開城(ケソン)工業団地の閉鎖によって工場の稼動を中断せざるを得ない事情があったならば、納入する契約を結んだ会社の損害まで責任を負う必要はないという裁判所の判決が出た。
ソウル中央地裁民事15部(裁判長オ・ソンヒ)は5日、K社など会社2社が、開城工団に参加していたN社など2社に対して起こした物品代金の請求訴訟で「N社には代金を支払う義務がない」という原告敗訴の判決を下したと明らかにした。
昨年1月、開城工団に参加していたN社は、K社から原材料や副材料の供給を受けて開城工場で完成品を製造し、これをK社に再び納入する契約を結んだ。しかし、同年2月10日、開城工団の閉鎖により、契約を履行することが難しくなった。当時、政府は北朝鮮の長距離ミサイル開発などに対する制裁手段として開城工団の運営を全面中断し、北朝鮮はこれに反発し、工団内韓国側人員を全員追放して資産を凍結した。N社は開城工団の工場にあったK社所有の原材料を取り返すことができなくなり、K社は原材料価格に該当する損害額8千万ウォン(約790万円)をN社が弁償すべきとして、訴訟を起こした。
裁判所は、N社に賠償責任を問うことができないと判断した。裁判所は「北朝鮮の開城工団内の資産凍結および職員追放によって、N社は原材料や副材料や加工品を引き渡すことができなくなった」とし、「当事者双方に責任がないにもかかわらず、契約履行が不可能になった場合、K社は加工費支給の債務を、N社は加工製品の引渡義務を免れることになる」と明らかにした。
これに対しては、N社と共に告訴された開城工団入居企業の代表は「昨年2月、開城工団の電撃的な全面中断措置を取り、北朝鮮側が開城工団を閉鎖するよう始発点を提供した韓国政府に賠償責任があるという趣旨の判決だと受け止めている」と話した。しかし、開城工団中断の措置を取った政府に賠償責任を問えるか否かは定かではない。キム・クァンギル弁護士(前開城工団法務チーム長)は「このような場合K社は、政府に責任を問う損害賠償請求訴訟を起こすことができる。ただし、天安艦事態に対する対北朝鮮制裁措置(5.24措置)によって被害を受けた企業が政府を相手取り訴訟を起こしたが、裁判所は『5・24措置は高度の政治的判断による行政的行為』だとして、賠償責任を認めなかった。今回の政府の措置を違法行為と見ることができるかどうかは、検討してみなければならない」と話した。