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[ニュース分析]チェ・スンシル、検察の意表突いた帰国…「国政介入」トカゲのしっぽ切りか

登録:2016-10-30 23:44 修正:2016-10-31 07:05
9月初めドイツに出国後、2カ月ぶりに帰国 
「このままだと共倒れになるかもしれない」危機感働いた様子 
チェ氏弁護人「法的手続きを踏む」正面突破の意志明かに 
チャ・ウンテク、コ・ヨンテなど、チェ氏の側近も帰国、組織的動き 

検察、帰国日の夜遅くにやっと召喚日程通知
チョン・ドンチュン元Kスポーツ財団第2代理事長が30日午後、ソウル中央地検に出頭している=イ・ジョンア記者//ハンギョレ新聞社

 「国政介入」が疑われているチェ・スンシル氏が、ドイツに出国してから2カ月後の30日、急きょ帰国したことで、彼女の帰国の背景に注目が集まっている。チェ氏の帰国は、検察が召喚日程さえ決めていないほど、準備ができていない状況で行われた。最近、捜査を本格化した検察としては意表を突かれた格好になった。これをめぐり、検察の内外では、チェ氏の突然の帰国は検察の捜査が大統領府に向かうことを事前に遮断するためのものという声があがっている。

 検察の特別捜査本部(本部長イ・ヨンヨル)は同日、チェ・スンシル氏の召喚調査の実施について「必要な時に呼ぶ」と明らかにした。検察関係者は「捜査には段階と手続きがある。 やみくもにジャンプするわけにはいかない」と言って、チェ氏に対する召喚調査を急がない姿勢を示したが、夜遅くなって召喚方針を明らかにした。

 検察は、「入国時通報要請」の対象であるチェ氏が、ロンドンで飛行機に搭乗した時点で彼女の帰国事実を知った。検察は同日、チェ氏の最側近であるコ・ヨンテ氏とイ・ソンハン前ミル財団事務総長を再び召喚するなど、チェ氏の調査に向けた準備作業を続けた。

チョン・ドンクKスポーツ財団初代理事長が30日午後、ソウル中央地検に召喚されて下を向いて庁舎に入っている/聯合ニュース

 これまで身を潜めていたチェ氏の早期帰国は、検察の捜査が大統領府に向かうのを防ぐためのものとみられる。検察が29日に続き、30日も大統領府に対する家宅捜索に乗り出して大統領府を圧迫している状況で、捜査の流れを止めるための戦略ではないかという疑いの声もあがっている。ある検事出身の弁護士は「チェ氏が検察で行った供述がアン・ジョンボム首席秘書官など大統領府の主要関係者にとっては、検察の捜査への対応指針になるかもしれない」と話した。チェ氏に対する検察の調査内容を踏まえ、関係者が口裏を合わせる可能性があるということだ。

 検察の捜査に対するチェ氏側の対応は極めて組織的に行われているとみられる。チェ氏と組んで、文化界で専横を極めたという疑惑が持ち上がっているチャ・ウンテク元文化創造融合本部団長も、2カ月間の中国への逃走を終えてまもなく帰国する意思を明らかにしており、チェ氏の別の最側近であるザ・ブルーKのコ・ヨンテ常務も27日、タイから帰国し、検察に自ら出頭した。ある法曹界の関係者は「チェ氏が欧州逃避を続ける場合、すべての疑惑に対する負担を完全に朴大統領が背負うことになりかねない。朴大統領と運命共同体であるチェ氏としては、朴大統領を救うことが本人も生き残れる道だと思ったかもしれない」と話した。検察の捜査に大統領府が崩れ落ちれば、チェ氏は韓国国内に保有している数千億ウオンの財産を守れない状況に陥る可能性もある。

チョン・ヒョンシク元Kスポーツ財団事務総長が30日午後、ソウル中央地検に出頭し、固い表情で記者たちの質問に答えている=イ・ジョンア記者//ハンギョレ新聞社

 チェ氏は現在大統領の演説文や人事資料など公務上の機密を事前に受け取った情況(大統領記録物管理法違反・公務上秘密漏洩罪)が明るみに出ており、企業を圧迫してミル・Kスポーツ財団に寄付金を支払わせた疑い(包括的賄賂罪)もかけられている。ドイツなどに現地法人を設立して財団の資金を流用(横領・背任)したという疑惑も持ち上がっている状態だ。これらの関連疑惑をチェ氏は正面突破する方向を固めたものと見られる。彼女は「世界日報」とのインタビューで、演説文の事前閲覧事実だけを認め、大統領府報告資料の閲覧やミル・Kスポーツ財団の資金流用など、他の疑惑については全面的に否定している。アン・ジョンボム首席やチョン・ホソン秘書官についても、顔も知らなないとか、会ったことがないと、否定している。演説文を事前に閲覧したことについても、チェ氏は「国政介入に当たるとは知らなかった。純粋な気持ちで行ったもの」だと釈明している。

 チェ氏の弁護人であるイ・ギョンジェ弁護士は同日、記者団に「これまでマスコミに報道されたことが全て事実とは限らないではないか」としたうえで「憲法と法律によって事実が認められるだろう。そのような手続きを踏んで進めていく」と話した。

チェ・ヒョンジュン、ヒョン・ソウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/768000.html 韓国語原文入力:2016-10-30 17:18
訳H.J(1759字)

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