ドナルド・グレッグ元駐韓米国大使
「朝鮮半島の平和…」基調講演で明らかに
27日に開幕した「第12回2016ハンギョレ・釜山国際シンポジウム」で、ドナルド・グレッグ元駐韓米国大使は「北朝鮮の核実験とタイ国王の逝去などで朝鮮半島をめぐる情勢が不安な今こそ、北朝鮮政権との対話と交渉を始める時」と強調した。この日「朝鮮半島の平和のための国際社会の協力と衝突」というテーマで基調講演を行ったグレッグ元大使は、10月21~22日にマレーシアのクアラルンプールで行われたロバート・ガルーチ元米国務省北朝鮮核問題担当特使とハン・ソンリョル北朝鮮外務次官らとの朝米非公開接触について「肯定的で素晴らしいこと」と高く評価した。
グレッグ元大使はまず6月、米国スタンフォード大学で開かれたカンファレンス「東北アジアのセキュリティ協力:北朝鮮の核問題と解決策」で、ジョージ・シュルツ元米国務長官、ウィリアム・ペリー元米国防長官などの専門家が「現在必要なのは北朝鮮との対話と新しい政策、そしてこれを履行できる新しい人々」という意見に同意したと伝えた。同時にクアラルンプールでの朝米接触が示唆する今後の朝米関係の発展可能性に期待感を示した。
彼は1992年、韓米政府が両国の合同軍事演習であるチームスピリット演習の中止を発表した後、南北間に9回の会合を実現させた点を例に挙げ、長年の北朝鮮に対する経験の中で得た教訓の一つは「誰が先に敗北するかを論じないこと」だと助言した。
基調講演に先立ち、ハンギョレ統一文化財団のイム・ドンウォン理事長は、開会辞を通じて「北朝鮮の5回目の核実験の余波の中で米大統領選挙が行われるなど、大きな変化が起きている朝鮮半島および東アジアの未来像を共に考えるため、各国の著名な学者が一堂に会した」とし、12回目のシンポジウムの趣旨を説明した。
続いて開かれた午後の第1セッションでは、全米北朝鮮委員会(NCNK)のキース・ルース事務総長と北京大学のパン・スミン教授など、米国、中国、韓国、日本の専門家が、米新政権の対北朝鮮政策が米中関係や対北朝鮮政策にどのような変化をもたらすかについて各国の観点から照明を当てた。ルース事務総長は新しい政権が対北朝鮮政策を対話と交渉の積極外交に転換するためには、2017年1月中に北朝鮮との対話を真剣に考慮しているというシグナルを北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長に伝えることができる高位級の対北朝鮮政策担当者(特使)を任命すべきであり、ヒラリー・クリントンが大統領になれば、ビル・クリントン元大統領がその役割を担う可能性もあるだろうと述べた。
さらに、第2セッション「北朝鮮の変化に向けた国連の役割」では、世界保健機関のナギ・シャフィック前平壌事務所プロジェクトマネージャーをはじめとする学者、専門家、市民社会代表などが、北朝鮮への人道的支援と北朝鮮・中国・ロシアの接境地帯である豆満江(トゥマンガン)地域開発計画など、朝鮮半島の平和と北朝鮮の変化に向けた国連の役割を議論した。
2日目の28日には、海洋水産開発院との共同主管で「海洋スタートアップと海の雇用創出」というテーマの「海洋セッション」が開かれ、韓中日の市民社会の専門家や学者が参加する討論「東アジアの平和と歴史の和解のための市民社会の役割」が行われる。