捜査期限に迫られているパク・ヨンス特別検察官チームが、裁判所が発行した家宅捜索令状すら拒否する大統領府の固く閉ざされた鉄の扉をこじ開けるため、裁判所に行政訴訟とともに仮処分申請を提起した。捜査対象が家宅捜索を拒否するのも異例のことだが、これを行政訴訟によって突破しようとするのも前例のないことだ。法曹界の一部ではその実効性に疑問を投げかけながらも、刑事訴訟法の弱点を突いて“居直り”を続ける“被疑者朴槿恵(パク・クネ)大統領”の行動を批判する声も高まっている。
特検チームは10日、ソウル行政裁判所に「大統領秘書室長と警護室長の家宅捜索の不承認処分を取り消し」(行政訴訟)と、「訴訟に先立ち、緊急に不承認処分を取り消す仮処分の決定」(執行停止申請)の可否に対する判断を求めた。特検チームは今月3日、大統領府に対する家宅捜索を試みたが、ハン・グァンオク大統領秘書室長とパク・フンリョル警護室長は、刑事訴訟法第110条と第111条を根拠に「大統領府は軍事保護区域であり、公務上の秘密がある」として家宅捜索を拒否した。朴大統領の代わりに、大統領府に対する家宅捜索の承認権限を持っている黄教安(ファン・ギョアン)大統領権限代行は「警護室長と秘書室長の権限」だとして、(この件に対する判断の)責任を回避した。黄権限代行は同日、国会の対政府質問でも「私が拒否したわけではない。法に定められた通りにしようと言っただけだ。大統領府警護室と秘書室で、(刑事訴訟)法における政府の業務保安に関する規定により、家宅捜索には応じられないと答えたと聞いている」と述べた。
特検チームは「法理検討の結果、大統領府の家宅捜索の拒否は行政法上の『処分』に当たる」とし、差し迫った1次捜査期限(28日に満了)を考慮して裁判所が大統領府による家宅捜索の不承認を取り消す仮処分決定を下すことを望んでいる。仮処分申請は一般的に緊急事案に対して裁判所の早期決定を求めるための制度だ。
しかし、裁判所側では家宅捜索の拒否が行政訴訟の対象になるのは難しいうえ、たとえ仮処分申請決定を行ったとしても、特検チームが大統領府を家宅捜索することは現実的に難しいという意見が多い。行政裁判経験がある高等部長判事は「一般的に営業停止のように国民の権限と義務に影響を及ぼす行為を行政処分と言えるが、刑事訴訟法を根拠に家宅捜索を拒否した大統領府の行為を処分と見ることは難しい」と指摘した。また、他の判事は、「国家機関が“私人”ではなく、“国家機関”を相手にした行為を処分と見ることができるかは疑問」だと話した。
裁判所が仮処分を認めても、特検チームが直ちに大統領府の鉄の扉をこじ開けて家宅捜索を実施できるか否かは、新たな法的論争の対象だ。仮処分の判断対象は「2月3日、大統領府が行った家宅捜索の不承認」についてであり、今後予想される大統領府の追加家宅捜索の拒否ではないからだ。大統領府近くのろうそく集会を禁止してきた警察の行政処分を取り消すため、主催側が毎回仮処分申請を出してきたのも、そのためだ。特検チームが、家宅捜索を阻止する大統領府関係者たちを公務執行妨害で現場で逮捕する案も検討されているが、大統領府が「今回の家宅捜索拒否が違法であるという裁判所の判断を改めて提示せよ」と求める可能性もある。
裁判所は、迅速な判断が必要な事案の性格上、来週には結論を下すものと見られる。裁判所の関係者は「この事案は、仮処分に対する判断と本案に対する判断が事実上同じである」と話した。特検チームのイ・ギュチョル代弁人は「執行停止申請が棄却や却下された場合、現在としては他の方法がない。事実上大統領府に対する家宅捜索の令状執行が不可能になると思われる」と述べた。
法曹界内外では特検チームが実効性が低い行政訴訟というカードを切り出した背景をめぐり、裁判所と大統領府に“圧迫”を加えると共に、“名分”を立てるための過程と見ている。最後まで家宅捜索が実現しなかった場合、現実的に実体的真実に対する捜査を妨げた大統領府の責任を浮き彫りにすることで、捜査期間の延長やサムスン電子のイ・ジェヨン副会長の拘束令状発行のきっかけをつかもうとする計算が働いているということだ。検察関係者は「今の状況は大統領が駄々を捏ねているような状況」だと話した。刑事裁判の経験が多いある判事は「大統領府が『国家の重大な利益を害する場合』という刑事訴訟法条項を盾に家宅捜索を拒否しているが、果たして国家の利益なのか、それとも大統領の利益なのかは、明らかではないか」と指摘した。