。昨年10月、ブータンのタンディン・ワンチュク保健省長官が「答礼訪問」の形で韓国を訪れ、文大統領に会った。釜山ロッテホテルで開かれた二人の対話に同席した「韓・ブータン友好協会長」のウィリアム・リー氏は「文大統領が『民主党が政権を執ればブータンの幸福政策を導入する』とその場で話した」と伝えた。

昨年7月、ブータンで会った文在寅大統領とブータンのツェリン・トブゲ首相=文在寅大統領のフェイスブック貯蔵//ハンギョレ新聞社

 韓国とブータンは国交を結んでいるが、特に大使館を置いていなかった。代わりに「韓・ブータン友好協会」が両国の架け橋の役割をしている。事業家や芸術人など1200人余りが会員だが、文大統領は昨年10月、政治家の中で初めて同協会に加入した。

 特別な縁は最近まで続いた。9日午前零時頃に当選が確定した直後、文大統領と初めて電話で会話を交わした外国の首班はツェリン・トブゲ首相だった。非公式対話ではあったが、伝統的な大国を差し置いて小国の首脳と先に祝辞を交わしたのは異例のことだ。

 文大統領がブータンに関心を持つ理由は明らかだ。ブータンは世界で最も幸せな国として知られている。ブータンは、中国とインドの間にある仏教国家で、韓国の半分の面積に約75万人が暮らす小国だ。しかし、英国の新経済財団(NEF)が2010年に「国民の97%が幸せな国」(全世界幸福指数1位)と発表し、世の中を驚かせた国でもある。

 その背景には、2008年に国王直属で作られたブータンの「国民総幸福委員会」がある。ブータンは最貧国だった1972年から中進国並みの成長を遂げた今まで、国内総生産(GDP)ではなく、国民総幸福(GNH・Gross National Happiness)を国政指標としている。一国の発展は国民がどれほど幸せかによって決定されるというのがブータンの国政哲学だ。

昨年10月、釜山で一堂に会した文在寅大統領とブータンのタンディン・ワンチュク保健省長官(左)、韓・ブータン友好協会のウィリアム・リー会長=ウィリアム・リー提供//ハンギョレ新聞社

 これに合わせて国民総幸福増進に向けた5カ年計画を周期的に樹立して執行してきた。「幸福政策」の基本は、公平でいて高い水準の経済成長を遂げ▽隣人・動物・自然まで幸せであるべきというレベルで生態系を保全し▽進歩的社会でも持続可能であるよう、伝統的価値と制度を進化させ▽大衆の参加と要求をちゃんと受け入れ、責任を負う効率的かつ透明な政府を構成するなど、4つの軸で行われている。

 これに基づき9つの領域、33の指標を作り、国民幸福指数を測定し、これを政策に反映する。9つの領域は、生活水準、心理的健康(well-being)、健康、時間の使用、教育、文化的多様性、良い政府、共同体の活力、生態学的多様性と回復力などだ。このような要素があまねく整ってこそ幸せでありうるということだ。以降、国民幸福調査で「幸せでない状態」だと明らかになった人々に焦点を置き、それに合わせた政策を展開する。

 1907年に統一王国を樹立したブータンは元来絶対君主国だったが、第4代国王のジグミ・シンゲ・ワンチュクが「一人が国の運命を決定するのは非常に危険なことなので、国民が自らの力で決定するのが良い」とし、君主制を廃止して民主的立憲君主制に転換した。「国民幸福指数」を導入したのもワンチュク王だった。その後、幸福指数は世界的に広がっている。2006年、米国が「国民幸福指数」の概念を一部受け入れ、昨年にはタイ政府が「国民幸福指数センター」を設立し、アラブ首長国連邦もこの政策を導入してドバイ政府に幸福省長官を設けている。

昨年7月、ブータンでトレッキングをする文在寅大統領の姿=ウィリアム・リー提供//ハンギョレ新聞社

 2015年にブータンで2カ月間滞在し、幸福政策を研究して帰国し『ブータン幸福の秘密』という本を刊行したパク・ジンド忠南大学名誉教授(65)は「すでに低成長時代に入り、成長政策だけでは問題が解決されないほど深刻な格差社会になった韓国も、国民幸福を国家政策の基本理念とする時が来た」とし、「国民幸福を企画し、働き口・国家教育・農漁村など各種委員会を調整できる国民総幸福委員会を設置して国政運営の羅針盤として使用する必要がある」と提案した。

 大統領選候補出馬前の時代から文大統領がブータンの「幸福政策」に関心を示したのは明らかだが、これを新政府がどのように具現化するかはまだ明らかになってはいない。大統領府の関係者はこれと関連して「(幸福委員会の設置などについて)まだ知らされていることはない」と話した。文大統領の選挙陣営で働いた中心の関係者は「政策決定過程で、個人的利益と効率だけを計算するのを超えて社会的価値、つまり『幸福』を念頭に置こうというのは経済学的にも意味がある」と評価した。「成長」ではなく「幸福」が政策の基本方向と位置づけられることは、韓国でも可能だろうか。

チョ・ヒョン宗教専門記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2017-05-16 00:42
http://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/794880.html 訳M.C(2721字)

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