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韓国MBC “末っ子”記者たちの反省文 「もっと非難してください」

登録:2017-01-09 22:29 修正:2017-01-12 06:48
MBC入社 3年次の記者 3人、動画制作し訴える 
「顔を上げられない」と“報道惨事”を反省 
責任者辞任・解職記者の復帰を要求 

KBS二大労組は対国民謝罪など要求 
経営陣が履行しなければ一斉スト予告
4日、MBCの”末っ子”記者たちが”報道惨事”に対し反省し、責任者の退陣を要求する動画を自ら制作してインターネットで公開した。左から、イ・ドクヨン、クァク・トンゴン、チョン・イェジ記者//ハンギョレ新聞社

 MBC(文化放送)で入社3年次の“末っ子”記者までが“報道惨事”の責任者の辞任と解職・ 懲戒記者の復帰を要求して出た。KBS(韓国放送)は年末に報道本部長など一部責任者を入れ替えたが、労組側は「見せ掛けだけの人事で事態を兔れようとするな」と批判した。公営放送の経営陣・幹部が内外の批判にもビクともしないのと反比例するように、根本的な刷新を要求する内部構成員の声は日増しに大きくなっている。

 MBCのクァク・トンゴン、イ・ドクヨン、チョン・イェジ記者の3人はこの4日夜、YouTubeとフェイスブックに「MBCの末っ子記者の反省文」というタイトルの動画を自ら制作して掲載した。4分足らずのこの動画は、タイトルの通りMBCの報道について末っ子記者として反省し、視聴者にもっとムチを打ってほしいと訴える内容だ。3人は2013年12月に入社し記者として3年になるが、MBCはその後新入社員を採用しておらず、未だに“末っ子”記者だ。

 映像は光化門(クァンファムン)のろうそく集会で市民がMBCの中継車を取り囲み、MBCをなじる言葉を一斉に叫ぶ場面で始まる。当時中継車の上にいた記者だと自らを紹介したクァク・トンゴン記者は、MBCの報道がろうそく集会で明らかになった民心をどれほど無視したか、そして取材現場でMBCを批判する市民に会って自らどんなに恥ずかしかったかを語る。「マイクタグさえ付けることができなかったし、車の中に隠れて中継したりした」、「取材現場で多くの市民に『吠えてみろ』、『恥ずかしくないのか』などと言われたが、本当に恥ずかしくて顔を上げて歩くことができない」ということだ。

 次いでイ・ドクヨン記者は、「国政壟断」事態による朴槿惠(パク・クネ)大統領弾劾の重要な証拠となったチェ・スンシル氏所有と推定されるタブレットPCに対する最近のMBCの報道態度を批判した。MBCは昨年10月「タブレットPC、チェ・スンシルが使っていたのを捨てたものだ」と単独報道をした事があるが、最近になってタブレットPCの入手経緯と実所有主に対する疑惑を相次いで報道して論議を引き起こした。イ記者は「自ら『チェ・スンシルのものだ』という報道をしておきながら、今度は『疑わしい』と何度も前言を翻す様も滑稽だが、事実関係さえ確認できない内容を推測の推測で記事化する現実に、私たち若い記者は絶望している」と言った。「ニュースの視聴率が2%台に下落したのに、幹部たちは『我々がうまく重心を取っているのだ』と言っている」と、報道局内部の歪んだ現実認識も批判した。

 チョン・イェジ記者は、現在MBCの姿がどうしてこのようになったのかを探った。「視聴者のみなさんが愛したMBCの姿は、ファン・ウソク論文操作を暴いて特権層の反則と便法を捉え、政府の政策を率先して批判する」姿だったが、当時主導していた人々がいなくなってしまったという。2012年の公正放送を勝ち取るための闘いで、「5人の記者が首になり50人以上の記者がマイクを放した。会社全体では 200人あまりが業務と関係のない部署に発令され、109人が未だに元の部署に戻れずにいる」と伝えた。

 3人の記者は「どうしてもっと早く立ち上がってこの事態を防がずに、今になってそんなことをしているのかと、叱りつけて下さっても構いません。第一線で取材した私たちを咎めてくださっても構いません。ただ、MBCの正常化がまた実現できるよう悪口を言い続け、非難し続けて下さい」、「(視聴者のみなさんが)MBCをまだあきらめてはいないということ見せて下さい」と訴えた。動画の最後の字幕には「『報道正常化』のためにキム・ジャンギョム報道本部長とチェ・ギファ報道局長の辞任、解職・懲戒記者の復帰を要求する」と明らかにした。朴槿惠(パク・クネ)-チェ・スンシルゲートに対する「報道惨事」が持ち上がった後、MBC内部構成員は持続的に責任者問責を要求するプラカードデモを展開し、先月28日には80人あまりの記者がプラカードや横断幕デモに参加した。

 「報道惨事」でMBCに劣らず内外の批判を受けてきたKBS(韓国放送)は、年末に報道本部長、制作技術本部長、視聴者本部長の3人の本部長を入れ替えた。それに先立ちKBSの二大労組は信任投票を行ないその結果をもってこれら3人の解任を経営陣に要求していた。しかし二大労組は4日声明を出して、今回の人事は会社側が労組の要求を受け容れた結果とは見難く、「見せ掛けだけの人事で事態を兔れることはできない」と主張した。 特に新任のイ・ソンジェ報道本部長の人事に対しては「李明博(イ・ミョンバク)政権の後半期に報道局長を務め、当時報道本部長だったコ・デヨン現社長とともに不公正報道に一貫してきた人物」であり、「“報道惨事”に対して責任を負わずにチェ・スンシルと親朴(親朴槿惠)一党を庇護するニュースを続けるということにしか見えない」などと酷評した。

 二大労組は「団体協約によって労組の信任投票の結果を人事に反映すること」、「“報道惨事”の責任を問い、報道責任者の交替と国民への謝罪を行なうこと」を要求している。経営陣がこれを15日までに履行しなければ全面的な争議行為に突入すると予告した。

チェ・ウォンヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2017-01-05 10:25

https://www.hani.co.kr/arti/society/media/777437.html 訳A.K 

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