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韓米、THAAD協議を決定...費用、敷地、外交への対策なし

登録:2016-02-11 01:27 修正:2016-02-11 17:27
THAAD配備に向けてスピード戦
THAADレーダー(AN/TPY-2)の配置要件および危険半径。資料:米陸軍記述教範(ATP)//ハンギョレ新聞社

 韓国と米国が7日、北朝鮮のロケット発射直後、在韓米軍への高高度防衛ミサイル(THAAD<サード>)配備を電撃的に発表したが、政策決定過程における手続き上の問題と敷地の選定、費用負担などをめぐり、激しい議論が予想される。

 韓米は「在韓米軍のTHAAD配備に関する韓米共同発表文」を出し、「北朝鮮の脅威に対応するために、在韓米軍のTHAAD配備の可能性に関する公式協議の開始を、韓米同盟として決めた」と明らかにした。韓米はまた、公式協議の目的について、「できる限り速やかに朝鮮半島へのTHAAD配備と作戦遂行の可能性を共同で模索することにある」と発表した。「配備の可能性を協議する」としているが、配備を既定事実化したのだ。韓米は中国の反発を意識し「THAADシステムが朝鮮半島に配備されると、北朝鮮に対してのみ運用されるだろう」としたが、中国はすぐにキム・ジャンス駐中大使を招致するなど、強力に抗議した。

 政府が「米国の要請も、協議もなく、決定も下していない」として、いわゆる「3 NO」の原則を堅持してきたことからすると、今回の決定は非常に電撃的である。政府は先月28日、米紙ウォールストリート・ジャーナルが「韓米両国がTHAADについて交渉している」と報じた時も、「事実ではない」と否定した。国防部当局者は、「今月2日、米国の協議要請を受け、政府内部の議論を経て、7日に発表することになった」と述べた。

国防部「2日、米国から協議要請」 
中国の反発を意識し「対北朝鮮用」強調したにもかかわらず 
中国、直ちにキム・ジャンス駐中大使呼び抗議 

韓米の費用分担など、難題山積 
レーダー周辺5.5キロメートル内の電磁波の危険 
平沢、大邱など候補地で 
住民移住の場合は「第2の大秋里」になる恐れも
 

朝鮮半島における米軍のTHAAD配備の候補地//ハンギョレ新聞社

 THAAD配備の議論は、中国を対北朝鮮制裁に参加させるための“圧迫策”としての性格が強かった。しかし、今月5日、朴槿恵(パククネ)大統領と習近平・中国国家主席の電話会談で、習主席が「対話を通じた解決」を強調し、立場の違いを再確認したことを受け、中国が負担に思うTHAAD配備を電撃的に決定したものと見られる。しかし、北朝鮮の核・ミサイル局面を利用し、「難題」だったTHAAD配備を貫こうとする政治的計算が働いたのではないかという指摘もある。また、外交的波紋を呼ぶような問題を、公論化を無視して密室で突然決定したことに対する手続き上の問題を提起する声もある。

 韓米は近いうちに国防部局長級が参加する共同実務団を構成し、THAAD配備に向けた敷地選定、運営方法などを協議する予定だ。THAADは軍用輸送機に乗せて、世界中のどこでも24時間以内に移動できる兵器システムだ。したがって、韓米間で合意されると、速いスピードで配備される可能性もある。実際、AFP通信は米国防総省当局者を引用して、「THAAD配備の決定後、1〜2週間あれば、配備できる」と報じた。

 しかし、THAADの配備までは、(解決すべき)先行課題が少なくない。まず、費用負担が問題だ。国防部当局者は「在韓米軍地位協定(SOFA)の規定に照らして協議を行う方針」と述べた。SOFAの規定を援用すると、THAADを持ち込んで運営する費用は、米軍が負担すべきであり、韓国は敷地と基盤施設を提供することになる。しかし、米軍の戦略兵器が導入されるだけに、防衛費分担金の引き上げ交渉など、追加負担圧迫が大きくなるとの見通しも示されている。

 さらに大きな問題は、THAADをどこに配備するかだ。米陸軍の技術教範によると、THAADのレーダーであるAN / TPY2の危険半径は130度の範囲で最大5.5キロメートルに達する。この範囲内には、航空機と電子機器、航空機のパイロットや整備人員などの立ち入りが制限される。電磁波の危険にさらされる可能性があるからだ。これについて国防部当局者は「THAADのレーダー周辺の電磁波レベルは、国内法と世界保健機関(WHO)の安全基準を満たしていると聞いている。発電機も緊急の場合に限り利用し、普段は商業電気を使えば、騒音問題も起きない」と述べた。

 しかし、THAADの敷地としての条件を満足させるだけの場所は多くない。候補地としては、平沢(ピョンテク)と大邱(テグ)、原州(ウォンジュ)、倭館(ウェグァン)、群山(クンサン)が挙げられる。しかし、ほとんど都市化が進み、広い開豁地があまりない。ただでさえTHAAD配備に地域住民が反発する可能性が高いのに、THAAD配備のため住民を移住させなければならない場合、「第2の大秋里(テチュリ)」になりかねない。実際、2014年10月、日本の経ヶ岬基地にTHAADレーダーが配備される際、住民が電磁波による健康や環境被害を懸念し、反対運動を行った。当時、日本政府は、地方自治体である京丹後市に10年間で30億円の米軍基地再編交付金の支給を約束した。

パク・ビョンス先任記者、チェ・ヒェジョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2016-02-10 19:25

https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/729782.html 訳H.J

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