国連決議案とTHAAD連係を示唆
米中外相会談後「北朝鮮が非核化すればTHAAD不要」
今週の韓米規約締結は見送り
韓国政府、対北朝鮮強硬追い込みに懸命
外交的蚊帳の外にされる可能性
北朝鮮の核問題を巡る米中の対立と軋轢が、23日(現地時間)の外相会談を峠に、朝鮮半島情勢のコントロールと対話・交渉摸索へと方向を定め、在韓米軍のTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備問題が“流れ弾”に当たりぐらついている。 事態の展開によってはTHAADの配備が相当期間、後回しにされたり原点から再検討されるのではないかという展望すら出ている。
韓国と米国は北朝鮮がロケットを発射した今月7日、在韓米軍へのTHAAD配備問題公式協議の開始を宣言したが、2週間が過ぎても韓米共同実務団も発足できずにいる。 当初、韓国と米国は23日に共同実務団規約を締結する計画だったが、米国がケリー・王毅外相会談終了後の締結を求め、突然延期を要請し不発となった。 規約締結に関する韓国側署名者となるリュ・ジェスン国防部政策室長は、予定された国外出張を一日延し待機していたが、結局24日午後に米国の規約締結の確答を聞けないまま出国した。 韓国国防部当局者は「リュ室長が28日(日曜日)に帰国するまでは規約締結が難しい」と話した。 今週に予定されていた規約締結を終え、来週からは共同実務団を本格稼動させようとしていた当初の計画は見送られた恰好だ。
こうした突然の混線は、韓国政府が米中間の気流変化の可能性などを軽視して「THAAD配備と国連の対北朝鮮制裁決議案は別件」として対北朝鮮強硬論だけを固執して自ら招来したとの指摘が多い。 ジョン・ケリー米国務長官は23日、王毅中国外交部長と会談を終えた後の会見で「北朝鮮を非核化するならばTHAAD配備は必要なくなる」 「(THAAD配備は)まだ決定されていない」として、北朝鮮の核問題処理または国連の対北朝鮮制裁決議案とTHAAD配備問題を連係させて処理する方針を明確にした。
米国のこのような態度は初めてのことではない。 中国が在韓米軍のTHAAD配備に強く反発して積極的に乗り出すと、米国は国連の対北朝鮮制裁決議案とTHAAD配備の連係処理方針を表明し折衝可能性を示唆したことがある。 米国務省のトニー・プリンケン副長官は今月17日「中国が責任をもって行動しないなら、THAADの朝鮮半島配備のような措置を取る」とし、中国の北朝鮮核対応努力とTHAAD配備が「対等交換対象」になる可能性を示した。 しかし韓国政府は、米中間でTHAAD配備を巡り展開している微妙な気流の変化を無視した。 韓国外交部は24日、米中外相会談後も「在韓米軍のTHAAD配備問題は国連の対北朝鮮制裁決議採択とは別の懸案」と既存の見解を固守した。 延世大のチェ・ジョンゴン教授は「THAAD問題が米中間のゲームであるという国際政治の現実を理解できずに強硬一辺倒で前だけを見て走って起きた惨事」と話した。
今回の混線が一時的なものか、THAAD配備の全面再検討につながるかはまだ予測しがたい。 今後、米中間の水面下接触がどんな成果を出すかにかかっていると指摘される。 米中が今回の外相会談で見せた通り、朝鮮半島情勢を“コントロール”しながら北朝鮮核問題解決の対話・協力基調を維持するなら、米国としては中国が強く反対しているTHAAD配備を強行できなくなる。 そうなれば中国との感情的対立まで起こしながらTHAAD配備に“没入”している韓国政府は、全てを失い外交的に“置き去り”にされる公算が高くなる。
しかし、今回の規約締結延期が単なる速度調節に終わることもありうる。 在韓米軍へのTHAAD配備は、米軍当局が当初は北朝鮮の今回の核実験やロケット発射と関係なく北東アジア戦略の次元で企画してきたことなので、いつでも再び火がつく事案だ。 4月の総選挙を控えてTHAAD配備失敗にともなう朴槿惠(パク・クネ)政権の政治的負担が大きいという点も、今後の韓米間協議に影響を与えると見られる。