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「弾劾審判と刑事裁判を混同した引き延ばし戦略」憲法学者らが批判

登録:2016-12-18 23:40 修正:2016-12-19 07:17
朴大統領、検察の捜査を否定、チェ・スンシル裁判を強調 
チェとアン・ジョンボムに責任転嫁し証拠否定する「図々しさ」 
「刑事裁判のようにすべて闘おうとすれば時間が引き延ばされる」 
「国政介入1%でも憲法違反で弾劾」
民心に背を向けた朴槿恵大統領//ハンギョレ新聞社

 朴槿恵(パク・クネ)大統領側が憲法裁判所への答弁書で、検察の捜査を全面否定して出たのは、弾劾審判を刑事裁判のように追いこもうとする手口だという指摘が出ている。弾劾審判は憲法や法律に違反した行為が罷免の事由に当たるかどうかを問う憲法裁判であるにもかかわらず、審理遅延のために裁判期間が相対的に長くかかる刑事裁判の戦略を使おうとする意図だということだ。

 国会が18日に公開した「2016憲ナ1大統領(朴槿恵)弾劾」事件の答弁書によると、朴大統領側はチョン・ホソン元大統領府付属秘書官の携帯電話など確実な物証に支えられた検察捜査の結果を全く認めなかった。チョン元秘書官の公訴状によると、彼は2013年1月から2016年4月まで大統領の指示を受けドレスデン演説文、国家情報院長・監査院長・検察総長の人選発表案など、公務上の秘密文書47件を電子メールや人づてにチェ・スンシル氏に伝達した。しかし朴大統領の代理人団は「国政遂行の過程で知人の意見を聞き一部反映したとしても社会通念上許され得ることであり、国民に代わって最終意思決定権者として大統領の役割を遂行した」とし、「流出経路はわからず、発表1~2日前に知人の意見を聞いたものであるため漏洩とは見がたい」と主張した。

 大企業のミル・Kスポーツ財団への拠出、ロッテにはKスポーツ財団への75億追加拠出など、両財団関連の基金支援要求や、KDコーポレーションと現代自動車の納品契約強要など、チェ氏に特別恩恵を提供した疑いについても、朴大統領側は「公益事業」、「正当な職務遂行」、「中小企業の障害となっている問題の解決」、「自発的な拠出」だとして認めていない。しかしチェ氏などの起訴状には、「大統領と共謀して大統領の職権を乱用し、恐怖を感じた被害者が金銭を拠出するよう仕向けたもので、義務でない仕事をさせた」と明示されている。これはほとんどが17冊・510ページにわたるアン・ジョンボム元政策調整秘書官の手帳に詳しく書かれている内容だ。

 憲法学者らは、朴大統領側が「第3者供賄罪などに対する証拠は共犯のチェ氏などに対する1審刑事裁判の手続きで十分な審理を経た後に決定すべきだ」と主張したのは、弾劾審判の本質を無視したものだと批判した。西江大学法学専門大学院のイム・ジボン教授は「代理人団が弾劾審判と刑事裁判を混同し、いいかげんで不合理な答弁を出した」と話した。高麗大学法学専門大学院のチャン・ヨンス教授も「大統領の刑事裁判は別途進行されるものだが、刑事裁判のようにすべて闘おうとするのは時間を引き延ばそうとする意図とみられる」と指摘した。このために憲法裁判所が朴大統領の答弁書をそのまま受け入れることはないだろうという見通しも出ている。慶煕大学法学専門大学院のチョン・テホ教授は「チェ氏の国政壟断がたとえ1%しかなかったしても、それが重大な憲法と法律の違反事項なら弾劾することができる」と分析した。

キム・ミンギョン、ヒョンソウン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/775133.html 韓国語原文入力:2016-12-18 22:06
訳M.C(1563字)

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