「米新政権がスタートしてから推進しよう」速度調節論も黙殺
国防部の建議でNSCが決めたという政府公式発表と矛盾
「チェ・スンシルゲート」突破のための政略的意図か
16日、政府が突然韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の再推進に速度を上げているのは、「朴槿恵(パク・クネ)大統領の指示」のためだと伝えられた。大統領府内部ですら「協定を結ぶにしても米国の新行政府がスタートしてからした方が良い」という意見が出されたが、黙殺されたという。
複数の政府関係者は「韓日GSOMIAの再推進は、朴大統領の指示によるもの」と話した。さらに政府内部の議論過程で大統領府高位関係者が「韓日GSOMIAは米国の要請なので、(再推進を)するにしても米国の新政権がスタートした際の“プレゼント”にしよう」として“速度調節”の意見を出したが、受け入れてもらえなかったという。
このような証言は、「当然、国防部の判断で建議され、国家安全保障会議(NSC)などと同じ内部手順を踏んで決定された」(14日ムン・サンギュン国防部報道官ブリーフィング)という公式説明とは異なる内容だ。これと関連して政府の別の関係者は「国防部がGSOMIAを再推進しようと建議したのではなく、その可否に関する指針を求めて大統領府に問い合わせ・要請したとの見る方が事実に近い」と伝えた。実際、ハン・ミング国防長官は国会などで「10月27日に招集された国家安全保障会議で協議し決定したこと」と明らかにしたが、当時の国家安全保障会議には主務長官であるハン長官とGSOMIAの署名主体であるユン・ビョンセ外交部長官が参加していないので、「大統領府が押し付けたのではないか」という問題提起が絶えなかった。しかも、大統領府高位関係者による“速度調節”の意見までが黙殺されたことからして、「朴大統領の指示」が速度戦の背景という政府関係者らの証言は一層説得力を増す。
政府は10月27日に国防部が再推進の方針を明らかにしてから、3度にわたる課長級実務協議を経て、14日に両国政府が仮署名を終え、17日に予定された次官会議に上程する計画だ。政府のこうした電光石火のような速度戦をめぐり、外交安保部署の関係者たちの間でも「なぜこれほど急ぐのか、理解し難い」という声があがっている。「朴槿恵・チェ・スンシルゲート」の余波で支持率が5%に落ち込み、権力基盤が事実上崩壊した朴大統領が、韓日GSOMIAの強行にともなう野党と市民社会の反発を社会的軋轢に増幅させることで、求心力を失ってしまった保守支持層を再結集する政略ではないかという指摘が多い。