朴槿恵(パク・クネ)大統領の退陣と下野を求めるろうそくデモが韓国全土の日曜日の夜を占領した。ソウルの光化門だけでなく、釜山、蔚山、全州、議政府など全国の主要都市の広場は、怒れる市民の声で埋め尽くされた。全州では市内バスの運転手たちが警笛を鳴らして参加した。
デモの様子を見ると、怒涛のように全国を覆って軍事独裁政権を終わらせた1987年の民主化運動の再演をあたかも目撃しているようだ。家族単位、老若男女を問わずおしなべて各層からの参加という点から李明博(イ・ミョンパク)政権の序盤期の米国産牛肉輸入反対ろうそくデモの時とも似ている。しかし今回の大統領下野要求デモは、狂牛病騒ぎの時よりはるかに深刻だ。組織的な動員より自発的な参加が圧倒的に多いし、デモ初日から市民の参加の気概は熱い。これまで底辺でグツグツと煮えたぎっていた怒りが一気に出てきている様相だ。全国の大学の教授や学生が皆、競うように声明を出しているのも民主化以降めったになかった風景である。
29日の光化門のデモの途中にデモ隊に対して、「国を心配している」という放送をしたり、30日には前日の不法デモの後「デモ隊に感謝する」という趣旨の非常に異例な報道資料を出したソウル警察庁の態度の変化は、政権を守る堤防の一端が崩れていることをよく示している。それだけ朴政権は政府内部ですら正統性を失い分裂していると言えよう。「崩壊直前」ではなくて「崩壊中」という方が正しい。
状況がこのように急に悪化しているのに、朴大統領の態度は非常にのんびりしている。大統領が25日に謝罪して、3日後の28日夜に大統領府首席秘書官たちの一括辞表を集め、30日に問題のウ・ビョンウ、アン・ジョンボム首席と「門番(権力の有力な手先)3人衆」を更迭した。しかし29日にはチェ・スンシル問題と関係がないとは言えないキム・ギチュン前秘書室長までを党の元老との面談に招くというあきれたことをしている。28日からイ・ジョンヒョン・セヌリ党代表、チョン・ジンソク院内代表、党の元老、市民社会の代表を招いた意見の取りまとめをする姿勢を見せようとしているが、市民の怒りから逃れるための見せ掛けという印象が強い。
市民の気持ちはすでに十分にあらわれており、大統領が会っている人は市民の代弁者というより世論の反対者に近い。大統領はこれ以上ごまかしで生き延びようとしないことを望みたい。
韓国語原文入力:2016/10/30 18:31(1190字)