裁判所「公正な業務遂行に支障与える恐れ」
大統領府の作った文書の目録等3件には公開判決
緑色党は控訴「国民の知る権利を蔑ろにした判決」
セウォル号の惨事が起きた当時、朴槿恵(パククネ)大統領に報告された内容を公開しなかった大統領府の処分を適法とする裁判所の判断が下された。
ソウル行政裁判所行政11部(裁判長ホ・ジェフン)は、緑色党のハ・スンス共同運営委員長がセウォル号事故当日の大統領の行動の関連情報などに対する非公開処分の取り消しを求め、大統領秘書室、国家安保室、大統領警護室を相手に起こした情報公開拒否処分取消請求訴訟で23日、原告一部勝訴判決を下した。
緑色党が公開を要求した情報は、セウォル号事故当日に大統領秘書室と国家安保室が大統領に口頭または書面で報告した資料▽当日に大統領府が作成または受け付けた文書の目録▽大統領府が使う特殊活動費、海外旅費などの予算執行内訳▽2013年2月就任以後の大統領府の情報目録だ。
裁判所はこのうち最も重要な情報である「事故当日の大統領書面報告」については「事故当日である2014年4月16日に大統領秘書室長が朴大統領に書面報告した内容は、意思疎通過程にある事案で、公開されれば公正な業務遂行に支障を与える恐れがある」として非公開処分は正当と判断した。
残りの3件は原告の請求を受け入れ、公開するよう判決した。 裁判所は「大統領府側が非公開の閲覧申請にも応じなかったため、情報公開法により関連情報を公開することが当然」と明らかにした。
ハ・スンス共同運営委員長は宣告直後にソウル行政裁判所前で記者会見を行い、「大統領府と大統領にも情報公開の義務があるということを確認できたという点で意味がある」としたが、「全国民的関心が注がれている惨事の当日の大統領書面報告については、請求が棄却され残念だ。 裁判所は国民の知る権利を蔑ろにする判決を下した」と述べた。
緑色党は報道資料を出し、「今回の訴訟の核心だったセウォル号の惨事当日、大統領秘書室が大統領に書面報告した資料について非公開対象情報と判断したことは非常に遺憾だ。 裁判所が国民の知る権利より大統領府の苦しい弁明を受けいれた」とし「セウォル号事故関連の情報が公開されれば国政運営にどんな支障があるというのか」と批判した。 緑色党は控訴する意向を明らかにした。
緑色党は2014年8月、大統領府に「事故当日の大統領報告内容」などについて情報公開を請求したが、大統領府が非公開決定をしたため同年10月に訴訟を起こした。 裁判過程で大統領府側の「時間稼ぎ」が続き、判決が下されるまで1年5カ月かかった。 大統領府はセウォル号事故当日の大統領の口頭指示と大統領口頭報告内容については記録が存在しないと言い張った。 裁判所は昨年9月の宣告期日を定め、弁論再開決定を下し関連情報を非公開で提出するよう命令したが、大統領府は明確な理由を明らかにせず、それも拒否してきた。
一方、ハンギョレが2014年12月にセウォル号事故当日の朴大統領の行動などの公開を求めて大統領府を相手に起こした訴訟も、1年3カ月経った今もソウル行政裁判所で止まったままだ。裁判所は1月に予定された宣告を延期し弁論再開決定をしたが、この訴訟も15カ月にわたり足踏み状態が続いている。