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[記者手帳]大騒ぎだった「集団脱北」も選挙後は沈黙…

登録:2016-04-18 22:42 修正:2016-04-19 06:56
中国浙江省寧波の北朝鮮レストラン「柳京」//ハンギョレ新聞社

 

 「全くでたらめな主張…対応する価値すら感じない」

 18日、韓国統一部のチョン・ジュンヒ報道官はこう言い切った。 政府が大騒ぎで発表した「集団脱北」について北朝鮮側が「誘引拉致」として反発していることに対する公式反応だ。 だが「全くでたらめな主張」という度重なる否定を裏付けるに足る説明はない。 10余日ぶりに明らかにされた政府の態度は明確に異なっている。 総選挙を5日後に控えてなされた集団脱北公開ブリーフィング、総選挙3日前の日曜日に相次いでなされた統一部と外交部の高位当局者の同時多発バックグラウンド・ブリーフィング、総選挙の2日前に行われた昨年の「高位級」脱北者に対する「事実」確認…。全て異例の発表であるだけに、脱北者に関連した政府公式方針に反する騒々しい動きだった。 大統領府が主導したという「新種の北朝鮮政局作り」は粗雑で、もはや投票者の心を揺るがしえないという事実が明らかになった。 総選挙と共に政府は「沈黙モード」に180度態度を変え、黙って忘れられる雰囲気だ。 しかしこのように忘れてはいけない。 北でも南でも人の問題をこのように軽く考えてはならない。

 総選挙前に積極公開した内容を、統一部当局者がどれくらい確信しているかも疑問だ。 当時、複数の当局者は「関連機関の諜報」として、あらゆる北朝鮮関連未確認諜報を記者たちに知らせた。 北朝鮮の体制が「風前の灯火」になっているかのように描写したかった。 大統領府の指示や圧迫があったとしても、統一部が大統領府の下僕だったり、“関連機関”と呼ばれる国家情報院の代理人ではないではないか。 よほどのことでもないかぎり複数の記者が「今後は国家情報院がブリーフィングしなさい」と詰問するだろうか。

 朴槿恵大統領が主導した開城(ケソン)工業団地閉鎖に続き、大統領府が押しつけた「集団脱北」緊急公開は、南北関係ではなく総選挙を念頭に置いた国内政治のために近いという指摘が多い。 実際、北朝鮮レストランの従業員13人が中国寧波を発ち上海とマレーシアを経て仁川空港に到着するのに2日もかからなかったし、入国の翌日には写真と共に「集団脱北」公開ブリーフィングが行われるという「電撃性」は、総選挙日程を抜きに説明することは不可能だ。 外交部や国家情報院など政府機関の積極介入がなければ13人の北朝鮮旅券所持者が中国の寧波から仁川空港まで2日で走破することなど不可能だ。

キム・ジンチョル記者 //ハンギョレ新聞社

 種々の状況と証言は、今回の騒動の“プランナー”として大統領府を指し示している。 公務員の総選挙介入は昔ながらの法蹂躪行為だ。 誰がなぜどのように介入したのか、真実を明らかにし責任を問わなければならない。 大統領府内部の過剰忠誠なのか、あるいは別のラインの介入なのかを明らかにしなければならない。

キム・ジンチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/740246.html 韓国語原文入力:2016-04-18 20:02
訳J.S(1306字)

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