本文に移動

得票率は?逆転ドラマの可能性は?…大統領選挙の4大観戦ポイント

登録:2017-05-09 04:52 修正:2017-05-09 07:24
共に民主党の文在寅候補が大統領選を翌日に控えた今月8日午後、ソウル光化門広場で最後の遊説をしながら支持を訴えている=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

1.文在寅は50%を越えられるか…5者構図・所信投票も増え楽観できない

1987年以降、過半を超えたのは朴槿恵候補が唯一 
政権交代の安堵感に票が分散 
終盤、地域構図もよみがえる 
 
専門家「全羅道で70%獲得しなければ過半確保できない」 
共に民主党「隠れた5%が結集すれば可能」

 大統領選挙の投票日を翌日に控えた8日、共に民主党の文在寅(ムン・ジェイン)候補側の視線は「当選の可否」を超えて「過半の得票」に向かっている。得票率が50%を超えなければ、与小野大の局面で国政運営の動力を確保するのが難しく、今後の連立や協治をめぐる交渉の過程で優位に立てないからだ。

 文在寅候補は同日、最後の国民向け記者会見で「奇跡の投票率、圧倒的得票率が、大韓民国の新たな道を切り開く力」だとし、「国民の偉大さを信じる」と述べた。文候補は最近、現場遊説でも「50%を超えられるか否かが、文在寅の得票率が関心事」だとし、過半得票率を直接言及し始めた。

 しかし、過半は容易には到達できない目標だ。まず、対決構図そのものが困難を強いている。共に民主党関係者は「前回の大統領選挙当時、文候補が48%を得たが、その時は2者構図だった」とし、「多者構図それも5者構図で行われる選挙で過半を制するのはかなり困難である」と話した。実際、1987年の大統領直接選挙への改憲後に行なわれた歴代大統領選挙で、過半を超える得票をしたのは、第18代大統領選挙当時のセヌリ党候補だった朴槿恵(パク・クネ)(51.55%)前大統領が唯一だった。第13代の盧泰愚(36.64%)、第14代の金泳三(キム・ヨンサム)(41.96%)、第15代の金大中(キム・デジュン)(40.27%)、第16代盧武鉉(ノ・ムヒョン)(48.91%)、第17代李明博(イ・ミョンバク)(48.67%)候補など、いずれも50%以下の得票率で大統領に当選した。

 「戦略投票」ではなく、「所信投票」を行うという流れが形成されていることも過半得票を難しくする要因だ。ウィンジコリアのパク・シヨン副代表は「文在寅候補の当選が確実視されるにつれ、政権交代を望む人たちの間で安堵感が大きくなる一方、沈相ジョン(シム・サンジョン)、劉承ミン(ユ・スンミン)候補がテレビ討論会で善戦するのを見て、所信投票する人が増えている」と話した。

 また、最近の世論調査の流れからすると、地域構図が微かながらもよみがえっている。パク副代表は「釜山(プサン)・慶尚南道では文候補が優位に立っているが、最近は劉承ミン候補が善戦し、文候補の基盤を切り崩している傾向がある」と指摘した。彼はまた、「文候補が過半を制するためには、全羅道で70%以上を得票しなければならないが、現実的に困難な数値」だと話した。

 しかし、共に民主党側は「隠れた5%」を見つけ出せば、50%以上の得票も不可能ではないと見ている。党のある関係者は「結局、文候補の過半得票率達成のカギは、投票率と支持層の結集にある」とし、「このため、9日夕方8時まで『圧倒的な(得票率での)政権交代』を訴える計画」だと明らかにした。

キム・ウィギョム先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

2.安哲秀と洪準杓の“超接戦”…最後に笑うのは?

