来年末までに実戦運用
配備地域すでに決定、数週間内に発表
中国、韓米大使と呼び強く抗議
ロシアも直ちに反発声明を発表
韓中、米中、米朝関係の悪化で朝鮮半島に乱気流
韓米が最新鋭の地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル」(THAAD<サード>)を在韓米軍に配備することを最終確定し、中国やロシアなどに通知した。中国とロシアは直ちに強い反対意思を明らかにし、配備の中止を求めた。 朝鮮半島をめぐる外交・安保情勢が荒波に巻き込まれている。政界でも野党を中心に韓中関係の悪化とそれに伴う経済的な影響をめぐる論争が起きている。韓米当局はTHAAD配備の場所もすでに決め、発表時期を検討している。候補地に取りあげられた地域では「自分たちが住む地域はだめだ」と反発が強まっている。
国防部と在韓米軍は8日、共同発表文を通じて「北朝鮮の核・大量破壊兵器(WMD)および弾道ミサイルの脅威から韓国と国民の安全を保障し、韓米同盟の軍事力を保護するための防衛的な措置として、在韓米軍にTHAADを配備することを韓米同盟のレベルで決定した」と明らかにした。韓米は遅くとも来年末までの実戦配備を目指している。THAAD配備は今年2月に韓米が公式協議に着手し、既成事実化させたが、公式発表したのは今回が初めてだ。軍当局者は前日午後にこの決定事項を中国とロシアにも通知したことを明らかにした。
中国とロシアはそれぞれ政府声明を発表して強く抗議するなど反発している。
中国は同日、キム・ジャンス駐中韓国大使とマックス・ボーカス駐中米国大使を緊急に外交部に呼び出し、強く抗議した。洪磊・外交部報道官は定例会見で「中国は(韓米の今回の決定に対して)関係国の大使らに対し、厳正な憂慮を伝えた」としたうえで、「(韓米が)直ちにTHAAD配備の手続きを中止」することを要求した。これに先立ち、中国外交部は同日、THAAD配備の発表直後にホームページに「強烈な不満と断固とした反対」の立場を盛り込んだ「外交部声明」を掲載した。
ロシア外務省も異例のスピードで声明を発表し、「いかなる名分を掲げても(THAADの朝鮮半島配備は)地域の緊張を高め、朝鮮半島問題の解決に新たな困難をもたらす可能性が高い」と主張した。ロシア上院国防委員会第1副委員長のエフゲニー・セレブレンニコフ氏は同日、リアノーボスチ通信とのインタビューで「韓国内のTHAAD基地を射程に収めるミサイル部隊を極東地域に配備することもできる」と警告した。セレブレンニコフ氏は「ミサイル部隊は在韓米軍のTHAAD基地までの距離を考慮し、どこにでも配備できる」と指摘し、「(極東)クリル諸島(日本名・千鳥列島)の軍事インフラの再建計画を前倒しすることもあり得る」と語った。
これに対し、国防部は「THAADが朝鮮半島に配備されれば、いかなる第3国に向けられることもなく、北朝鮮の核とミサイル脅威に対してのみ運用される」とTHAAD配備を強行する意向を明らかにした。
THAAD配備の地域もほぼ決定された状態だ。リュ・ジェスン国防部政策室長は記者説明会を開き、「THAAD配備地域の問題も最終確定の段階にある。これまでいろいろな所を対象に評価し、現在一つの地域を選定した」ことを明らかにした。しかし、政府は候補地の選定と関連し、一部の行政作業と細かい軍事技術的作業が残っているとの理由で、THAADが配備される地域を発表しなかった。リュ室長は「遅くとも数週間内に発表することになるだろう」と述べた。THAAD配備の候補地とされる京畿道平沢(ピョンテク)、江原道原州(ウォンジュ)、慶尚北道漆谷(チルゴク)は「自分たちの地域は絶対だめだ」と強く反発している。
政界でも議論が続く見込みだ。共に民主党はTHAAD配備そのものには反対していないが、「国民や野党と十分な論議がなかったことに遺憾の意を表す」という立場を示した。国民の党と正義党は「韓中関係の悪化による経済的影響」などを懸念し、決定の撤回を求めた。
韓国語原文入力:2016-07-08 22:03