「私はあまり英語が分りませんが、怪物は英語でモンスターだそうです。THAADはモンスターだ!」
「THAADについて調べてみましたが、悪くて汚いものですよね? 朝鮮半島の平和を脅かすものですよね?」
21日午後、高高度防衛ミサイル(THAAD<サード>)の配備に反対する星州(ソンジュ)郡民2000人が上京し、ソウル駅広場でTHAAD配備に反対する集会を開いた。郡民らは、一部メディアの「外部勢力の介入」説に反発し、住民の意見を無視して推進した政府のTHAAD配備の決定に憤りをあらわにした。
「THAAD配備の撤回を求める星州闘争委員会」は同日午後、ソウル駅広場で「平和のためのTHAAD配備の撤回を求める星州郡民決起大会」を開いた。約2000人の郡民らは仕事も休んで朝9時から貸し切りバス52台に乗り込み、上京した。午後2時に32~33度の暑さで熱せられたアスファルトの上に座った郡民たちの顔は、すでに黒く焼けていた。頭には「THAAD配備決死反対」と書かれた青いはちまきをして、胸には青いリボンをつけていた。彼らは「群守を中心にTHAAD配備を阻止しよう」、「住民安全を無視したTHAAD配備を撤回せよ」、「子供たちに未来を、希望を持たせよう」などのスローガンを叫びながら、小さな太極旗(韓国国旗)を力強く振っていた。
「外部勢力が介入し、反対集会が拡散している」という保守係メディアの報道に対応するかのように、郡民たちは団結した姿を見せた。安全管理と秩序維持のため、赤色の服を着た海兵隊戦友会の20人があちこちで警光棒を振った。彼らの胸の上にも青いリボンがついていた。ほとんどの郡民たちが居住地域と名前が書かれた名札まで首にかけていた。本部では秩序維持のために250人を配置し、郡民ではない人たちが集会に参加するのを防いだ。星州闘争委員会のキム・アンス共同委員長は「ここで物理的衝突が起きると、また外部勢力とか、従北(朝鮮)とか言われるから、秩序を守って(集会を)行うつもりだ」と話した。
警察も、外部勢力の介入はないだろうと予想した。ソウル地方警察庁の警備課長は「今日の集会は星州郡民だけで行うと言っていた。 外部勢力が介入しているという情報は聞いていない」と明らかにした。警察は45中隊3730人を配置した。
牛80頭を飼育している星州邑金水(クムス)面のムンさん(65)は同日午前4時に牛に飼葉をあげてからソウルに向かった。村の住民80人と共にバス2台に乗り込み、昼頃にソウル駅に到着した。サングラスをかけてハンカチを首に巻きつけたムンさんは「最近忙しいのに、ソウルまできた。星州に(配備)してはならないということだ。村のみんなとお金を出し合って、ここまできた。政府は私たちを孤立させようと、赤狩りや従北攻勢のような手を私たちにも使っている。星州にはそんな人はいない」と言い切った。
昨年の大統領選挙で、郡民86%が朴槿恵(パククネ)大統領を支持した星州群民たちは、裏切られたと感じていた。星州邑に住む妊娠6カ月のイさん(32)も我慢できずに上京したと話した。イさんは朴大統領を支持したが、今は「血を吐く思いで反省している」と語った。イさんは「今になってこんなことを言っていいかどうかわからないが、80年光州(クァンジュ)やセウォル号遺族たちの心境が分るようになった」と話した。また、「集会に出た若い人たちを見て外部勢力だと言うが、星州がド田舎だとでも思っているのか」と怒りをぶつけた。一緒に上京した郡民たちと個人的に光化門(クァンファムン)広場のセウォル号テントを訪れる計画だと話した。
星州邑のキム・イギさん(53)も4000坪マクワウリ、ニラの畑仕事を1日中断して上京した。朴大統領を支持したというキム氏は依然として慎重な態度を崩さなかったが、失望感を覗かせた。キム氏は「自分が住む地域へのTHAAD配備が不当であるというよりも、朝鮮半島にTHAADを持ち込むのを否定したくて出てきた。大統領は、反対意見があっても決定を下すべき時は下さなければならないだろうが、このように犠牲になって疎外される人たちが生まれることも、知ってもらいたいと言いたい」と話した。「THAAD報道ガイドライン」と関連し、インタビューを要請している記者に「KBS(韓国放送)の記者なのか」と尋ねる群民もいた。
同日、キム・ハンゴン郡守と婦人会会長など10人はTHAAD配備に抗議する意味で剃髪を行った。キム郡守は「慶尚北道の平均は80%だが、星州は86%が大統領選挙で朴大統領を支持した。 こうした忠心を認めてもらいたい」、「一部では、ニンビー(NIMBY)、地域エゴと非難し、外部勢力とか、従北と言って星州郡民を孤立させようとしている。惨憺たる状況だ。軍がTHAAD配備を言及してから3日で郡民の犠牲だけを強要し、決定に従えという。大統領を会わせてほしい」と発言した。同日、闘争委員会は、郡民らの名前で大統領府と米国大使館に抗議書簡を送った。
広場付近では真理大韓党の会員約20人が「THAAD配備の反対で、南南対立(韓国内での対立)を誘発してはならない」と訴え、THAAD配備に賛成する集会を開いたが衝突はなかった。
同日、ソウル駅前広場の集会は午後4時に平和裏に終わった。共に民主党のパク・ジュミン議員や国民の党のチェ・ギョンファン、ソン・ギソク、チェ・イベ議員、イ・ブヨン元議員が集会現場を訪れた。
韓国語原文入力:2016-07-21 17:20