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特検、朴大統領の賄賂罪適用に照準…「統治行為」主張崩しに集中

登録:2016-12-03 01:15 修正:2016-12-03 07:52
パク・ヨンス特別検察官「財団基金の本質が職権乱用?原点から再検討 
朴大統領の『統治行為』主張崩せるかがカギ」 
「特別検察官が事情聴取を直接行う可能性も 
拒否した場合は強制捜査も検討」
パク・ヨンス特別検察官が2日午前、ソウル瑞草洞の自分の弁護士事務所に出勤し、記者の質問に答えている=パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 「朴槿恵(パク・クネ)ゲート」を捜査するパク・ヨンス特別検察官が2日、「ミル・Kスポーツ財団の基金の本質が何かを原点から見直す。企業に募金を強制した大統領の力が何だったのかを見極めなければならない」と明らかにした。両財団の強制募金額774億ウォン(約75億1千万円)と関連し、朴槿恵大統領に賄賂容疑を適用できるかどうか検討するということだ。パク特別検察官は同日、特別検察官補の候補者8人を大統領府に推薦した。

 パク特別検察官は同日、取材陣との懇談会で「財団の基金の本質を職権乱用などと見るのは様々な点で問題があるようだ。回り道をするよりも、時には直進するのが望ましい場合もある」としながら、こう語った。さらに、「(大統領は)『文化隆盛』を名分に(基金の募金について)統治行為を掲げるだろうが、それをどのように崩していくかが(特検捜査の)カギとなる」と述べた。

 朴大統領はこれまで3回にわたる国民向け談話と弁護人などを通じて自分の無実を強弁し、財閥オーナーたちに会って財団の基金への拠出を頼んだのは「正当な国政の遂行」であると共に、「企業の自発的な寄付」だと主張した。パク特別検察官の発言は「財団の設立=国政の遂行」という主張の裏に潜む"賄賂性"を暴き、第3者供賄などの嫌疑を積極的に判断する意向を表したものと見られる。パク特別検察官は「大企業が巨額の資金を拠出するようになった過程が何か、そこに大統領の役割が働いたのではないか、つまり根底にある大統領の力が何だったかを見極めなければならない」と話した。検事時代、現代(ヒュンダイ)自動車裏金事件とSKの粉飾会計事件の捜査に成功したパク特別検察官は「(両財団に基金を拠出した)企業に対する捜査も重要だ。一つひとつ見逃すことがないように捜査する」として、財界に対する徹底した捜査を予告した。

 これに先立ち、チェ・スンシル国政壟断事件を捜査した検察特別捜査本部は774億ウォンについては、賄賂罪の適用が難しいと判断した。その代わり、チェ・スンシル氏と娘のチョン・ユラ氏に100億ウォン(約9億7千万円)に達する巨額の金銭を渡したサムスンと、免税店の追加事業者選定と関連してロッテとSKの追加資金の拠出に対してのみ、贈収賄の嫌疑を念頭に調査を進めた。

 1日にユン・ソクヨル大田(テジョン)高検検事を捜査チーム長に抜擢したパク特別検察官は、"賄賂罪に照準を合わせる"構想を支えるための捜査チームの構成に向けた青写真も示した。彼は「検察の従来の捜査記録を原点から見直す。したがって捜査チームの人選も新鮮な人物を中心におこなう」とし、「見方を変えて討論するために、従来の捜査チームからは派遣検事全体(20人)の3分の1だけを受け入れる」と述べた。検察の捜査結果にこだわらず、白紙の状態から新たに捜査し、判断を下すということだ。パク特別検察官は、検察特別捜査本部で捜査や法理の判断に関わった部長検事級を原則的に派遣対象から排除する意向も明らかにした。また、「判事出身弁護士2人を特別検察官補に任命する計画」と付け加えた。検察の見方から離れて、有罪・無罪の最終決定権を握った裁判所の見方を捜査過程に反映させるということだ。裁判所は、今回と類似した事件で第3者供賄罪を認めた判例を出している。

 パク特別検察官が賄賂罪関連の捜査に強い意志を示唆したことで、大統領に対する調査方式にも注目が集まっている。パク特別検察官は「(書面調査は)試験の前に答案用紙を見せるようなものだ。書面調査を抜きにして、事情聴取に入る」として、「必要なら、朴大統領の事情聴取を特別検察官が行うこともあり得る」と重ねて意志を示した。彼は同日、CBSラジオ番組とのインタビューで「大統領を強制捜査するかどうかについて議論になっているが、国民がそれを望むなら、その時に検討してみる」と話した。

 過去の特検では事実上、死文となっていた特検法の「追加認知捜査」の条項も、積極的に活用することにした。パク特別検察官は「国民が提起する最も大きな疑惑の一つ」だとして、セウォル号事故当時、朴大統領の7時間の足取りを巡る疑惑も捜査対象に含めると明らかにした。また、大統領の主治医の許可を得ずにプラセンタ注射薬などが大統領府に大量に搬入されたことと関連し、「大統領警護室と警護室長が違法行為をしたかどうかを必ず捜査する」と述べた。警護室に対する捜査はチェ・スンシル氏らが大統領府に無断で立ち入ったことに対する調査にも広がる見通しだ。ドイツに滞在していると言われるチェ・スンシル氏の娘チョン・ユラ氏に対しても「必ず入国させて捜査しなければならない」として、刑事司法協力など様々な案を講じるとした。パク特別検察官は同日、検事や判事出身の弁護士8人を特別検察官補候補に推薦した。大統領は3日以内に候補者のうち4人を特別検察官補に任命しなければならない。

キム・ナムイル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/772993.html 韓国語原文入力:2016-12-02 14:03
訳H.J(2152字)

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