7日、ソウル瑞草洞(ソチョドン)のソウル中央地裁では、サムスン総帥一家が同じ時刻に別の法廷に立つ風景が演出された。サムスン電子のイ・ジェヨン副会長(49)が433億ウォン(約43億円)台の贈賄容疑被告人として4階の刑事法廷で被告人席に立ち、3階の中法廷には義弟のキム・ジェヨル第一企画社長(49)がチェ・スンシル氏(61)に強要された被害者として出席し証言した。
ソウル中央地裁刑事27部(裁判長キム・ジンドン)審理で開かれたイ副会長とパク・サンジン前サムスン電子社長などサムスングループの前現職役職員5人に対する初めての正式裁判では、激しい攻防が繰り広げられた。パク・ヨンス特別検察官は「国政壟断」裁判としては初めて自ら法廷に出席し攻撃をリードした。イ副会長は短く整えた髪にグレーのスーツ姿で出席し、余裕のある歩き方で被告人席に向かった。だが、パク特別検察官が冒頭陳述を始めるとイ副会長の表情は固まり視線を落とした。
パク特別検察官は「この事件は私たちの社会で最も慢性的な政経癒着犯罪」として火ぶたを切った。特検チームは「イ・ジェヨンはサムスン物産の合併が実現するなど莫大な利益を得たこの事件の最大受恵者だ。被害者ではなくチェ氏らと同じ船に乗った共犯」として追い詰めた。イ副会長側のソン・ウチョル弁護士は「わいろの対価として指摘された継承作業は、正常な事業活動であり、サムスンの各種支援行為は見返りを望んでした行為ではない」と反論した。
同じ時刻、一階下の中法廷ではキム・ジェヨル第一企画社長がチェ・スンシル氏と姪のチャン・シホ氏、キム・ジョン元文化体育観光部長官に対する裁判に証人で立った。キム社長は「キム前次官から英才センターが『BH(大統領府)の関心事項』という話を聞いて重く受けとめた」として、冬季スポーツ英才センターに対する後援の経緯を説明した。サムスンが英才センターに後援した16億ウォン(約1億6千万円)が、4階の法廷では“賄賂”として、3階の法廷では“強要の結果”として、それぞれ異なって規定された風景だった。検察は「両事件は二重起訴に該当しない」として「朴前大統領の起訴時点に起訴状を整理する」と明らかにした。
一方、ソウル中央地裁はこの日、朴槿恵(パク・クネ)前大統領の拘束期間を延長してほしいという検察の申請を受け入れた。これに伴い、朴前大統領の拘束期限は19日までに延長された。