登録 : 2016.02.15 09:11 修正 : 2016.02.15 21:07

ホン・ヨンピョ統一部長官が12日午前、ソウル世宗路の政府ソウル庁舎で固い表情で「開城工業団地の全面中断による政府声明」を発表している=イ・ジョンヨン先任記者//ハンギョレ新聞社
ホンヨンピョ統一部長官発言の波紋
知っていて申告しなければ決議違反

「賃金の70%は純粋な労働者所得」
歴代政府の公式見解覆し
立証資料は「公開できない」

 ホンヨンピョ統一部長官が14日、「開城(ケソン)工業団地から(北朝鮮に)流れ込んだ資金の70%が(労働)党書記室に上納され、核・ミサイル開発などに使われていると把握している」と明らかにした。11日までは、開城工団の賃金が北朝鮮の核・ミサイル開発に転用されている憂慮・推測はあるが確認されたことはないとしていたが、12日になり、公開できない資料があるとした上での発言だ。ホン長官の発言は、相次ぎ発言を翻したことによる信頼性の問題ばかりか、国連安全保障理事会(安保理)の対北朝鮮制裁決議2094号違反など、国内外で深刻な影響をもたらす見通しだ。差し迫る4月の総選挙を控えた“北風”と“ばらまき”をめぐり、与野党の激しい議論がされる可能性も高い。

 ホン長官の同日の発言は「KBS日曜診断」でされた。ホン長官は「北朝鮮では、党政軍が外貨を稼げば、党書記室、(労働党中央委員会傘下の)39号室に移管・保管される」、「これら資金は、核・ミサイル開発や(金正恩らの)業績事業、贅沢品購入などに使われたものと把握されている」と述べた。ホン長官は「開城工業団地の場合、勤労者賃金、その他の費用などがドル現金で支給されるが、労働者たちに渡されるのではなく北朝鮮当局に入る」、「そうした資金の70%が書記室などに渡され、使われていることが確認されている」と述べた。さらに「開城公団で支給されたドルの70%程度が北朝鮮当局に流入し、事実、労働者たちは北朝鮮ウォンと物品を買える、いわゆる『物票』というものを支給されている」と付け加えた。北朝鮮は外貨収入を党書記室などで管理すると推測されてきたが、ホン長官の発言は立証が必要な新たな主張だ。しかしホン長官はこれを立証する根拠となる資料を公開する用意があるのかという問いに「情報資料なので公開できない」と答えた。

■国連安保理決議2094号違反?

 ホン長官の発言をそのまま受け入れれば、国連安保理の対北朝鮮制裁決議2094号に違反することになる。2013年、北朝鮮の3回目の核実験後に採択された2094号は、「大量の現金(bulk cash)など大量破壊兵器(WMD)転用の憂慮がある場合は申告」することを国連加盟国の義務と決定(decide)した。朴槿恵(パククネ)政権は2013年に国連に提出した2094号決議の履行報告書はもちろん、2014年と2015年の国連安保理傘下・対北朝鮮制裁委員会が訪韓した際にも、開城工業団地の賃金が北朝鮮の核・ミサイル開発に転用されると報告したことはない。政府当局者は「ホン長官の発言を根拠に国連安保理が韓国政府が2094号を違反したと考えることはないだろう」とし、「開城工団はホン長官が強調したとおり、これまでその意味、性格、効果を国際社会が認めて持続されてきたが、最近の北側の相次ぐ挑発で状況が変わった」と話した。

政府「核開発費転用立証?北でも説明できる人はいない」

■開城工団への現金流入70%が核・ミサイル開発費?

 ホン長官の「70%核・ミサイルの開発専用」発言は、数日で自身の発言を覆しただけでなく、歴代政府の公式見解をも覆すものだ。2006年の北朝鮮の最初の核実験前後に、米国のブッシュ政権が開城工業団地の閉鎖を圧迫した際、当時のコ・ギョンビン統一部・開城工業団地事業支援団長は同年11月7日の公開ブリーフィングで、開城工業団地の賃金支給額の70%余りが「純粋に北側労働者に割り当てられている」と公式に発表している。李明博(イミョンバク)・朴槿恵政権の任期8年の間も、コ団長のこの発表を覆したり修正する発表はされなかった。そして今回、ホン長官が事実関係の判断を180度覆したのだ。

 開城工業団地の北側労働者の賃金がどう構成されるかは、開城工業地区法などに明示された公知の事実だ。賃金を100とした場合、30%は社会文化施策費(無償医療や無償教育など公共サービス費用)の名目で、北側の中央特区開発指導総局(総局)が控除する。残りの70%は総局が入居企業から受け取った後、北労働者にドルで支払われず、ほとんどは洪長官が指摘した「物票」(物品交換券)で、一部は北朝鮮ウォンで換算した「現金賃金」で個々の労働者に支給される。これとは別に、賃金の15%に該当する金額を「社会保険料」(南側の労災保険+国民年金の概念)の名目で総局が入居企業から一括徴収する。

 論理の上では社会文化施策費や社会保険料は徴収の名目が明らかであり、転用の議論の対象になるのは難しい。これを基に考えれば、ホン長官の「70%専用」発言は、北労働者らに間接支給される賃金の70%すべてが北朝鮮の核・ミサイル開発費に転用されることになる。この場合、北の開城工業団地関連機関運営費と労働者生活費はどこから出るのかという反論が提起される他ない。しかも、開城工業団地で北側労働者らに開城の専用商店を通じて供給される米、小麦粉、テレビなどの各種生活必需品は、北朝鮮当局が国外貿易商に委託してドルを与えて輸入する。ホン長官の「70%専用」発言と矛盾するのが現状だ。

■「70%専用」発言を立証する資料はあるのか?

 こうした事情があるためか、政府の主要関係者は「政府は、北朝鮮当局が社会文化施策費や社会保険料の名目で一括徴収したドルで、北側の機関運営費と労働者生活必需品の供給を充当し、残りの現金流入額の70%は書記室を通じて核・ミサイル開発費に使うものと見ている」と話した。この関係者は「北朝鮮が開城工団の運営過程で、各種名目で(入居企業から)資金を持ち出し、それが名目通り使われなかったというのが政府の判断」と付け加えた。しかし、この関係者は「北朝鮮の予算構造や財政の流れは、韓国のように透明に具体的に公開されておらず、いちいち取り上げて説明するのは難しい。具体的にどう使われるかは、北朝鮮でも責任を持って説明できる者はいないだろう」とし、「政府が把握した大きな流れはそうなる」とも語った。開城工業団地に流入したドルが、どこでどう使われたか細部的に立証する資料がないこを示唆するものと解釈される。キム・ヨンチョル仁済大教授は「政府の主張通りなら、1年で60億ドルに達する朝中貿易や米国市民などの北朝鮮旅行で北側が儲けた資金も、核・ミサイル開発に転用されるので禁止しなければならなくなる。話にならない」と語った。

 元高官は「ホン長官の『70%転用』発言は4月の総選挙を控えた“北風”と“ばらまき”論争を呼び、保守勢力を結集させたい大統領府の総選挙介入であり、北朝鮮の核・ミサイル対応策はない」とし「野党の断固たる対応と金大中(キムデジュン)・盧武鉉(ノムヒョン)政権当時の統一部・外交部高官らの責任ある説明が必要となる」と話した。

イ・ジェフン、キム・ジンチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-02-15 01:32

http://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/730357.html訳Y.B

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