登録 : 2016.03.04 08:53 修正 : 2016.03.04 09:56

今まで破棄された法案にない「国情院の力」

国家情報院//ハンギョレ新聞社

個人情報を事業者に要求
追跡権まで新たに与える
国情院が全ての権限掌握
首相室機構は見かけだけ

 2日、事実上与党単独で成立させたテロ防止法案は、2001年11月以降9回も発議されたものの、国会の敷居をまたげなかった国家情報院宿願の事業だった。10回目の今回に可決された法案は、情報収集、調査、追跡などで従来の法案になかった内容が加わるなど、これまで出されたテロ防止法案の中で、国家情報院に最も強力な権限を与える内容が盛り込まれたと評価される。

 今回のテロ防止法の内容のうち最も目立つのは「国家情報院長が、テロ危険人物に対するプライベートな内容を含む個人情報と位置情報を、個人情報処理者と位置情報事業者に求めることができる」(9条3項)とする部分だ。同条項は今まで発議されたテロ防止法にはなかった内容だ。

 位置情報事業者と個人情報処理者には、通信社とポータルはもちろん、思想・信念、政治的見解、健康、性生活といった個人のプライベート情報を扱う結婚情報会社や相談士など、多くの職業群が含まれる可能性がある。今回の法律は、国家情報院長が位置情報事業者などに対し、こうしたプライベート情報を要求できる権限を与えておきながら、それを処理するための手続きや事後報告の義務さえ規定していない。

 国情院が「テロ危険人物に対する追跡を行うことができる」(9条4項)とする部分も、今までの法案とは違う。「追跡」という用語は、2005年に当時のコン・ソンジン・ハンナラ党(現セヌリ党)議員が代表発議した法案に初めて登場したものだが、当時は本文ではなく法律条項の題に使用され、本文で「追跡」に該当する行為が具体的に規定された。この形式が最近の法案まで維持され、今回のテロ防止法で突然、本文に「対テロ調査及びテロ危険人物に対する追跡を行うことができる」と記述するようになった。

 問題は追跡に該当する行為を具体的に規定しておらず、既存の法令には規定されていない追跡装備や技法を通じた無分別な監視や情報収集が可能になりかねないということだ。昨年、国情院はイタリアの「ハッキングチーム」からハッキングプログラムのRCSを購入し、民間人を対象にハッキングを行った疑惑が持たれているが、こうした行為が追跡で利用される可能性があると専門家らは指摘する。

 過剰な個人情報の監視が問題になった末の昨年6月に廃止された米国の「愛国者法」でも、追跡に似た「偵察と潜入(Sneak and Peek)」条項があり、事後告知令状を取り、当事者が密かに捜査できるようにした。しかし、2014年に米国の電子フロンティア財団(EFF)が出した分析結果によると、2013年に米国で請求された事後告知令状1万1129件のうち、テロ捜査が目的だったのは51件に過ぎず、大半は麻薬捜査や一般の刑事事件の捜査に悪用された。さらに愛国者法の偵察および潜入が捜査目的に限られていたのとは異なり、テロ防止法の追跡概念ははるかに包括的だ。

 もう一つ目立つのは「対テロ活動」の組織構成部分だ。従来発議されてきたテロ防止法案はいずれも、首相を議長とする対テロ対策会議を構成してテロ関連業務を総括し、国情院長の所属で対テロセンターを設立させ、対テロセンターの長に情報収集の権限を与えることにした。これだけでも国情院の権限が強化されるとの批判があった。ところが今回のテロ防止法は、首相を委員長とする国家テロ対策委員会を設立し、対テロセンターを首相所属に置いた。その一方で、すべての情報収集の権限は国情院に付与した。結局、国家テロ対策委員会や対テロセンターは見かけだけに転落し、強力な情報アクセス権限を持つようになる国情院に対する統制手段は消えたと指摘される。

 ハン・サンヒ情報人権研究所所長(建国大法学専門大学院教授)は「過去に発議されたテロ防止法案と比較すると、あまりに国情院の権限が強化される一方、統制装置は不足する。今後、国情院長が大統領より強力な権限を持たないという保障はない。朴正熙(パクチョンヒ)大統領だったら、情報機関が大統領自身より強力な権限を持つこんな法律を通過させたか疑わしい」と話した。

ホ・スン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-03-03 22:28

http://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/733217.html訳Y.B

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