登録 : 2017.02.28 23:09 修正 : 2017.03.01 04:35

多文化生徒10万人時代
 
教科目をつなげた多文化教育授業 
差別事例など考えながら「立場を変えて考える」を学ぶ 

図書館・センターなど、行事は多様にあり 
地域社会連携プログラムも活発だが 
「多文化」の烙印に傷つく子どもたち 
ヘイト表現禁止・認識改善を支えるべき

2014年10月2日、安養の虎院小学校で「多文化家庭対象国家教育グローバル化支援事業」に招待されて来たマレーシアのリルラ・アジ教師が、2年生の生徒たちと自国の文化を紹介する授業を行っている=ユネスコ・アジア太平洋教育院提供//ハンギョレ新聞社
 今年国立大学に進学したC君の母親は日本人だ。C君は「見ためは“外国人”ぽくないので大きな差別を受けなかったが、学校に通うときはお母さんの国籍を意識的に話さなかった」と言った。サッカーなどスポーツ競技で韓日戦が繰り広げられる日には、授業中に教師をはじめ友達の間でも「倭のやつら、チョッパリ」などのヘイト表現が自然に行き交った。差別発言は心に大きな傷を残した。C君は「違う」ということがなぜ悪口を言われなければならないことなのか、未だに疑問だ。

 現在韓国で小・中・高校に在学中の多文化(両親ともに、または両親のいずれかが外国人の家庭)生徒は9万9186人であり、10万人に迫っている。特に満6歳以下の未就学児童が11万6000人余りに達するなど、増加傾向を見せている。親の国籍は韓国系を含め中国が33.7%で最も多く、ベトナム24.2%、日本13.0%、フィリピン12.6%の順だ。

 2006年、政府が「多文化家族社会統合支援対策」を初めて樹立して以来、早11年がたった。教育部は1月12日、多文化教育支援計画を発表し、今年191億ウォン(約19億円)を投入し、多文化重点学校を200校に拡大するなど、認識改善や教育支援策を講じると明らかにした。実際の教育現場では、どのような多文化教育を進めているのだろうか。

「このような差別は不当です」知らせる「建議書の授業」

 仁川(インチョン)東洋中学校の教師チェ・ユンアさんは、5年間多文化教育を進めている。担当科目である国語と連携した「建議書の授業」は、昨年、多文化の認識改善のための公募展で最優秀事例に選ばれた。生徒たちに地域社会で見られる多文化構成員に対する差別と偏見の事例を調査させるのが授業の骨子だ。

 チェ先生は「子どもたちが、実際にバスの表示板や案内放送が韓国語だけである点、教室で友人同士で思わず口にする『チャンケ(中国人を蔑む言葉)』『黒んぼ』などの人種差別発言が多文化の友達を傷つけるということを知った」とし、「建議書の作成後、生徒たちが自ら町の飲食店のメニューを英語や中国語に翻訳して置いたり、学級内できれいな言葉を使うことに賛同するなど、友達と共に仲良くなるため実践する姿を見せてくれた」と話した。

 特にメニューを中国語に翻訳するなど、生徒たちが様々な国の言語に関心を持つ過程で、多文化生徒たちの自尊感が高まるという変化も見た。チェ先生は「建議書の授業を進めながら、生徒たちが『中国語ができる友達がいたらなあ』と言ったことがあります。その時、多文化生徒の一人が「私、中国語ができるよ」と手をあげました。仲間たちに差別されるかもしれないと、多文化生徒だという事実を隠していたのですが、今は自分の言語能力を良いこととして認識し自負心を持って学校生活を送っています」

 チェ先生の教室では「違い」と「尊重」に対する討論授業も活発に行われた。子どもたちが自ら「韓国人が外国に行って人種差別を受けたら?」などの質問を作り、多文化生徒の立場を改めて考えてみる活動も行った。チェ先生は「肌の色や使う言葉が違うという理由で相手を差別したり卑下してはならないということを感じただろう」とし、「多文化教育を通じて『立場を変えて考えること』が可能になった。多文化教育は『人性教育』だ」と語った。

多文化図書館・センターなど学校外のプログラムもある

 多文化生徒たちが学校の外で様々な情報を得て、友達とコミュニケーションする窓口も多く、参考になる。多文化子ども図書館「モドゥ(みんな)」は「多国の日」、「多国ストーリーテリング」や、多文化家庭を直接訪問する「本の道しるべ活動」などを進め、多文化生徒と地域社会がコミュニケーションの輪を作っている。

