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世界で最も多く使われている除草剤に発ガン物質

登録:2015-03-22 23:27 修正:2015-03-23 05:25
WHO、「ラウンドアップ」をグループ2の発ガン物質に公式発表 
除草剤に耐性を持つよう遺伝子を操作した穀物とうもろこし。 資料写真//ハンギョレ新聞社

 モンサント社の販売する除草剤…国際穀物市場に大きな波紋 予想
 モンサント側「信頼に値する科学的データがない」反論

 世界で最も広く使われている除草剤「ラウンドアップ」をはじめ汎用農薬3種が、人体に癌を誘発する危険が高いと世界保健機構(WHO)が公式発表した。

 世界保健機構傘下の国際癌研究所(IARC)は20日、「ラウンドアップは『ほぼ確実な発ガン性』があり、すでに使用が禁止された別の二種類の殺虫剤マラチオンとダイアジノンも『発癌可能性』カテゴリーに分類した」と明らかにした。 国際癌研究所はこれとは別の殺虫剤テトラクロルビンホスとパラチオンは動物実験で得た確実な証拠により発ガン性農薬に分類した。

 ただし同研究所は、「ほとんどの場合、農薬散布近隣地域に住んでいたり、家内耕作または食物摂取などでグリホサート(ラウンドアップの主成分)除草剤に露出するが、観測された水準は低い」と明らかにした。 研究所はまた「今回の分類は外部専門家グループの評価であり拘束力があるものではなく、(この農薬に対する)規制や合法化、公共保健当局の介入有無は個別国家の責任」と付け加えた。

 国際癌研究所は化学物質の発癌可能性評価を4段階に分類している。 グループ1は「発ガン性」、グループ2は「ほぼ確実な発ガン性」と「発癌可能性」、グループ3は「分類不能」、グループ4は「ほぼ確実な非発癌性」だ。

 国際癌研究所の慎重な表現にもかかわらず、今回の発表は農家と国際穀物市場に敏感な波紋を起こす展望だ。

 ラウンドアップは世界の遺伝子組み換え作物(GMO)市場の95%を掌握している米国モンサント社が1974年に発売した汎用除草剤だ。 グリシンというアミノ酸を利用して作ったグリホサートという物質が主成分だ。 2000年グリホサートに対するモンサントの独占権が消失し、現在は他の多くの農薬製造業者もこの物質系の除草剤を量産販売している。

 特に、モンサントは全世界の遺伝子組み換え作物の大多数の種子に対する特許権を独占しており、自社の種子がグリサホート除草剤に対する耐性を持つように開発した。 換言すれば、モンサントの遺伝子組み換え作物の栽培にはグリサホート系除草剤であるラウンドアップが使われることになるという意味だ。 したがって世界保健機構の今回の発表がモンサントの種子および除草剤販売に打撃を与える可能性もあると思われる。

 モンサントは20日、直ちに報道資料を出し「市販中のグリサホート系のすべての除草剤は人間の健康を保護するための保健当局の厳格な基準と規制を充足している」と反論した。 その内容は、「国際癌研究所の今回の発表は既に検討されたものであり新しいものではなく、信頼に値する科学的データが揃っておらず、今回の分類がグリホサートと癌発病増加傾向の関連性を立証するものでもない」ということだ。

 これに先立って1985年に米国環境保護庁(EPA)は、ネズミ実験結果に基づいてグリホサートを癌誘発可能物質に分類し、1991年別の実験結果を根拠に発ガン性物質ではないと再分類した経緯がある。 しかし、その後にも米国、南米、インドなどの大規模農作物栽培地ではグリホサート散布と関連して皮膚・呼吸器・甲状腺疾患などの問題に対する報告が絶えることなく続いている。

チョ・イルジュン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/683358.html 韓国語原文入力:2015/03/22 20:59
訳J.S(1612字)

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