セウォル号の行方不明者の捜索に乗り出した民間ダイバーのコン・ウヨン氏(62)には、同僚の民間ダイバーの死に対する責任はないという大法院(最高裁判所)の最終判断が出た。民間潜水士の安全に責任を負う海洋警察には目を瞑り、コン氏だけを起訴した検察の無理な捜査が改めて確認された。
大法院1部(主審イ・ギテク大法官)は30日、安全事故予防措置を怠り、セウォル号の捜索に参加した民間ダイバーのイ・グァンウク氏を死亡させた容疑(業務上過失致死)で起訴されたコン氏に、無罪を言い渡した原審を確定したと明らかにした。大法院は「原審の無罪判決は妥当であり、法理を誤解した過ちも見られない」として、検察の上告を棄却した。
イ氏は2014年5月6日、セウォル号行方不明者の捜索を行っていたところ、ガイドラインに空気を供給するホースが引っかかり、呼吸困難で死亡した。事故直後、汎政府事故対策本部は「海洋警察が作業現場で総括責任を持っていた」と明らかにしたが、当時、光州(クァンジュ)地検の木浦(モクポ)支庁所属のシム・ハクシク検事(現水原地裁判事)は、海洋警察ではなく、コン氏を業務上過失致死の疑いで起訴した。検察の起訴は検察と海洋警察がコン氏に責任を押し付けようとしたものという批判を受けた。
しかし、1審から大法院までいずれも、コン氏に無罪を言い渡した。2015年12月に開かれた1審は「民間ダイバーの生命・身体の危険を防止する法令上の義務は水難救助活動の指揮を執る救助本部の長にあり、コン氏に法令上の義務が別途に付与されていたとは認められない」として、無罪を宣告した。昨年10月の2審も「民間人ダイバーらの乗船許可権限は中央救助本部の長にあり、多くの決定は官民軍合同救助チームで協議を通じて決定された」としたうえで、「民間ダイバーの投入の権限がない状態で、コン氏が監督義務を怠ったとして責任を問うのは、持っていない権限を行使しなかった責任を問うこと」だとして、検事の控訴を棄却した。