洪候補陣営「シルバークロス越えてゴールデン・クロス」 
散らばった保守票の回帰に期待 
 
安候補陣営「文と超接戦」 
「安旋風は再び巻き起こっている」浮動層の結集に望みをかける

 今月8日、自由韓国党の洪準杓(ホン・ジュンピョ)候補と国民の党の安哲秀(アン・チョルス)候補陣営はいずれも、1週間前に実施した最後の世論調査で明らかになった「1強(文在寅)2中(洪準杓・安哲秀候補)」の構図は、1週間でひっくり返ったと主張した。2人とも「自分が1位になる」ということだ。

自由韓国党の洪準杓候補が5月2日午後、国会議事堂前の階段で行われた「大韓民国安保団体総連合合同支持宣言」に出席した=イ・ジョンウ先任記者//ハンギョレ新聞社

 最後の世論調査で、安候補をリードする一部世論調査の結果を確認した洪候補陣営は同日、独自の世論調査と形勢分析などを根拠に、共に民主党の文在寅候補に追いついたか、リードし始めたと主張した。安候補を上回る「シルバー・クロス」に続いて文候補まで追い越す「ゴールデン・クロス」を成し遂げたということだ。特に、洪候補側は選挙後半に出た文候補側の“暴言”が慶尚道と保守層有権者の集結の触媒となっていると分析した。文候補側のイ・ヘチャン共同選挙対策委員長の「保守壊滅」発言やムン・ヨンシク元偽ニュース対策団長の「非人倫集団の結集」発言が、投票をためらっていた保守派有権者の心に火をつけたということだ。自由韓国党のイ・チョルウ総括選挙対策本部長は「洪候補が39%を得票し、文候補を2%ほどリードして勝利するだろう」と自信をのぞかせた。激しい保守・進歩対決の様相を帯びているが、文候補が国民の党の安哲秀候補と正義党の沈相ジョン候補に奪われる進歩票に比べ、洪候補が安候補と正しい政党の劉承ミン候補に奪われる保守票が少ないという計算だ。洪候補陣営の関係者は、「結局、投票場に行くと有権者たちの死票心理が強く働くことになる。投票場に入った瞬間、安哲秀・劉承ミン候補に流れた保守票の多くが必ず(洪候補に)戻ってくる」と話した。

国民の党の安哲秀候補が選挙運動の最終日の今月8日午後、大田中区中央路で有権者に支持を訴えている=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 安哲秀候補側も選挙終盤、安候補の支持が回復し、3月末~4月初めの「両強構図」が最近復元され、8日には安候補と文在寅候補の間の「ゴールデン・クロス」を超えて“優勢”が定着したと評価している。文候補は支持率が40%台のボックス圏に閉じ込められている中、全羅道で(支持率が)下落しており、特に文候補を支持した20~30代の有権者たちが安哲秀・沈相ジョン・劉承ミン候補に分散されているという主張だ。これと同時に洪準杓候補の場合、相次ぐ暴言などで大邱(テグ)・慶尚北道などで支持率が落ちており、保守の票心も安候補に再び集結していると、安候補側は見ている。特に、安候補が「歩いて国民の中で」遊説を始めてから、再び「安旋風」が巻き起こっているという説明だ。

 安候補側はそれによって、今回の大統領選挙が超接戦で「計家」(囲碁を終えた後、勝負をつけるため、家の数を数えること)の戦いになるだろうと主張する。ソン・クムジュ選挙対策委員会首席代弁人は「世代別投票率と留保・浮動層の分析を通じて状況を予測した結果、選挙運動の最終日まで安候補と文候補の間は超接戦を繰り広げている」、「勝負を決める留保・浮動層の票心は結局、安候補を味方するだろう」と話した。

キム・ナムイル、ソン・ギョンファ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

3.「進歩の夢」沈相ジョン、10%突破なるか

TV討論での大活躍で期待高まる 
「支持者らが大勢論に走るのではないかと憂慮」

 1987年の直接選挙制度導入以来、大統領選挙で進歩政党が収めた最高成績は2002年の民主労働党のクォン・ヨンギル候補の3.9%(95万7148票)だった。正義党の沈相ジョン候補は、今回の大統領選挙に出馬を宣言する際、目標値を5%に定めた。昨年の総選挙で正義党が得た政党得票率7.2%にも及ばない数値だ。総選挙では政党の得票率によって比例代表の議席が割り当てられるが、大統領選挙では勝者がたった1人だけのため「死票防止心理」が強く働く。他の政党に比べて執権可能性が低い院内6議席の少数政党にとっては、大統領選挙での5%の得票が決して楽観視できない夢だった理由だ。

正義党の沈相ジョン候補が今月8日昼、ソウル新村の歩行者天国で開かれた「ろうそく市民と共にする12時間、フィリバスキング長時間遊説」で演説を終えた後、市民たちと抱き合っている=キム・テヒョン記者//ハンギョレ新聞社

