農民ぺク・ナムギ氏に対して行われた放水が規定に違反していなかったという警察の主張の根拠は、紀元前580年頃生まれた古代ギリシャの数学者ピタゴラスだった。
13日、5月にペク氏の遺族が国家を相手に起こした民事訴訟裁判部(ソウル中央地裁民事42部)に警察が提出した「答弁書」によると、警察は昨年の民衆総決起当時「デモ隊が20メートルの距離にいる場合、2000rpm(7bar)前後の水の勢いと水圧で放水しなければならない」という規定に反したという遺族の主張に対して「ペク氏との距離が21メートル以上だったので規定に反したことにはならない」と反論している。
警察の主張の根拠は放水口の高さだ。警察は「放水車とペク氏の間の水平距離は約20メートルであると考えられる」と述べながらも、「放水口の位置が警察バスより2倍以上高く、警察バスの高さが3メートル以上であることを考慮すると、放水距離は少なくとも21メートル以上」だと主張した。つまり、ペク氏が放水車から20メートルほど離れていたのは事実だが、放水口の高さが6メートル以上であるため、実際の距離は平面上の直線距離ではなく斜辺距離で解釈すべきだという論理だ。
流体力学の専門家であるネクストイーアンドエスのノ・ヒョンソク理事はハンギョレとの電話インタビューで「地面近くにあるポンプから放水口まで水を上げる時にエネルギーが消費され、再び地上にいるデモ隊に向かって水が放水されればエネルギーが増加される」とし「放水口の高さが地上6メートルであれ20メートルであれ、水の強さは同じだ」と説明した。
一方、ソウル鍾路(チョンノ)警察署のホン・ワンソン署長がこの日午後、ペク氏の遺族らと解剖について協議するためソウル大学病院葬儀場を訪れたが、遺族は「解剖を前提にした協議手続きには応じられない」とし、会うこと自体を拒否した。鍾路警察署は前日、16日を期限とする4回目の協議要請を通告している。
これに先立ち遺族側の法律代理人は、憲法裁判所に「死因は明白であり、遺族が望まないにもかかわらず解剖検査令状を発行したのは過剰禁止原則に違反している。遺族の遺体処分権を侵害している」とし、憲法訴願審判請求を提起した。また、憲法裁の判断が出るまで令状の効力を停止させてほしいという仮処分申立ても出した。
この日、最高検察庁で開かれた国会法制司法委員会の国政監査では、共に民主党のパク・ジュミン議員がペク氏の死亡原因の一つとして取り上げられている赤いレインコートの男性が映った映像をスローモーション編集して公開した。この映像によると、赤いレインコートの男性はペク氏の顔の上には倒れておらず、腕を伸ばして地面に手をついている。パク議員は「赤いレインコートの男性による加撃説がどれほど荒唐無稽か分かる」と述べた。この仮説は極右インターネットコミュニティ「イルベ」で初めて提起され、与党の国会議員たちによって引用されており、最近検察のソウル大学病院押収捜索令状でも家宅捜索が必要な理由として登場した。