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[社説]「ろうそくの願い」を込めた一票で世の中を変えよう

登録:2017-05-08 22:20 修正:2017-05-09 07:14
仁川市選挙管理委員会の職員が大統領選挙を翌日に控えた8日、富平駅前の交差点で「投票で伝えよう! 5月9日大統領選挙」という投票参加を促すカードセクションを見せている//ハンギョレ新聞社

 重要でない選挙などどこにもないというが、第19代大統領選挙こそいかなる選挙より格別に重大な意味を持っている。今回の大統領選は現職大統領が弾劾、収監された状態で、彼女に代わる新しい大統領を選ぶ例のない選挙だ。寒い冬に凍える手をこすりながら、ろうそくの灯をつけた大勢の市民の想いの結果行われる「ろうそくの灯選挙」である。市民の力で不正な権力を追い出した「市民革命」の決着をつける段階である。

 「ろうそくの願い」は、まだ達成されたものが何もない。

 ろうそくの灯の願いがいくら切実であっても、それ自体では誤りのくさびを取り除くことはできない。ただ投票を通じて現実の権力に換えられた力だけが不条理な状況を変え、ろうそくの灯が夢見た世の中を作り出すことができる。今や大統領選の夜は明けた。胸の内にろうそくの灯を一本ずつ灯して投票所に向かう時だ。

 市民の審判の場の最前列に上げるべき項目は朴槿恵(パク・クネ)政権の国政壟断であることは言うまでもない。この政権の腐敗と無能ぶり、政経癒着と権力の私物化を無視したまま、今回の大統領選を考えることはできない。それで国政壟断をほう助して、ときには積極的に助けていた共犯といえる自由韓国党もまた審判の標的になるほかない。朴派の勢力は国政私物化を助けていたうえ、真実糾明を邪魔したり隠したりする先頭に立った。反省して自粛するどころか選挙を利用して一層気勢を上げて大手を振って歩いている。自由韓国党の洪準杓(ホン・ジュンピョ)候補が朴派の主要7人に対する懲戒を職権で解いたことは、今回の選挙が結局は国民と弾劾反対勢力の対決でもあることを悟らせる。

 今回の選挙は「保守政権10年」に対する総体的評価の性格も帯びている。李明博(イ・ミョンバク)・朴槿恵の両政権のみじめな成績表は、希望を奪われた若者、不安に陥った中高年、貧困に苦しめられる高齢者の姿に明確に確認することができる。「ヘル朝鮮」という表現が誇張でないことを裏付ける各種の指標は、あふれかえっている。市民生活だけでなく外交・安保も落第点だ。周辺の大国が私たちを排除したまま朝鮮半島の問題を議論する「コリア・パッシング」は、保守政権10年が残した不幸な遺産である。安保・外交にあらわれた無能ぶりをイデオロギー論争でも覆うことができないことは今回の選挙の過程にはっきり表れている。

 ろうそくの灯が希求した多くの改革の課題を無視せず元気良く推進する「革新大統領」が誰なのかも、よく確かめてみなければならない部分だ。社会の所々に隠れている誤りを正して古いシステムを直そうとする強い意志と実践力は、新しい大統領が持つべき重要な徳性である。国民の声を傾聴する「謙虚なリーダーシップ」も忘れてはならない。現在の国会議席分布から見れば誰が大統領になっても少数与党、多数野党の状況は避け難い。数限りない改革の課題をまともに実現しようとするなら「統合大統領」にならねばならないという意味である。

 「政治とは汚く下品なこと」と陰口を言うのは簡単だが、政治の泥沼で蓮の花を咲かしてこそ初めて現実を変えることができる。冷笑して手をこまぬいているだけでは世の中は変わらない。投票につながらない怒りは無気力なだけだ。政治を無視せずその真中で大切な一票を行使することによって、世の中を覆して現実を変えていく時だ。ろうそくの灯の完成はまさに私たちの一票にかかっていることを皆が覚えていてほしい。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

韓国語原文入力:2017/05/08 18:17(1568字)

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/793874.html 原文: 訳T.W

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