野党「共倒れ危機の導火線になる」
与党・大統領府「ウォン・ユチョルの個人的意見」
セヌリ党のウォン・ユチョル院内代表が15日、国会の交渉団体代表演説で「北朝鮮の恐怖と破滅の核及びミサイルに対抗し、我々も自衛権次元の平和の核とミサイルで対応することを含め生存戦略を考えるべき時」として、核武装論を公式に提起した。 執権与党の院内代表が政府の「朝鮮半島非核化」原則に正面から反して周辺国の激しい反発を招く主張を公式化したとあって、韓国内外で大きな波紋が予想される。 総選挙を控えて対北朝鮮強硬論に便乗した無責任な「安保ポピュリズム」という指摘も避け難い。
ウォン院内代表はこの日の演説で「1992年の朝鮮半島非核化宣言で撤収した米軍の戦術核再配備や、韓国自身も核を持ち北朝鮮が核を放棄すれば我々も同時に核を廃棄する方案など、自衛権次元の効果的で実質的な対北朝鮮抑制手段を真剣に再検討すべき時がきた」として「条件付き核武装」を主張した。 ウォン院内代表は「朝鮮半島の非核化は絶対に守られなければならないが、朝鮮半島非核化宣言は北朝鮮の4回にわたる核実験で無意味になった」としてこのように明らかにした。
ウォン院内代表は2009年の国会対政府質問をはじめ、国会国防委員長時期(2010~2012年)と最近にも国会常任委と党会議で条件付き核武装論を主張した。 しかし北朝鮮の4回目の核実験と長距離ロケット発射に続く政府のTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備議論と開城(ケソン)工業団地の全面稼働中断、北朝鮮の開城工業団地閉鎖通知など、朝鮮半島と周辺情勢の緊張が極度に高まっている状況で執権与党の院内代表として国会演説で核武装論を提起したという点で発言の重量感はこれまでと全く次元が違う。
核武装は政府の朝鮮半島非核化原則に反し国際社会との約束である核拡散禁止条約(NPT)に違反するものであり、朝鮮半島周辺の核武装ドミノ現象を惹起し国際的規制を招来するなど極度に敏感な問題であるためだ。 朴槿恵(パククネ)大統領は先月13日の対国民談話および記者会見で核武装論に関して「主張は十分に理解する」としつつも「(そうなれば)国際社会との朝鮮半島非核化の約束を破ることになる」と指摘している。
セヌリ党と大統領府の内部でもこの日のウォン院内代表の核武装論に対して慎重な態度を見せた。 金武星(キムムソン)セヌリ党代表は、記者団にウォン院内代表の核武装論に関連して「党論にはなりえない個人の考えだ」と話した。
大統領府高官らも「ウォン院内代表の個人的意見に過ぎない」、「政府の立場は大統領の先月の対国民談話の時に明らかにした立場から全く変わりない」と話した。 ウォン院内代表はハンギョレとの通話で「普段の所信を明らかにしたまで」として「大統領府とは事前に話していない」と答えた。
しかし、核武装論が呼び起こす国際的波紋に比べて、大統領府が直ちに報道官論評などの公式的な方式でウォン院内代表の主張を否定しなかったことを巡り、「党は火に油を注ぎ、政府は否定」と役割を分担して、対北朝鮮強硬論を続けようとしているとの解釈が出ている。 共に民主党のキム・ソンス報道官は「核武装は平和のための抑制手段ではなく共倒れの危機を招く導火線になるだけ」とし「ウォン・ユチョル院内代表の所信はもう分かったので今後は自重することを望む」と批判した。