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軍事政権下で起きた捏造事件の責任を問う(2) 捏造・誤判でも政界・法曹界の中枢に

登録:2016-02-21 16:40 修正:2016-02-22 09:14
無罪に覆った原審の判検事 505人を分析
ヤン・スンテ大法院長官はソウル刑事地方裁判所に在職していた1976年、「在日韓国人留学生キム・ドンヒのスパイ事件」の合議部1審陪席判事だった。ハンギョレはヤン大法院長官に当時の裁判について尋ねたが答えなかった//ハンギョレ新聞社

 「真実・和解のための過去事整理委員会」(真実和解委)で再審を勧告した確定判決のうち、再審で無罪確定判決の出た75件の原審判決文224件を担当した判検事505人(重複除外)のその後の履歴を分析すると、少なからぬ人たちが高位法官や検察高位職に昇進した事実が明らかになった。

 捏造スパイ事件などを判決した判事378人のうち、事実審である1・2審で判決を担当した判事は333人。そのうち107人が、その後、高裁の部長以上の高位法官を務めた。また裁判所長任命者は45人、大法院(最高裁)長官・判事は29人、憲法裁判所長・判事になった判事は12人だ。また大法院判事として過去事事件の3審を担当し、裁判後に大法院長官に任命された判事は4人いる。

 検察の場合、過去事事件の捜査・公訴維持を担当した検事59人は、事件後アン・ガンミン元ソウル地検長など12人が地検長など検事長に任命された。キム・ギス元検察総長とシム・サンミョン元法務長官も、過去事事件担当後、高位職に上った。「カン・ギフン遺書代筆疑惑事件」の捜査を担当したカン・シンウク元ソウル高等検察長は、2000年に大法院判事に任命されるなど、検事出身の元大法院判事は2人、憲法裁判所判事も1人いる。

1・2審判事のうち107人は高位法官に昇進
裁判所長45人、大法院長官・判事29人…
カン・イルウォン憲法裁判所判事「覚えていない」
ヤン・スンテ大法院長官は回答拒否

捜査検事も14人が高位職に
検事長12、検察総長1、法務長官1 …
「国民の党」イム・ネヒョン議員「申し訳ない」
コ・ヨンジュ放送文化振興会理事長「覚えていない」

 これらのうち16人が現職の判事、国会議員、公職者として在職中だ。ヤン・スンテ大法院長官はソウル刑事地方裁判所に在職していた1976年、「在日韓国人留学生キム・ドンヒのスパイ事件」の合議部1審陪席判事だった。クォン・スンイル大法院判事もソウル刑事地裁に勤めていた1985年、「イ・ジュノ家族スパイ事件」の1審裁判部に陪席判事として判決に参加した。 イ・ジュノ氏の家族は当時1審法廷でスパイ罪の嫌疑を否定し苛酷行為を暴露した。ハンギョレがヤン大法院長官とクォン大法院判事に当時の裁判について尋ねると、答えようとしなかった。ヤン大法院長官は以前、緊急措置違反事件の裁判部にいた事実が知られた経緯がある。

 カン・イルウォン憲法裁判所判事は1985~1986年、ソウル刑事地裁第13部で4件の捏造スパイ事件の判決に加わった。カン判事が1審陪席判事として担当した事件は「在日韓国人留学生ユン・ジョンホンに対するスパイ捏造疑惑事件」「在日韓国人チョ・イルチに対するスパイ捏造疑惑事件」、「ク・ミョンソに対するスパイ捏造疑惑事件」、「ホン・ジョンニョル、パク・ヒジャ、ピョン・ドゥガプに対するスパイ捏造疑惑事件」だ。再審無罪判決文によると、ク・ミョンソ氏は当時1審裁判部に「拷問に耐えられず、ない事実をあるかのように作り上げて話した」という嘆願書を送っていたが、受け入れられなかった。カン判事はハンギョレ記者と会い 「判決の時点から見て2件は判事任官1カ月後に判決したもので主審ではなかったようであり、他の2件はよく思い出せない」として「最近再審が出たという事実も知らなかった」と話した。

 国家機密伝達未遂の嫌疑で有罪判決を受けた在米同胞キム・チョル氏の原審判決には、ソン・ナクソン水原地裁所長とキム・イス憲法裁判所判事がそれぞれ1審と破棄差し戻し審の陪席判事として参加した。当時、大法院は拷問で捏造されたキム・チョル氏の多くの容疑のうち一部を無罪主旨で破棄差し戻しにし、破棄差し戻し審を担当したソウル高裁は1990年、大法院の破棄差し戻しの主旨通りの判決を下し、懲役 10年から 7年に減刑した。キム・チョル氏の事件は再審で全ての容疑が無罪となった。

 キム判事は「事件は思い出せない。再審の事実も知らなかったが、再審で無罪が宣告されたならば (事実を)見分けることができなかった責任がある」と言った。ソン地裁所長はハンギョレに「答えることはしない」と伝えた。

 現職国会議員4人も過去に担当した事件の再審無罪判決を知らなかった。セヌリ党のファン・ウヨ議員は「全民学連・全民労連の反国家団体捏造疑惑事件」の2審など2件、同じくセヌリ党 のヨ・サンギュ議員は「ソク・タルユン等に対するスパイ捏造疑惑事件」の1審など2件、セヌリ党のイ・インジェ最高委員は1件(「アラム会事件」の 1審 )の裁判に参加した。これについてファン議員は「よく分からない。主審か陪席か裁判長かを確かめてみなくてはならない」と語り、ヨ議員も「判決に対して責任を負う問題ならば、判決が確定された最終審の判事に聞くべきだ」と答えた。 ハンギョレはイ・インジェ最高委員に何回も電話したが出なかった。

 検事の中には国民の党のイム・ネヒョン議員とコ・ヨンジュ放送文化振興会理事長が目につく。イム議員は仁川地検に在職していた1983~1984年、「拉北帰還者チョン・ヨンなどに対するスパイ捏造疑惑事件」の捜査と公訴維持を担当した。チョン・ヨン氏は無期懲役を宣告されて16年間服役した。 イム議員はハンギョレとの電話インタビューで「本人が自白したし、不当さを訴えるとかいうことがなかった。安全企画部の拷問・暴行があったとしたら、捜査過程で明らかにすることができなくて申し訳ない」と語った。コ・ヨンジュ放送文化振興会理事長はソウル地検に在職していた1985年、「イ・ジュノ家族スパイ事件」を捜査した。これについてコ理事長は「覚えていないので何も言えない」と答えた。

キム・ミンギョン、コ・ナム、キム・ギョンウク記者 salmat@hani.co.kr

登録 :2016-01-27 01:17修正 :2016-01-27 13:40

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/728044.html 訳A.K

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