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済州・加波島に韓国初のエネルギー自立島実現へ

登録:2016-07-13 01:16 修正:2016-07-13 18:38
韓国で初のエネルギー自立島 
エネルギー自立度42%、完全自立まではまだ半分
済州・加波島の風力発電機=韓国電力//ハンギョレ新聞社

 加波島(カパド)は汝矣島(ヨイド)の3分の1ほどの面積の小さな島だ。汝矣島が2.94平方メートル(89万坪)、加波島が0.85平方キロメートル(26万坪)。済州島(チェジュド)の南沖、韓国最南端の馬羅島(マラド)と 摹瑟浦 (モスルポ)港の間に位置する。この小さな島で「エネルギー自立」という画期的な実験が行われている。

 

 加波島が「エネルギー自立島」事業を始めたのは2011年。加波島が同事業のモデル地に選ばれたのは、島の規模が小さく、風力や太陽光を得られやすく、陸地から比較的近いためだ。事業には143億ウォン(約13億円)が投入された。250キロワット規模の風力発電機2台とともに、49カ所に174キロワット規模の太陽光発電機が設置された。またエネルギー貯蔵システムとシステムオペレーションセンター、電力変換装置、遠隔計量器も設置された。こうして生産された電気で、各世帯で使用する電気と電気自動車4台、海水淡水化施設などを運営している。

済州・加波島のエネルギー生産容量と供給の比率//ハンギョレ新聞社

 エネルギー自立島事業の開始後、加波島の住民の生活は大きく変化した。加波島の人口は97世帯178人で、65歳以上の高齢者世帯を除いた49世帯に太陽光発電機が設置された。事業が開始する以前は、夏の1カ月の電気代は12万〜13万ウォン(1万900〜1万1800円)だったが、現在2万〜2万5千ウォン(1800〜2300円)になり、5分の1に減少した。また、2008年に1万人、2011年に4万人規模だった観光客は、2015年には11万人と大幅に増加した。加波島のジン・ミョンファン里長(55)は「事業初期には再生可能エネルギーの効果はそれほどでもなかったが、今では電気料金が減り、観光客が増え、二重の効果を得た」と話す。

 今年4月23日から7月12日までの加波島の累積エネルギー自立割合は42パーセントだ。風力が32パーセント、太陽光が10パーセントである。 5月には50パーセントを超えることもあったが、梅雨に入り比率が低下した。残りの58%は依然としてディーゼル発電機である。風力と太陽光を合わせた発電容量は1日674キロワットで、加波島の1日の平均電力需要の142キロワット、最大需要である230キロワットをすでに優に超えている 。だが、風力と太陽光は安定的に生産されないため、3.86メガワット時規模のエネルギー貯蔵システム(ESS)に残余電力を保存する。これによって最大8時間ほどだけ使用することができる。

加波島の一般家庭に設置された太陽光発電機=韓国電力//ハンギョレ新聞社

 エネルギー自立度42パーセントが示すように、加波島の成功は半分に過ぎない。今後、自立度を100パーセントまで高めなければ本当の「エネルギー自立島」とはいえない。この事業を推進する韓国電力エネルギー新産業団のファン・ウヒョン団長は、「エネルギー貯蔵システムを現在の2倍に増やすことができれば最大3日まで供給することができ、自立度を100%に高めることができる。そのためには、現在の貯蔵システムの価格が半分以下に下がらなければ」と話す。

 加波島で始まったエネルギー自立島事業は韓国内に広がっている。2番目の事業を進める全羅南道珍島(チンド)郡加沙島(カサド)は、再生可能エネルギーの発電機の規模を増やし、自立度100パーセントに挑戦しており、3番目の事業を進める鬱陵島(ウルルンド)は加波島、加沙島よりもはるかに大きな人口規模(約1万人)でエネルギー自立を試す。韓国政府は企業の資本を誘致し、徳積島(ドクジョクド)など5つの島でエネルギー自立島事業を推進している。

 韓国政府と済州島は、2030年までに人口60万人の済州島全体を「カーボンフリーのエネルギー自立島」に発展させる計画だ。すでに舊左(クジャ)邑一帯に、3500億ウォン(約317億円)の事業費をかけて180メガワット規模の再生可能エネルギー発電施設を備えている。ファン団長は「済州島で成功すれば、この成果を徐々に陸の都市にも拡散させる計画だ。電気自動車と家庭用太陽光発電、貯蔵システムなどが変化を率いるだろう」と語る。

加波島/キム・ギュウォン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
加波島で運行する電気自動車=韓国電力//ハンギョレ新聞社

【用語の説明】「エネルギー自立島」とは、エネルギーを風力、太陽光など再生可能な方法で自ら生産し、需要の100パーセントを供給する島をいう。島は通常周辺地域から離れているため、エネルギー自立事業のモデル地域となる。このように小さな地域で自給自足するエネルギー自立システムを「マイクログリッド」という。「スマートグリッド」は、電気の生産、運搬、消費に情報通信技術を適用し効率性を高めた電力網とシステムをいう。「グリッド」とは電力網の意味。

韓国語原文入力:2016-07-12 22:04

https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/752014.html 訳M.C

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