本文に移動

軍事政権下で起きた捏造事件の責任を問う(1) 担当判検事の法的政治的責任

登録:2016-02-21 16:17 修正:2016-02-22 09:18
再審無罪の75件解剖
真実・和解のための過去事事件整理委員会は2005年12月1日から2カ月間、隠蔽された真実を明らかにし過去との和解を通じた国民統合に寄与するため作られた一時的な国家調査機関。写真は調査活動開始の記者会見//ハンギョレ新聞社

苛酷・不法行為の責任は?

 「過去事」事件に対する再審無罪確定判決をきっかけに、誤った捜査と裁判を担当した人々の責任問題が再び持ち上がっている。直接苛酷行為を行なった司法警察、起訴独占権と捜査指揮権を持ちながら、これを正すことができなかった検察、最終判断を下した裁判所などは責任から自由ではあり得ないと指摘される。

「捜査官問責」は法曹界の衆論
公訴時効満了が問題
判検事の責任問題は見解分かれ

国家の求償権行使も可能
保守回帰の現政権では可能性低い
「国会立法通じて包括的清算」の指摘

 不法監禁や苛酷行為を直接犯した捜査官に対し法的責任も問うべきだという点では、法曹人の意見は概して異論はない。判事出身のある弁護士は「直接捜査を通して事件を最初に捏造した司法警察の責任が一番大きいと言える」と言った。今回の取材対象である75件の過去事事件再審無罪判決文では大部分、捜査官の不法逮捕、苛酷行為など不法行為が事実として認められた。

 不法行為には刑事処罰が伴う。問題は公訴時効だ。 1960~80年代に起ったスパイ捏造事件などは、発生後数十年が経って不法逮捕公訴時効(7年)など捜査官が犯した罪の時効が満了して久しい。 2009年、ソウル高裁は1980年代の「パク・トンウン・スパイ捏造疑惑事件」の再審を決定して「捜査官が被告人を不法に連行・監禁して苛酷な行為を加えた事実が認められる」としながらも 、「公訴時効が満了し有罪判決が下せない」と明らかにした。

 このため、不法を犯した捜査官に対し国家が求償権を行使して民事上の責任を問うべきだという主張が説得力を得ている。 過去事の事件の被害者は裁判所で再審無罪判決を受けた後、これを根拠に国家を相手取り民事上の損害賠償請求訴訟を提起してきた。国家賠償判決が下された場合、国家が被害者にまず損害賠賞金を支給するが、後で実際に過ちを犯した公務員から賠償額を受け取る手続きが求償権請求だ。

 実際に、第5共和国時代のスパイ捏造事件「スージー・キム事件」の被害者遺族に対する国家賠償判決が下された時、2003年、法務部は責任者の張世東(チャン・セドン)元安全企画部長と当時の安全企画部職員に求償を請求して勝訴した。朴鐘哲(パク・チョンチョル)氏事件の国家賠償判決の時も、法務部は拷問警察官に求償を請求して 2000年に一部勝訴判決を受けた。

 検事と判事の責任については見解が分かれる。道徳的責任を越えて法的責任を問うことができるのかどうか、明確ではないというのである。パク・チャヌン漢陽(ハニャン)大学法学専門大学院教授は「捜査官の拷問・不法拘禁は国家賠償法上、公務員の故意・重過失と判断することができるから求償権行使を通して責任を問うことができるが、検事や判事の故意・重過失を立証することは現実的に容易でない」と述べた。

 一方、ある検事出身の弁護士は「検事が捜査をしながら捜査機関の不法拘禁の有無が分からないはずはなく、判事も意志さえあったら法廷で被害者が主張した人権侵害の事実などを明かすことができたわけだから、これら判検事に対し連帯責任を問うことができる」と主張した。法務法人トクスのキム・ヒョンテ弁護士も「過去事事件で検事が被疑者を殴るとか法廷で被告人が拷問を受けた事実を訴えたのに、判事がこれを無視した事例が無数に出てくる」として「このような場合、国家が判検事にも求償権を請求することができる」と述べた。

 しかし現政権が不法な捜査・裁判過程に法的責任を問う可能性は低いと見られる。検事出身のキム・ヒジュ弁護士は「国家が過誤を認め関連公務員に求償権を積極的に行使して初めて予防的効果が生じ得るのに、現政権には求償権を請求する意志はなさそうだ」と語った。 朴槿恵(パククネ)政権になって裁判所が国家責任を軽減させる判決の傾向がある点も目につく。大法院(最高裁)の全員合議体は去年1月、「文人スパイ団事件」の被害者たちが国家を相手に提起した損害賠償訴訟で「拷問被害者であっても民主化運動補償金を受け取れば国家賠償は受けることができない」と、以前とは異なる判決を下した。

 このため、国会が立法を通して包括的に過去事清算作業をしなければならないとも指摘される。 キム・ヒョンテ弁護士は「権力を利用した不法行為が繰り返されないように国家犯罪に対する公訴時効適用を排除する特別法を作り、真実・和解のための過去事整理基本法を制定・改定して、被害者に対する賠償・補償問題と加害者責任を包括的に処理すべきだ」として「別途の常設独立機構も設けて過去事清算作業を持続して行かなければならない」と語った。

キム・ギョンウク、コ・ナム、キム・ミンギョン記者dash@hani.co.kr

韓国語原文入力 : 2016-01-27 01:21

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/728045.html 訳 A..K

関連記事