本文に移動

サムスン押収捜索、チョン・ユラ氏の「ドイツ乗馬」に10億円以上支援した疑い

登録:2016-11-09 00:07 修正:2016-11-09 07:29
チェ氏親子の会社に35億ウォン別途支援したのに加え 
毎月10億ウォンずつ6カ月送金した疑惑に関連し、検察が9カ所を押収捜索 
モナミ通じて28億ウォンかけ乗馬場購入した疑惑も捜査 
モナミ「無関係」主張するも、チョン氏が5回訓練した事実が判明
チェ・スンシル国政介入疑惑と関連しソウル瑞草区のサムスン社屋に家宅捜索が入った8日、ビルの外で労働者人権団体の会員が「チェ・スンシルには200億収賄、白血病労働者には500万ウォン」などサムスンの捜査を求めるプラカードを手に立っている=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 検察が8日、サムスンに対する大々的な押収捜索を行った。チェ・スンシル氏を一番積極的に「支援」したといわれているサムスンが本格的な捜査対象に浮上した。

 検察特別捜査本部(本部長イ・ヨンヨル)はこの日、サムスングループ未来戦略室とサムスン電子対外協力担当部署、大韓乗馬協会など9カ所を家宅捜索した。サムスングループが昨年9~10月にチェ・スンシル氏と娘のチョン・ユラ氏が実質所有したドイツ法人のコアスポーツ(現ウィデックスポーツ)に280万ユーロ(約3億2400万円)を別途に支援した疑惑を捜査するためのものだ。大韓乗馬協会長であるサムスン電子のパク・サンジン対外担当社長の事務室と自宅はもちろん、サムスングループのイ・ジェヨン副会長の秘書室格であるグループ未来戦略室も家宅捜索の対象になった。検察関係者は「サムスンがチェ氏に別途に送った280万ユーロと関連した家宅捜索だ。サムスンがミル財団などに渡した204億ウォンの拠出金とは直接的な関連はない」とし、「未来戦略室には今回の事案と関連する職員がいるため、その部分だけ押収捜索した」と話した。検察はコンピューターのハードディスクや乗馬協会業務推進の内訳、支援費執行実績など各種書類や個人のダイアリーなどを確保したという。

 サムスンがチェ・スンシル親子に直接送金した280万ユーロは、チェ・スンシル氏のコアスポーツとの10カ月分のコンサルティング契約という方法で渡ったが、実際にはチェ氏親子が「ヴィタナV」という高価な馬を購入し、チョン・ユラ氏の海外トレーニング費用などに使われたものと言われている。検察はコアスポーツに毎月80万ユーロ(約9300万円)送金したというコアスポーツの元社員の証言(ハンギョレ3日付8面)についても捜査中だ。コアスポーツの元社員はハンギョレ記者の電話取材で「コアスポーツに勤務していた5~6カ月間、毎月80万ユーロが通帳に入ってきた」という内容の証言をした。この場合、チェ氏親子がサムスンから直接受け取った金額だけで100億ウォン(約9億2000万円)にのぼるものとみられる。

 検察はこの他にもサムスンがチョン氏を支援するために、5月に協力会社であるモナミを通じて230万ユーロ(約2億6600万円)を投じてドイツのエムスデッテンのルドルフ・ツァイリンガー乗馬場を購入した可能性が高いと見て、この部分についても集中捜査中だ。現在所有主となっているモナミ側ではこの乗馬場がチョン氏とは無関係だと強調してきたが、検察は最近チョン氏が開場もしていない乗馬場で少なくとも5回にわたり馬場馬術の個人訓練を受けた事実を把握した。サムスンやモナミはいずれもこの乗馬場とチョン氏との関係を否定したが、事実上チョン氏のためのトレーニングキャンプとして使われていたということだ。検察はサムスンが納品業者であるモナミを通じて昨年9月から乗馬場の購入に乗り出した時期と、昨年9月にチョン氏がドイツで最初の訓練地としたイェーガーホープ訓練場を離れ、他の場所を物色していた時期とが一致する点にも注目している。モナミは、サムスンと99億ウォンの契約を結んだ対価として乗馬場を代わりに買収したという疑惑を受けている。これに対してモナミ側では「チョン氏が訓練を受けた事実は所有権が移転する前のことなので、(モナミとしては)分からない」とし、「偶然に時期的に一致しただけ」と明らかにした。モナミは昨年10月に購買意向書を渡し、今年5月に契約を締結、10月に所有権を移転された。

チェ・スンシル氏の娘チョン・ユラ氏が、大韓乗馬協会に提出した「2015年12月国家代表訓練村外(国外)訓練承認要請書」に添付した訓練写真=大韓乗馬協会//ハンギョレ新聞社

 検察はサムスンが朴槿恵(パク・クネ)大統領と密接な関係にあるチェ氏に何らかの見返りを期待して事実上対価性の資金を渡したのではないかと疑っている。SBSの報道によると、コアスポーツの代表を務めたドイツのヘッセン州乗馬協会のロベルト・クイパース経営部門代表は「チェ氏側と事業計画を議論する過程で、チェ氏側から、サムスンが労組問題の協力や研究費等の政府支援の約束を取りつけ、チェ氏側に資金を支援することになっていると聞いた」と話した。当時、サムスンはサムスンテックワン、サムスンタレスなどを韓火に売却する過程で、労組の売却反対に直面している状態だった。また、サムスン物産と第一(チェイル)毛織の合併など、支配構造の変化の時期とも重なっていた。もしサムスンがチェ氏がコアスポーツの所有者という事実を知ってチェ氏側に具体的な請託をしたならば、チェ氏には特定犯罪加重処罰法上の斡旋収財の容疑が適用される可能性がある。特定犯罪加重処罰法上斡旋収賄罪は「公務員の職務に属する事項の斡旋に関して金品や利益を授受・要求した者または約束した者」に適用される。結局、チェ氏が公務上の「斡旋」をしたか否かがカギとなるとみられる。検察は、パク・サンジン社長を呼び資金の性格などを確認する方針だ。

ハ・オヨン、チェ・ヒョンジュン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/769365.html 韓国語原文入力:2016-11-08 21:08
訳M.C(2391字)

関連記事