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新古里5、6号機の危険半径に人口183万人…安全無視した原発増設の承認

登録:2016-06-24 07:10 修正:2016-06-24 07:33
釜山、梁山、蔚山に集中
「脱原発・蔚山市民共同行動」は23日、蔚山市庁前で新古里5、6号機の追加建設反対の記者会見を開き、100人が参加するなかで人の輪をつなくイベントを行った=シン・ドンミョン記者//ハンギョレ新聞社

規定通りなら32~43キロ離さねば
機張新都市はわずか11キロ、蔚山23キロ
活断層多いが耐震設計も不十分

 原子力安全委員会(原安委)は韓国水力原子力(韓水原)が提出した新古里(シンコリ)原発5、6号機の新規建設許可申請の案件をめぐり、先月26日と今年の9日の2回にわたり激論を繰り広げたのに続き、23日も8時間のマラソン会議の末、票決で建設許可を議決した。野党と環境団体は、安全性を無視した決定と批判の声を高めており、新古里原発5、6号機をめぐる難航は建設過程まで続くものと予想される。

 野党と環境団体が最も問題視するのは、2原発が人口密集地域に追加で建設されることにある。特に、原安委が自ら原発敷地の規定を定めておきながら、これを適用することなく別の規定を引き入れ、原発の建設を許可した点を指摘している。共に民主党のウ・ウォンシク議員は同日、「韓水原の新古里5、6号機建設許可申請書・審査を担当する韓国原子力安全技術院に質疑した結果、米国原子力規制委員会(NRC)の規定RG1.195を準用したとの回答を得た」と明らかにした。しかし、原安委は2014年に制定した「原子炉施設の位置に関する技術基準」で原発の敷地を決めた際、米国原子力規制委員会規定(TID14844)を準用すると言っていた。TID14844には、原発敷地は2万5千人以上の人口密集地域では32~43キロ離れていなければならないと規定されてある。しかし新古里5、6号機は、建設予定地から11キロ離れた機張(キジャン)郡鼎冠(チャングァン)邑の鼎冠新都市に7万人、12キロ離れた機張邑には5万5千人が居住している。人口19万人の梁山(ヤンサン)市も24キロの距離で、安全距離の内側にある。また、原発の建設予定地は42万人が住む釜山市海雲台(ヘウンデ)区の中心地から21キロ、110万人の蔚山(ウルサン)市庁までは23キロの距離だ。

 原発が密集するなかで原発1基が事故を起こした時の危険性に対する評価も争点となった。原子力安全技術院は検討報告書で「安全関連設備を原発同士が共有していないため、設備故障が他の原発の安全に影響を与えるおそれはない」と明らかにした。パク・ジョンウン東国大原子力・エネルギー工学部教授は「古里原発は集中度が非常に高く、複数の原発の相互安全性評価が必ず先行されねばならない」と指摘した。

 環境運動連合は、朝鮮半島で発生しうる地震の最大規模は学界で7.5まで推定されているとし、新古里原発5、6号機の耐震設計が規模6.9にされているのに建設が許可されたと批判した。オ・チャンファン全北大地球環境科学科教授は「朝鮮半島の東南部地域は地震を引き起こすおそれのある大きな断層帯が8つ存在し、発見された小さな断層帯が50個以上にもなる活断層が集中した場所で、この地域に原発を建設するには最も保守的な評価に基づいて設計がされなければならない」と話した。

イ・グンヨン先任記者、キム・ギュウォン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-06-23 23:20

https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/749495.html 訳Y.B

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