当選直後から任期が始まる新大統領の就任場所と方式に関心が集まっている。前職大統領の罷免で長期間続いた国政空白を終わらせることが急務だという共感の下で、各候補者サイドでは就任式の規模を大幅に縮小したり延期または省略する案を検討している。
大統領就任式は、新政権の国政哲学を内外に知らせる重要な行事だ。1987年の直選制改憲以後、大統領就任式は毎回2月25日午前にソウル汝矣島(ヨイド)の国会議事堂前広場で開かれてきた。正常な状況ならば、大統領には当選後2カ月間の準備期間があるが、今回は状況が違う。10日午前に中央選挙管理委員長が当選者の確定を宣言すれば、直ちに大統領の任期が始まる。
共に民主党の文在寅(ムン・ジェイン)大統領候補側では「もう勝ったかのように行動している」という批判を憂慮して「まだ何も決まっていない」として言葉を慎んでいるが、国会で簡単な就任宣誓をする線で意見が集約されている。民主党の選挙対策委員会の主要な関係者は「外賓招請や舞台設置など行事を準備する物理的な時間が迫っているので、当面は大々的な就任式をすることが現実的に難しい」と話した。
ただし文候補側では就任式をまったく省略するか否かについては留保の立場を示している。主要国家の首脳と外交使節が一堂に集まる就任式は、それ自体が重要な外交現場なので、就任式を省略することは得より損が多いという判断もあるためだ。これに対し文候補側は、1、2カ月の余裕を置いて「正式就任式」を行う案も検討している。文候補が「光化門(クァンファムン)大統領」になると宣言しただけに、通常の国会での就任式ではなく「光化門広場就任式」をしようという案も議論されている。
国民の党の安哲秀(アン・チョルス)候補は「今は就任式をする時間的余裕がない」として、別途の就任行事は行わないと明らかにした。国会で就任宣誓をした後、直ちに大統領府での執務に突入するという構想だ。安候補はこの日午前、ソウル汝矣島の党事務所で記者たちと会い「今最初にしなければならないことは、競争した候補たちと電話で話し、各政党の代表に協調を求め、協力政治の枠組みを作ること」として「緊急3大懸案の安保、外交、経済、特に若者失業問題を同時に解決できるよう早急にチームを組んで積極的に推進する」と明らかにした。
「庶民大統領」を標ぼうした自由韓国党の洪準杓(ホン・ジュンピョ)候補は、就任式なしですぐに国政運営に突入し、3カ月後の今年の光復節にソウル光化門で「庶民100万人を迎えて」延期した就任式を行うと公言した。また正義党の沈相ジョン(シム・サンジョン)候補は、セウォル号遺族、非正規労働者、ワーキングマザー、就職活動学生、性マイノリティーを国会に招請して共に行う就任式を構想している。就任式後には光化門広場に行き、市民と対話して国政構想を明らかにする大討論会を開く計画だ。正しい政党の劉承ミン(ユ・スンミン)候補側は、就任式を別途開くかはまだ決めていないと話した。