2015年7月、朴槿恵(パク・クネ)大統領とサムスンのイ・ジェヨン副会長の単独面談を控えて、大統領府が準備した大統領のお言葉資料に「創造経済革新センターに対するサムスン側の支援が不十分」と叱責する内容が含まれていたことが明らかになった。
2日、検察、特検、財界の説明を総合すれば、朴大統領はイ副会長との単独面談のために事前に準備した「お言葉資料」で、サムスンが運営する大邱(テグ)と慶尚北道の「創造経済革新センター」に対する不満を表わしていた。「センターが一回きりのイベントをする所という否定的認識がある」、「有望中小企業の発掘も既に取り引きしている下請け業者を主としている」などの指摘だ。また「大邱センターに比べて慶尚北道センターを冷遇しているという不満がある」として「地域間の軋轢を生まないよう慶尚北道センターも支援してほしい」という意向も盛り込まれた。
朴大統領はサムスンの追加支援を露骨に要求してもいた。「サムスンが誠意を持っているのかに疑問を感じるが、結局サムスンが成果や結果で克服していく他はない。もう少し奮発してほしい」と要求した。創造経済革新センターは、民官合同で全国の地方自治体単位で計18カ所が作られ、ベンチャー企業-中小企業-地域特化企業などへの支援を行っている。サムスンは2014年9月と12月以後にそれぞれ大邱と慶尚北道地域センターの運営を引き受けてきた。
朴大統領が韓国最大財閥の総師に会う前に、強いトーンの叱責を準備したのは異例のことだ。朴大統領は当時、他の財閥総師と単独面談を行う際には、イ副会長とは異なり、特別な叱責はしなかったという。ある財界関係者は「大統領府がサムスン物産と第一毛織の合併がなされるよう力を尽くした後に、サムスンの支援を要求するため、称賛より叱責をしたものと見られる」と話した。朴大統領が当時、サムスンの不十分な“乗馬支援”と関連して、イ副会長をこらしめたという話もある。ある検察高位関係者は「朴大統領は単独面談の場で、乗馬支援と関連してまともな支援がなされていないとして、イ副会長に厳しく詰め寄ったという」と話した。
この面談以降、サムスンは慶尚北道センターにスマート工場アカデミーを作ることにするなど支援を拡大した。チェ・スンシル氏と彼女の娘チョン・ユラ氏にも220億ウォン(約22億円)を支援することにし、実際に80億ウォン(約8億円)を支援した。サムスンはミル財団とKスポーツ財団にも企業の中で最多の204億ウォン(約20億円)の出資金を拠出した。
一方、朴大統領は2014年9月15日、大邱創造経済革新センターの発足式で、李副会長を個別に会って、大韓乗馬協会会長を引き受けてほしいと要請した。サムスンは翌年の3月、韓火が受け持っていた乗馬協会会長の職を務めており、以後チョン・ユラ氏に対する200億ウォン台の支援を本格的に進めた。特検は、朴大統領がチョン氏に対する間接支援を要請したと見て捜査を行っている。