「進行中の事案、異論」との米国防長官発言に
韓国国防部は「今回は議論しない」と否定
中国の圧迫もあり両国に温度差
10月のSCMで結論との展望も
韓米国防長官会談を控え、両国の国防当局が在韓米軍へのTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備問題で食い違う発言をしている。
米国のアシュトン・カーター国防長官は2日(現地時間)、シンガポールで開かれているアジア安保会議(シャングリラ対話)で韓国のハン・ミング国防長官に会えば、THAAD配備問題が議論されると述べたと米オンライン軍事専門誌「ブレーキング・ディフェンス」が報じた。シャングリラ対話(3~5日)は毎年シンガポールで開かれる多者安保フォーラムで、この対話に参加する韓米の国防長官は4日に別途の会談を行う予定だ。カーター長官はTHAAD配備と関連して「我々が議論することは多くない。その計画は進行しているから」と付け加えた。米国防総省高官もTHAAD配備問題で「まもなく公開発表があるだろう」と述べたと報じられた。
だが、今回の韓米国防長官会談の実務準備責任者を務める韓国国防部高官は4日、シンガポールで記者団に「今回はTHAAD議論はない」と否定した。この当局者は「3月に構成された韓米共同実務団でTHAAD配備問題を議論している。当面発表する内容はない」と話した。これに先立ち国防部もソウルで報道資料を出し、「今回のシャングリラ対話で韓米国防長官がTHAAD配備と関連して議論する計画はない」と明らかにした。
韓米間の発言の食い違いは今回が初めてではない。韓米が2月7日の北朝鮮による長距離ロケット発射を機にTHAAD配備問題の協議を公式化する以前にも、米側が先走れば韓国は後ろに引く奇妙な姿を見せてきた。こうした違いは、両国が判断する事案の敏感さが異なるためと見られる。米国にとってはTHAAD配備が北朝鮮と中国を牽制するための決め手となる戦略となる。しかし韓国はTHAADに反対する中国を意識せざるをえない。国内的にもTHAADをどこに配備するかは住民の反発など政治的な引火性の強い事案だ。急ぎたい事案ではないと言える。
韓国国防部内外では、10月に米国ワシントンで開かれる韓米安保協議会議(SCM)でTHAAD配備問題にケリがつくのではという展望も出されている。しかし、韓国国防部当局者は「韓米間の協議に期限は決められていない。THAAD配備に最適な場所を見つけるのにも時間がかかるだろう。いつ終えられるかは予断できない」と述べた。