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制裁と対話を同時に進める米中 朝鮮半島問題の解決策模索を加速化

登録:2016-02-26 23:36 修正:2016-02-27 07:32
ダニエル・ラッセル米国務省東アジア太平洋次官補(左)とキム・ホンギュン外交部次官補が26日午後、ソウル鍾路区都染洞にある外交部庁舎で会談している=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

王毅外交部長、米シンクタンクのセミナーで 
「非核化と平和協定を同時推進」力説 
安保理の強力な制裁に同意しただけに 
米国に「交渉テーブルの用意」のメッセージ 

訪韓したラッセル次官補「THAAD留保」協議 
武大偉代表も28日に韓国を訪れる 
強硬策貫く韓国政府相手に 
6カ国協議の再開案を模索する可能性も

 ジョン・ケリー米国務長官と王毅・中国外交部長の外相会談以降、米中両国政府の動きが慌ただしい。国連安全保障理事会(安保理)が新しい対北朝鮮制裁決議案に合意したのに続き、制裁と共に会話と交渉を模索するなど、朝鮮半島情勢の管理に両国政府が傾いている雰囲気が感知される。北朝鮮の4回目の核実験・ミサイル発射に強硬対応を貫いている朴槿恵(パククネ)政権とは異なる方向の動きだ。

 米国のサマンサ・パワー国連大使が25日(現地時間)、ニューヨークの国連本部で開かれた安保理全体会議の直後、新しい決議案の核心内容をマスコミに発表していた頃、王毅部長はワシントンのシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)主催のセミナーで「非核化と平和協定の同時・並行推進」案(王毅イニシアチブ)を重ねて強調した。王部長は、安保理の新しい決議案の採択が迫っていることに触れ、「同時に(北朝鮮の)核問題に関する唯一の実行可能な解決策を提供してくれる平和協定を放棄してはならない」と強調した。王毅部長は「非核化がなければ、平和協定もない。平和協定がなければ、つまり、北朝鮮の懸念を含めて、関係国の正当な懸念を解消できない場合は、持続可能な方法で非核化を達成できない」と指摘した。その上で「私たちは、非核化と関係国の懸念を解消することを、バランスよく並行して進めていかなければならない」と再三強調した。

 王部長の動きには二つの布石があるようだ。第一に、安保理の対北朝鮮制裁のレベルを米国が満足できるほど高めたから、これからは平和協定を米国政府が積極的に検討すべきだという圧迫が込められたものと見られる。第二に、平和協定に否定的なワシントンの外交界で直接、「言説競争」を繰り広げるという攻勢的戦略の一環とも分析される。

 これと関連し、ダニエル・ラッセル米国務省東アジア太平洋担当次官補が訪韓(26〜27日)・訪中(27日〜3月1日)し、6カ国協議の議長である中国の武大偉・朝鮮半島事務特別代表が28日に訪韓する予定に注目する必要がある。これらの日程は、いずれも米中外相会談後に急いで用意されたものだ。米中外相会談の結果をもとに実務協議に乗り出す一方、韓国政府を相手に、朝鮮半島情勢の安定と今後の対応策を協議しようとする「調整された動き」と見られる。

 米国務省は、ラッセル次官補が訪韓し「地域問題を協議」すると発表したが、高高度防衛ミサイル(THAAD)の朝鮮半島配備を留保するかどうかと関連した協議を念頭に置いた表現と思われる。これと関連し、ハリー・ハリス米太平洋軍司令官が25日、米国防総省のブリーフィングで「我々はTHAAD配備に合意していない」と言った事実に注目する必要がある。ただし、ラッセル次官補は26日午後、ソウルでユン・ビョンセ外交部長官などに会った後、記者団に「THAADは交渉カード(bargaining chip)ではない」とクギを刺した。ラッセル次官補は「王毅イニシアチブ」と関連した協議も行ったものと見られる。武代表も28日、ソウルで6カ国協議の韓国首席代表のファン・ジュングク朝鮮半島平和交渉本部長などと面会して、「王毅イニシアチブ」の趣旨を説明し、6カ国協議の再開案を模索する見込みだ。

 米中両国の動きと関連し、朝鮮半島平和フォーラムのチョン・セヒョン常任代表(元統一部長官)は26日、「中国が安保理制裁のレベルを高める代わりに、米国はTHAAD、非核化・平和協定の推進、6カ国協議の再開などと関連し、見返りを払った可能性が高い」とし「舞台裏に注目すべき重要な瞬間だ」と述べた。成均館大学のイ・ヒオク教授は、「米国政府が対話を念頭に置いた(対北朝鮮)制裁の実行に向けて、中国と折衝したものと見られる」と指摘した。

イ・ジェフン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-02-26 19:20

https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/732315.html 訳H.J

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