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韓国の高圧電線・活線作業従事者に白血病が多発

登録:2016-05-11 08:13 修正:2016-05-11 11:47
白血病で死亡した電気労働者が初の労災申請
電柱で仕事をする電気労働者に高圧電気露出による癌や脳心血管疾患の発病可能性が高いと報告されている。写真は2010年に仁川市の延坪島で電気労働者が電柱で復旧工事をしている様子=延坪島/パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

電磁波のため白血病を発病と主張
勤労福祉公団が死亡原因を疫学調査

全国470カ所で約3000人が電気作業
古い高圧線交換で感電事故露出
癌・脳心血管疾患など発症相次ぐ

11日、羅州で全国1500人の疫学調査
活線作業の廃止と特殊健康検診を要求

 チャン・サングン氏(昨年死亡当時54歳)は26年間、電柱に上がり、配電設備補修を行った。通電する高圧電線で活線作業をする電気労働者だった。

 チャン氏は病院に一度も通ったことがないほど元気だった。しかし昨年1月末、痔の手術をするため病院で血液検査をして驚いた。「白血病が疑われる」と診断され、光州(クァンジュ)の大学病院に行った。急性骨髄性白血病の診断を受け、わずか4カ月後の5月31日に息を引き取った。

 チャン氏の遺族は昨年7月、勤労福祉公団の麗水(ヨス)支社に対し、労災の遺族給与と葬儀費を請求した。チャン氏の妻(51、全羅南道順天市)は「全南大学病院の主治医に『低周波による白血病が疑われる』といわれ労災申請をした」と話した。電気労働者が電波を含む電磁波により白血病が発病し死亡したことで労災を申請したのは、チャン氏の遺族が全国で初めてだった。勤労福祉公団は、韓国産業安全保健公団産業保健研究院に依頼し、チャン氏の発病と死亡原因が業務と関連があるか疫学調査を進めている。

 高圧電流が流れる電柱で仕事をする電気労働者たちが、癌や脳心血管疾患などで死亡したり発病する事例が相次いでいる。

 10日、全国建設労働組合電気院支部の集計(表参照)によると、チャン氏の死亡後に労組が受け付けた電気労働者の癌の発病事例は26人。このうち4人は死亡している。

電気労働者の職業性癌および脳心血管疾患発生の受け付け状況(資料:全国建設労組電気院支部、2016年5月10日基準、単位:人)//ハンギョレ新聞社

 活線電線路で15年にわたり電気労働者として働くチョン氏(41)は、2014年に異常な症状が現われ通院治療を受け、6日に白血病の診断を受けた。このほか脳梗塞(5人)、甲状腺癌(4人)、肝臓癌(3人)、心筋梗塞(1人)が発症した。昨年末、光州労働者健康センターとともに光州・全南地域組合員500人を対象に実施した血液検査でも、3人の白血球数値が基準値より低かった。

 韓国電力の下請会社として配電工事などをする全国470カ所で働く電気労働者は約3000人になると推定される。電気が一瞬でも絶たれるのを利用者が嫌がるため、電気労働者は2万2900ボルトの高圧電気が流れたまま、古い電線の交換作業をしており、感電事故などに無防備にさらされている。

 電気労働者たちは、感電事故だけでなく高圧電気への露出による発病の可能性があるとし、韓国電力などに対策を求めている。イ・チョルガプ朝鮮大医学部教授(職業環境医学科)は「日本では電気労働者が電気棒で作業するのとは異なり、韓国では電気を切らずにゴム手袋をはめたまま作業をして感電事故や電磁波にさらされている。外国では1980年代までに電磁波と白血病など癌発病に関連性があるという報告があった」と話した。

 全国建設労働組合電気院支部は、11日午前9時から全羅南道の羅州革新都市にある韓国電力本社前で、全国の電気労働者1500人余りが参加して健康相談(疫学調査)をしている。同日の健康相談にはイ教授ら医者4人と看護婦16人が労働者たちを対象に採血する予定だ。ソン・ソンジュ電気院支部事務局長は「韓国電力が乗り出し、高圧電気が流れる状態で作業をする活線作業を廃止し、電気労働者たちのための特殊健康検診が新設されるようにしてもらいたい」と話した。

 韓国電力は「彼らと直接雇用関係が結ばれていないため、活線作業の禁止や特殊健康検診制度導入などは雇用労働部など政府に建議すべき事項だと考える。しかし、政府の担当部署で電気院支部側と面談し、要求事項を聞きいれ解決策を模索している」と明らかにした。

光州/チョン・デハ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-05-10 20:47

https://www.hani.co.kr/arti/society/area/743250.html 訳Y.B

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