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「街中が人々で溢れかえるなんて」…キャンドル集会訪れた日本の学生たち

登録:2016-11-17 01:27 修正:2016-11-22 13:27
「全学連」のメンバーら12日の民衆総決起に参加 
「労組と市民が結合した集会、日本にはない」 
「民主主義を実現するためには労働者・民衆が支配者になるべき」
今月12日、ソウル光化門一帯で開かれた「キャンドル集会」に参加するために韓国を訪れた日本の「全学連」のメンバーが15日午前、ソウル孔徳洞にあるハンギョレ新聞社を訪問した=キム・チョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

 「第3次汎国民大会」が行われた12日の夜、ソウル光化門(クァンファムン)広場が中央舞台に人々の耳目が向けられた集中の現場だったとすれば、光化門と内資洞(ネジャドン)ロータリーの間の道路は、至るところから噴出した声が響き合う多様性の現場だった。その一角に、日本語で「朝鮮半島侵略戦争をやめろ」と書かれた横断幕がはためいていた。「全学連」「全労連」と書かれた旗も見えた。200人ぐらいの人たちは「韓国ゼネストに連帯」などのプラカードを手に持っていた。

 なかでも、明るい笑顔で騒いでいた20代とみられる若者たちが、特に目を引いた。ハンギョレの記者だと言うと、歓声が上がった。ある人はスマートフォンでハンギョレ日本語版を開いて、「毎日読んでいる」と話した。電話番号を交換した後、15日、ソウル麻浦区(マポグ)孔徳洞(コンドクドン)のハンギョレ新聞社で彼らと再会した。2、3人ぐらいが来るものと予想していたが、11人も集まっていた。集会に参加した「全学連」のメンバー全員だった。好奇心に満ちた表情で「新聞社を見物させてほしい」と言っていた彼らとのインタビューは、しばらくしてからようやく始まった。

 「労働組合と市民が力を合わせる形で、街中が人々で溢れかえる光景が現実になりうるということに、大きな衝撃を受けました。日本では、このような形の集会は見られません」。齋藤郁真委員長(28)は「おかげさまで、大きな力をもらって日本に帰ることができる」と語った 。学生運動家の彼らは皆、心の点滴でも受けたかのように見えた。

 彼らの大半は今回が初めての韓国訪問ではない。齋藤委員長は5回も韓国を訪れた。彼らが属している動労千葉(JR関連会社の労働組合)と韓国の民主労総が毎年互いの労働者大会に参加しているからだ。「チェ・スンシル国政壟断事態」が本格化してから、先を争って街頭集会を賛美してきた韓国メディアだが、その一部は昨年11月に開かれた民衆総決起大会を控えて「遵法不感症の大韓民国…週末に大規模な反政府デモ」という見出しの記事を掲載し、「海外過激デモ勢力まで参加するという情報が入った」と報じた。その恐ろしい勢力がまさに彼らだった。

 日本には全学連(全日本学生自治会総連合)という名前の団体が5つも存在する。そのなかで、彼らは「中核派」と呼ばれている。1948年、大学民主化運動の一環として始まった全学連は、1960年代に解体された後、政治的指向が異なる分派として蘇ったが、多くの紆余曲折を経てかろうじて命脈を維持している。盲目的な分派主義が原因とされているが、弾圧も根強く続いてきた。大学内で政治広報物を配布するためには、学校当局の検閲を受けなければならない。この日会った彼らの多くは大学当局との戦いによって逮捕されたり、退学・無期停学の処分を受けた。

 「集団的自衛権」の行使を可能にする安保法制が日本の国会を通過した後の昨年10月27日、彼らは半日間、京都大学吉田南キャンパスの建物1棟(吉田南1号館)をバリケードで封鎖した。「学生の反応は三種類に分かれた。第一は授業に参加しようとバリケードを取り壊す学生、第二は自分の授業だけはバリケードを張ってほしいという学生、第三はどうしてバリケードまで設置するのかと問いただす学生!」。今年5月、京都大学から無期停学処分を受けた作部羊平書記長は「学生の間でスト文化そのものが消えて想像することさえ難しくなった現実を示したもの」だと説明した。

今月12日、ソウル光化門一帯で開かれた「キャンドル集会」に参加するために韓国を訪れた日本の「全学連」のメンバーが15日午前、ソウル孔徳洞にあるハンギョレ新聞社を訪問した=キム・チョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

 日本の20~30代には非正規労働者が最も多い。学生たちもこれから非正規労働者になるだろう。最も社会的に弱い者でありながら、自分を代弁する方法もない。大学で教授たちは民主主義について教えているが、学生たちの政治的宣伝物は禁止する。だから、さらに深刻な抑圧にさらされ、自分が苦労しているのは自分自身のせいという自己嫌悪的なイデオロギーに閉じ込められてしまう。中核派系全学連の政治的な志向を越えて、今日の日本の若者たちが直面した状況が、彼らに戦いに向かわせている。

 彼らの戦いは日本内部に収まり切れない。日本軍強制慰安婦問題に対する韓日政府合意に反対する声明を発表し、日本の集団的自衛権の問題を「日米間の朝鮮半島戦争シナリオ」だとして反対する。独島(日本名・竹島)領有権問題は日本帝国主義の侵略過程で起きたものと見ている。日本の若者たちが経験する苦しみと韓国の若者たちが体験する苦しみは、全地球的に一つの構造の上で行われる苦しみだと解釈する。だからこそ、このように韓国を訪れ、連帯し、希望の手がかりを探している。

 彼らは韓国の集会が過度に非暴力を強調しているのではないかと尋ねた。「私たちは暴力闘争に反対しない。しかし、今回の集会が暴力的でなかったのは、暴力がなくても集会主催側の1次目標が達成できたからではないだろうか。何より参加者の規模が公権力を圧倒したため、集会が平和的に終わったと思う」。大学を卒業して、現在フリーターである石田真弓さん(29)は「故ペク・ナムギ氏に対する国家暴力に憤りを覚えることができて、またその憤りを結集した力で示したことも、我々に大きな感興を呼び起こした」と話した。そして、「真の民主主義を実現し、生活条件を変えて、戦争の危険を防ぐためには、支配者を変えるのではなく、労働者と民衆が自ら支配者にならなければならない」と強調した。

 最後に夢を一言ずつ語ることで、インタビューを終えた。法政大学で無期停学処分を受けた洞口朋子さん(24)は、終始沈黙を守っていたが、最後に「すべてを取り戻したい」と語った。彼らは同日、南山(ナムサン)の安重根(アン・ジュングン)義士記念館を訪問してから、夜の便で日本に帰った。

アン・ヨンチュン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/770539.html 韓国語原文入力:2016-11-16 15:16
訳H.J(2776字)

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