 しかし、公式選挙運動に突入してから、正義党は異変を期待している。テレビ討論過程で沈候補が他の候補たちを圧倒して勢いに乗っており、当初の目標値5%を超えて10%の得票も可能なのではないかと囁かれている。シム候補は「国道で信号に止められ、大型車に道を譲っていたのに、今は高速道路にのってスピードを出している」状況だと自信をのぞかせた。

 沈候補が善戦すれば正義党は今後共同政権の構成過程でかなりの影響力を行使できる。比例代表制の強化と決選投票制の導入などを要求し、政治改革をリードすることもできる。10%を得票すれば、法定選挙費用の半分を国庫で補てんされるため、さらに魅力的な目標だ。

 正義党内部には緊張感が漂っている。沈候補は同日、ソウル新村(シンチョン)で開かれた最後の長時間遊説で「私たちが弱小政党だから、土壇場でろうそくの熱望が矮小化するのではないか、沈相ジョンを支持する人が大勢に従うのではないかと心配している」として不安感を示した。パク・ウォンソク公報団長はハンギョレとの電話インタビューで「流れからして、沈候補支持率が二桁の入り口に差し掛かっていると見ている。 死票防止心理に歯止めをかけると共に、新村で繰り広げている12時間に及ぶ遊説をSNSで拡散し、切実に一票を訴える計画だ」と話した。

キム・テギュ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

4.劉承ミンの終盤の跳躍どこまで…

正しい政党からの離党事態が災い転じて福となす 
「選挙戦終盤で支持率驚くほど上昇」

 一週間前まで、正しい政党の劉承ミン候補は所属議員らの集団離党で絶体絶命の危機を迎えていた。しかし、今は劉候補側は離党事態がむしろ災い転じて福となり、支持者たちを結集させていると見て、期待をかけている。

正しい政党の劉承ミン候補が5月8日午後、ソウル城北区安岩駅にある高麗大学政経館後門の近くで開かれた遊説で、学生らと一緒に記念撮影をしている=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 キム・セヨン選挙対策本部長は8日、記者会見を開き、「今、世論調査の公表禁止直前の支持率とは明確に異なる傾向で、毎日早い上昇傾向を示している。驚くべき結果が現れると予想している」と話した。劉候補は先週1~2日に実施された韓国ギャラップの最後の世論調査で、先週より2%ポイント上がった6%を記録した。劉候補陣営はこの調査は2日に行われた集団離党以降、党に殺到した応援と支持が十分に反映されていないと強調している。実際の得票率はそれよりもはるかに高くなるものと期待している。劉候補陣営の関係者は「遊説現場に行けば、『文在寅支持者だが、今回は劉承ミンに投票した』と言われることが多く、若年層を中心に熱気が高まっている」と話した。

 正しい政党が訴えるのは「所信投票」だ。劉候補は同日、忠南大学での遊説後、記者団に「良心・所信とは異なり“大統領になりそうな人”に投票するのが死票だと思う。自分が好きな候補、自分の所信や良心通りに投票することが、私は真の投票、真の民主主義だと思う」と述べた。正しい政党は劉候補の改革イメージを強調するため、前日フランス大統領選挙で異変を起こしたエマニュエル・マクロン新任大統領に言及した。劉候補側のチ・サンウク代弁人は論評を出して「政治的勢力もなく、左右どちらにも偏らないマクロン大統領と劉承ミンは類似した点が多い。フランス国民がマクロンを選択したように、大韓民国の国民たちも極左や極右に偏った覇権勢力ではなく、劉承ミンに投票してほしい」と述べた。

 政界では、劉候補が今回の大統領選挙で当落に関係なく、どれだけ得票するのかが、今後彼の地位や行動に大きな影響を及ぼすものと見ている。劉候補の得票率こそが保守改革を望む民意が反映された結果だということだ。大統領選挙後に押し寄せる政界再編の波の中で、劉候補が改革保守のアイコンとして中心的役割を果たせるかどうかは、得票率にかかっている。

イ・ギョンミ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/793908.html 韓国語原文入力:2017-05-09 00:58
訳H.J(5275字)

関連記事