 ソ・ファジン事務処長は「多文化青少年が家族ではない大人たちと会い関係を築く経験は非常に重要」とし、「『大学生と1対1の言語メンターマッチング』、『図書館で行う世界各国の伝統衣装試着』、『新年の風習と多国籍料理づくり』などの体験行事を実施し、教室外の囲いの役割を果たしている」と伝えた。「子どもが偏見を持つ一番大きな理由は『その国について知らないから』です。子どもたちは図書館で世界23カ国の言語で出版された多様な本を見ながら視野を広げ、自然に交流しながら地域の友達になっています」

 移住バックグラウンドの子ども支援財団「虹の青少年センター」の職業訓練プログラム「夢をつかめ(Job)」は、企業のコーロンの後援で多文化生徒が自分だけの才能を生かせるように手伝う。言語・文化の違い、在留資格などを理由に職業訓練および就業に制約がある移住バックグラウンドの子どもたちの能力開発を支え、安定した社会進出を支援するプログラムだ。

 筆記3回、実技4回の挑戦の末に韓国料理調理師の資格証を取得したコミル君は「ベトナムでハングルの基礎だけ習って2年前に韓国に来た時は、本当に先が見えなかった」と言い、「不慣れな環境で不安な気持ちだったが、今はベトナムと韓国が違いがなく感じられる」と話した。「韓国語の勉強をして調理師の資格証を取得し、「食堂経営」をしてみようという夢ができました。プログラムを通じて目標が一層はっきりしました」

 一般学校に適応できなかった多文化生徒を委託教育する小・中・高校統合の寄宿型公立オルタナティブスクールもある。公立の仁川ハンヌリ学校は、短期では6カ月から最長2年まで、韓国語教育はもちろん英語・数学・科学などの授業を進行する。韓国語のレベル別・無学年制の編成で、韓国語が全くわからない生徒も入学して教育を受けることができる。パク・ヒョンシク校長は「言語問題など差別を経験した後、暗い表情で入学した生徒たちの顔が、6カ月過ぎれば明るくなる」と言い、「今後10年を見据えた多文化教育政策で、生徒たちが勉強を途中で放棄することがないように積極的に支援しなければならない」と伝えた。

烙印から抜け出し、社会で自分の役割ができるよう教育を

 現場で駆け回る教師や団体の活動家の努力にもかかわらず、依然として主な教育現場では「多文化」という3文字が烙印として存在している。

 ソウル東大門区(トンデムング)の中学校に通うLさんは、「終礼の後、先生が『多文化は残れ!』と言ったことがある」と言い、「私にも名前があるのに『多文化』と呼んだ。先生は私がまるで過ちを犯したかのように言ったので、深く傷ついた」と話した。チェ・ユンア先生は「両親のうち一人が他国籍者の場合、子どもたちは最後まで隠したがる。同い年の集団で『違いは嫌い』だからだ」とし、「思春期に自分のアイデンティティを隠さなければならないなら、自尊心が低くなるばかりだ。小学校だけでなく中学・高校で多文化生徒が増えているだけに、社会的認識の改善が必要だ」と強調した。

 国家人権委員会が先月19日に発表した「ヘイト表現実態調査および規制案研究」によると、上記で言及された人種差別的発言はすべて「ヘイト表現」であり「魂の殺人」と呼ばれる。研究チームは「ある個人・集団に対して彼らが社会的少数者としての属性があるという理由で差別・嫌悪したり、敵意・暴力を扇動することがまさにヘイト表現」だと説明した。

 社会構成員全般の認識改善も重要だ。チェ先生は「多文化教育は避けられないし、避けてもならない。韓国社会で皆が自分の役割を果たせるよう導かなければならない」と話した。「メディアなどを通じた大々的なキャンペーンが重要だと思います。学校暴力も、かつては親や生徒が『殴る場合もあるだろう…』と思っていたんです。しかし着実な広報と認識改善を通じて、今は『暴力』を眺める人権の感受性が大きく高まりました。だからこそ、多文化生徒やマイノリティ全般の「違いと差異」を尊重できる教育が必要なのです」

キム・ジユン『共にする教育』記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2017-02-28 08:57
http://www.hani.co.kr/arti/society/schooling/784475.html 訳M.C(3656字)

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