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8年ぶりに再び特検の前に立たされたサムスンの3世経営権承継

登録:2016-12-22 01:56 修正:2016-12-22 07:12
2008年、エバーランド転換社債の安値発行など、捜査対象 
今年はサムスン物産・第一毛織の合併過程で賄賂疑惑 
チェ・スンシル氏とサムスンなどの数十億円台の取引に焦点
サムスン電子のイ・ジェヨン副会長が「朴槿恵政権のチェ・スンシルなど民間人による国政壟断疑惑事件の真相究明のための国政調査特別委員会」が今月6日に開いた聴聞会で眼鏡をかけ直している= カン・チャングヮン記者//ハンギョレ新聞社

 パク・ヨンス特別検察官チームが21日、国民年金公団を初の強制捜査対象としたことで、今回の特検の主な“ターゲット”がサムスンの経営権継承過程である点が明らかになった。サムスンは2008年にイ・ジェヨン副会長への経営権継承に必要な株の違法贈与過程が特検の捜査対象になったのに続いて、今回はイ副会長のサムスン電子の経営権を固めるための「サムスン物産・第一毛織」の合併過程が捜査対象に上がった。

 昨年7月に行われたサムスン物産と第一毛織の合併は、イ副会長にとっては“神の一手”のようなものだった。イ副会長は、この合併で統合サムスン物産の筆頭株主となり、サムスングループの循環出資構造を単純化させることで、グループに対する支配力も高める効果を得た。「イ副会長→統合サムスン物産→サムスン電子、サムスン生命→他の系列会社」という形にグループの支配構造が整理されたのだ。

 サムスンは合併の過程で国民年金の協力を引き出すため、チェ・スンシル氏をはじめ、大統領府とある種の取り引きをしたという疑いをかけられている。サムスン物産株の11.61%を保有し、単一の筆頭株主である国民年金は、独自に適正な合併比率(1:0.46)を算出していたにもかかわらず、サムスン側が提示した合併比率(1:0.35)に賛成票を投じ、少なくとも1000億ウォン台(約99億円以上)の損害を自ら招いた。

 当時も、国民年金の決定と関連して“黒い取引”の疑惑が持ち上がったが、9月に「チェ・スンシルゲート」が明るみに出たことで、サムスンがチェ氏一家に80億ウォン台(<約7億8千万円以上>当初計画は220億ウォン)の資金支援を行い、ミル・Kスポーツ財団に204億ウォン(約20億円)を拠出するなど、通常のレベルを越える金銭取引があったことが明らかになり、疑惑が深まった。さらに、朴槿恵(パク・クネ)大統領を媒介に、チェ氏とともに各種利権事業に積極的に介入した疑いで拘束起訴されたアン・ジョンボム元大統領府政策調整首席秘書官が、保健福祉部と国民年金公団などに影響力を行使したという疑惑まで持ち上がり、結局、検察と特検の捜査対象になった。

 検察特別捜査本部も、この部分に焦点を合わせてサムスンを3回にわたり家宅捜索するなど、力を入れた。特に、検察は先月17日、特検法が可決され、検察捜査が事実上終了局面に入った後の23日にも、サムスンの未来戦略室と国民年金公団を家宅捜索するなど、サムスンに対する捜査に意欲を見せた。検察はサムスンを裁判にかけることはできなかったが、捜査をかなり進めたと見られる。ある検察関係者は「時間が足りなくて、サムスンに対する捜査の結論を下すことができず残念だが、特検がやり遂げると思う」と話した。特検代弁人のイ・ギュチョル特別検察官補も同日、記者ブリーフィングで「(検察の捜査内容を)十分に検討し、それを補うために追加家宅捜索を開始した」と話した。

 今回の特検捜査はキム・ヨンチョル弁護士による裏金の暴露を契機に、2008年に行われたサムソン裏金特検と比較されている。サムスンの系列会社が“大当たり”が保障されたサムスンエバーランド転換社債(CB)の買収を断念したことにより、かなりの量がイ副会長など総帥一家に流れたが、これを通じてイ副会長はサムスングループの支配構造の核心であるサムスンエバーランドを支配できるようになった。当時の特検は、サムスンエバーランド転換社債の違法贈与などを通じて経営権を不法継承しようとしたとして、イ・ゴンヒ会長を特定経済犯罪加重法上の背任容疑などで在宅起訴した。3世への経営権継承のための株式譲渡や転換が、約8年後に再びサムスンの足かせになるかに注目が集まっている。

チェ・ヒョンジュン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/775565.html 韓国語原文入力:2016-12-21 17:49
訳H.J(1720字)

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