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韓中日の学者たち、慰安婦問題は「終わっていない」歴史

登録:2016-10-29 01:09 修正:2016-10-29 08:09
2016ハンギョレ-釜山国際シンポジウム  
最終セッション:東アジアの平和と和解
第12回2016ハンギョレ-釜山国際シンポジウム二日目の今月28日午後、釜山海雲臺区のヌリマルAPECハウスで、「東アジアの平和と歴史和解のための市民社会の役割」をテーマに、第4セッションの討論が開かれている=釜山/キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

 28日午後に開かれた「ハンギョレ-釜山(プサン)国際シンポジウム」の第4セッションでは、東アジアの平和と和解のためには必ず乗り越えなければならない日本軍慰安婦問題が議論された。韓国と日本政府は昨年12月28日「最終的かつ不可逆的解決」だとして、慰安婦問題に合意した。しかし、同日の発表者および討論者として参加した韓中日の学者と市民社会の関係者たちは、慰安婦問題は「終わっていない歴史」という点を明確にした。

 アジア平和歴史研究所のヤン・ミカン理事は、12・28合意をめぐる評価が分かれている現実について指摘し、この合意が政府と市民団体間に深刻な対立と不信感をもたらしたと指摘した。ヤン理事は「この20年間、市民社会は慰安婦問題と関連し、(日本政府が戦争)犯罪を認め、真相を究明して公式に謝罪することを要求してきたが、何一つ実現されていない」と明らかにした。彼は「韓国内でも疲労感が累積されたのが事実」だとしながらも、「重要なのは被害者が何人かさえも解明されていない現実」だと述べた。

 ヤン理事は、12・28合意の核心は、日本政府が韓国の「和解・癒やし財団」に10億円を送金してから、今後は慰安婦問題を取り上げないことにしたことにあると指摘した。さらに、12・28合意が被害当事者が中心となった合意ではなかったことや、法的責任と10億円基金の性格が曖昧であること、少女像の撤去をめぐる両国の立場が食い違っていることも問題だと明らかにした。

 また、ヤン理事は市民社会の再交渉要求と国内外的に少女像の建立が拡散する状況のなかで、日本政府の真正性が問題解決に向けて最も重要だと指摘した。彼は歴史の正義と和解のためには「我々自らこの歴史を記憶するための闘争が必要だ」と述べた。

 日本「歴史教科書ネット」熊本事務局の田中信幸局長は、日本国内で台頭している歴史修正主義を強く批判した。田中局長は「慰安婦証言」を初めて報道した植村隆・元朝日新聞記者に対する日本社会の非難が高まったことを受け、朝日新聞社が「誤報」と認めたのは不適切だったと指摘した。植村氏は1991年8月11日、故金学順(キム・ハクスン)ハルモニ(おばあさん)の証言を通じて、韓国人慰安婦被害者問題を初めて報道してから、日本社会で非難を受けてきた。2014年、朝日新聞は「韓国人女性たちが強制連行された」とした吉田清治氏の証言が「虚偽だと判断した」として、「吉田証言」が掲載された記事を取り消した。田中局長は「当時、産経新聞と毎日新聞も『女子挺身隊と慰安婦』を認める報道をした」として、朝日新聞の謝罪は結局、これらに対する批判者である歴史修正主義者たちに対する屈服」と述べた。

 彼は「安倍晋三首相は、強制連行という言葉が本当に好きだが、『強制連行がなかったため、犯罪ではない』というのはとんでもない主張」だとし、「大審院(現在の最高裁判所)は1933年、静岡の女性をだまして満洲に連れて行った被告人らに国外移送を目的とした未成年者に対する誘拐罪を認めた」と述べた。また、これと類似した1937年長崎事件の大審院判決も紹介した。

 田中局長は「日本の中学校教科書からは慰安婦問題がほとんど消えた」として遺憾を表わした。また、「(日本)国民が主権者として歴史認識を回復することが重要だとして、改憲の阻止に乗り出さなければ、日本には未来がない」と付け加えた。

 中国南京師範大学の張連紅教授は、アジアで最大規模の慰安婦施設と推定される中国南京の利済港2号「東雲慰安所」に建てられた慰安婦記念館の設立過程を通じて、中国内の慰安婦歴史教育における困難を打ち明けた。張教授は「中国では韓国に比べて慰安婦問題に消極的だった」としたうえで、「日本の右翼政権に対応するだけでなく、中国自らが私たちが持っている痛みを直視し、克服していくべきだと思う」と述べた。

釜山/キム・ジウン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/767871.html 韓国語原文入力:2016-10-28 21:23
訳H.J(1917字)

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