米国のアジアへの帰還以降、韓米関係に変化
朴槿恵(パククネ)政権は発足初期には、バラク・オバマ米政権の「アジア再均衡」戦略と関連し、中国と「バランス外交」を繰り広げるように見えたが、実質的内容を見ると、「中国牽制」という米国の要求に忠実に応える動きを見せきた。南北関係から手を引いたことで、「北朝鮮の挑発」を口実に掲げた米国の論理に対抗できる名分を失ったからだ。
2010年、米中の対立が深まると共に本格化し、2011年秋に正式に発表されたオバマ政権の「アジア再均衡」戦略は、中国との協力を図る側面と、中国の浮上を牽制する、二つの側面を併せ持っている。しかし、時間が経つにつれ、軍備増強論者の主張が力を得て、南シナ海・人権問題などと関連し、中国に対し批判的な内部世論が広がったことで、牽制の側面がますます浮き彫りになった。
米国の「同盟マーケティング」に巻き込まれた韓国政府
「親米」標榜した前政権よりも米国の立場に忠実
韓米日3カ国の軍事情報の共有を可視化
日米主導MDシステムへの編入を宣言したも同然
「韓国、戦時作戦権なく、技術と地位が劣悪
日米同盟の下部構造化の懸念高まる」
特に、北東アジアでは米日同盟を強化して、日本を中国牽制の核心的な行為者とし、韓米日3カ国間の軍事協力を「準同盟」のレベルに引き上げる作業が着実に進められた。このような「同盟ネットワーク」が、米国単独の軍事予算投入を削減しながら影響力を維持し続けられる、効果的な手段と判断されたからだ。
朴槿恵政権は韓米日3カ国の軍事協力を強化しようとする米国の執拗な努力について、親米政権を標榜していた李明博(イミョンバク)政権よりも米国側に忠実な動きを見せた。天安艦沈没事件と延坪島(ヨンピョンド)砲撃事件後、米国は2010年末、韓日と共に「集団的安全保障に関する合意文」を作成し、ほぼ発表直前まで行ったが、李明博政権は批判的な世論を意識し、結局拒絶したことが知られている。
また、李明博政権は2012年6月、韓日軍事情報保護協定を密かに締結しようとしたものの、世論の反発に遭い、土壇場で諦めた。米議会調査局が2013年6月に発行した報告書は、韓日情報保護協定が韓米日3カ国のミサイル防衛(MD)体制構築のための事前措置だったと、具体的に明示している。
これに比べて、朴大統領は2014年4月にソウルで開かれたオバマ大統領との韓米首脳会談で「韓米日3カ国間の情報共有の重要性を認識している」と宣言してしまった。これは、同年12月、「韓米日3カ国間の北朝鮮の核・ミサイルの脅威に関する情報共有約定」締結につながった。
さらに、国防部は今年1月の大統領府業務報告で、韓米が個別に運用しているミサイル防衛網を米軍のデータ交換ネットワークの「リンク16」に接続・連動し、情報をリアルタイムで送受信できるようにすると発表した。すでに米日がリンク16を通じて情報を交換している状況で、韓国が米日のMDシステムに編入するという決定的な宣言をしたも同然の措置だ。韓国に対する北朝鮮のミサイル攻撃に対してはあまり効果がなく、中国を主な目標とする高高度防衛ミサイル(THAAD)を配備することに決定したのも、同じような背景からだ。
米国主導のMDにやむを得ず組み込まれていくことにより、韓米同盟は、朴槿恵政権に入ってから「不可逆的な」質的変化を果たしたものと見られる。李明博政権から、韓米同盟を朝鮮半島以外の地域と世界の問題の解決にむけての協力へと拡大させる基調があったが、当時は気候変動への共同対応など、比較的「政治的に敏感ではない問題」への協力にとどまった。
しかし、現政権に入り朝鮮半島防衛という韓米同目の任務を越え、軍事的にもMDに基づいた日米主導の対中国戦線に積極的に合流した格好になった。韓東大学のキム・ジュンヒョン教授(国際地域学)は、「より大きな問題は、米国が進めている韓米日軍事協力または準軍事同盟が、決して3カ国間の同等な協力関係ではないという点」と指摘し、「韓国は戦時作戦権の不在に加え、米国の統合的軍事ネットワークに主導的に参加するだけの技術と地位もないため、米日同盟の下部構造に吸収され兼ねない」と懸念を示した。
米国社会科学研究所のレオン・シーガル北東アジア協力安保プロジェクト担当局長も、ハンギョレとのインタビューで「THAADはミサイル防衛能力が非常に限られており、このため中国がミサイルを追加すれば、簡単に(脅威を)相殺させることができる」とした上で、「中国が本当に懸念しているのは、ミサイル防衛を伴い、米国とアジアの同盟国が関係を強化すること」だと強調した。
韓国語原文入力:2016-02-21 19:29