本文に移動

憲法裁、韓日請求権協定を違憲審判対象と認めず却下

登録:2015-12-24 01:07 修正:2015-12-25 04:32
協定そのものの違憲判断は示さず
憲法裁判所が韓日請求権協定に関連する憲法訴願を却下した23日午後、日帝強制徴用被害家族たちがソウル鍾路区斎洞の憲法裁判所前で、憲法裁の決定について記者会見を開いている=キム・ ソングァン記者//ハンギョレ新聞社

「未収金の支払い求めた行政訴訟で 
適用される法律規定ではない」と却下 

未収金1円= 2000ウォンで規定した 
「強制動員者支援法」は「合憲」 

市民の会「複雑な思いで残念」
日本のメディア相次ぐ速報...安堵する雰囲気

 憲法裁判所(以下、憲法裁)は、1965年に結ばれた韓日請求権協定が合憲かどうかについて、判断しなかった。憲法裁は賃金など未収金1円を2000ウォンで換算するようにした「国外強制動員者支援法」は合憲と判断した。

 憲法裁は23日、「太平洋戦争前後における国外強制動員犠牲者などの支援に関する法律」(国外強制動員犠牲者支援法)を6対3で合憲と決定し、韓日請求権協定の審判請求などを却下した。却下は、憲法訴願請求が憲法裁の審判対象ではないと判断した場合、本案の審理を行わず退ける処分だ。強制徴用被害者の家族、イ・ユンジェ氏が2009年に提起したこの憲法訴願は、過去6年間、憲法裁に係留されていた最長期にわたる未済事案だった。イ氏は、太平洋戦争前後における国外強制動員犠牲者支援委員会が父親の賃金債権5828円を1円= 2000ウォンで計算し1165万6000ウォンの支給を決定したことについて、「個人請求権を制限した韓日請求権協定が憲法上の過剰禁止の原則に反する」として、憲法訴願を出した。

 憲法裁は、日韓請求権協定が債権支給行政訴訟で争う事件に適用される法律の規定ではないため、「裁判の前提性」がないとの見方を示した。この協定が違憲かどうかは訴訟の結果に影響を及ぼさないと判断したのだ。

 朴正煕(パク・チョンヒ)政権当時の1965年、韓日両国は日韓基本条約を締結し、請求権協定などを結んだ。請求権協定は、韓国と日本の両国と法人を含む国民の財産、権利、利益、請求権に関する問題が、「完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する」と規定した。これを根拠に、日本は「すべての補償が終わった」と主張し、韓国側と対立してきた。日本側が、この日の憲法裁の決定に強い関心を示してきたのも、このためだ。しかし、今回の決定は、イ氏の憲法訴願と関連して「裁判の前提性」がないとしただけで、請求権協定そのものを判断したものではない。実際に大法院(最高裁)は強制徴用被害者が三菱など日本企業に対して提起した訴訟で、「国民の個人請求権まで消滅したとは言えない」と判決しており、これに似たような判決の当事者が憲法訴願を提出することも考えられる。

 同日、憲法裁はまた、未収金1円を2000ウォンに換算して支給するようにした国外強制動員者支援法が、消費者物価上昇率と為替レートを考慮して合理的に設定されたと判断した。憲法裁は、「未収金支援金は、補償金ではなく、恩恵的な助成金」とし、憲法上の財産権を侵害されたわけではないため、債権支援金の額が多寡は問題にならないとの判断を示した。

 これに対し、パク・ハンチョル、イ・ジョンミ、キム・イス裁判官が反対意見を出し、「当該の支援金は、強制動員により、彼らが被ったと思われる精神的・肉体的苦痛を慰労するだけではなく、労務を提供したにも関わらず、それに応じた実質的な対価を受け取れなかったことに対する金額を支給するもの」とし、労働の対価に応じた助成金を支給すべきだと主張した。また、1953年に比べて2007年に1万倍に増えた1人当たりの名目国内総生産(GDP)や1945年から2000年までの物価上昇率を反映し、算定方式を作成しなければならないと付け加えた。憲法裁はこれと共に、帰還していない強制動員被害者や日本の居住者、韓国国籍ではない国外強制動員犠牲者の遺族を慰労金支給対象から除外した「国外強制動員労働者支援法」の条項も合憲と判断した。

 キム・チャンロク慶北大学法学大学院教授は「補償問題における葛藤は韓日両国が外交的に解決すべき問題であって、司法機関が解決できる問題ではない。憲法裁が不合理な決定を下したとは思わない」と話した。一方、「勤労挺身隊ハルモ二(お婆さん)と共にする市民の会」のイ・グクオン常任代表は「今日の結果を見ると、被害者遺族の立場としては、複雑な思いで残念だ」とし「 70年待ち続けてきた遺族としては一言では言い表せないだろう」と述べた。

 憲法裁の却下決定直後、NHK放送など日本のメディアは相次いで速報を出し、韓日関係に悪影響を及ぼし兼ねない悪材料が消滅したことについて、安堵する雰囲気だ。日本のメディアは、これまで憲法裁判所が違憲決定を下す場合、先の韓日首脳会談で回復し始めた両国関係が危機を迎えるかもしれないと指摘してきた。この日は日本の祝日(天皇の誕生日)であるため、日本政府の公式の反応は出なかった。

キム・ジフン記者、東京/キル・ユンヒョン特派員(お問い合わせjapan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-12-23 19:35

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/723229.html 訳H.J

関連記事