登録 : 2016.02.03 01:06 修正 : 2016.03.12 08:36

 高高度防衛ミサイル(THAAD<サード>)の配備が公論化段階に入ったようだ。北朝鮮の核ミサイルを空中で迎撃するための防御策の一環として、THAADを導入すべきだという主張が政府周辺で力を増している。しかし、私たち(韓国)は「THAAD」という木だけを見ている間に、「ミサイル防衛(MD)」システムと呼ばれる森が見えなくなっているのではないか心配だ。しかも「THAAD以降の韓国」を誰も想像していないようだ。

 米国のMDシステムは、敵のミサイルを空中で迎撃する複合ネットワークだ。探知から迎撃、反撃まで、地上と海上そして海底と宇宙から立体的に構成された、米国覇権のアイコンだ。MDは「敵のミサイルを迎撃しなければならない」という信念体系を具現するためのハードウェアとソフトウェアが進化して拡大されていく有機体だ。この有機体は、人工衛星や各種レーダーで構成された探知システムと呼ばれる触手が細かい網で構成されている。THAADはパトリオットPAC3、イージスミサイル防衛システム、前方センサー、指揮統制戦闘管理通信(C2BMC)と連動されている、ミサイル防衛システムの核心要素だ。つまり、THAADはMDの構成要素であって、独立した兵器体系ではない。THAADはMDだ。

 韓米日軍事協力の中核が「ミサイル防衛システムの構築」だと信じている米国は、北朝鮮の4回目の核実験以降、北朝鮮を交渉に導くための制裁ではなく、北朝鮮の息の根を止めるための制裁に向けて、中国を圧迫している。それと同時に韓国にはTHAAD配備を突きつけた。THAAD配備で韓国を日米同盟に編入させることができるからだ。米国の戦略的忍耐政策が放棄した北朝鮮の核能力は、北東アジアでMD網を拡大する絶好の機会だ。韓国国内のTHAADは日本のMD網と連携し、韓米同盟と日米同盟が連動されている韓米日3カ国軍事協力のつなぎ目だ。韓国がMDに参加すると、韓米日同盟が中国牽制のための同盟ネットワークに転換されることになる。最終的にはTHAAD配備は放棄された北朝鮮の核を口実に、中国を包囲する反中国同盟に韓国をその一員として引き込む、米国の東アジア均衡戦略の完成だ。

 中国は、米国の空母が中国近海に接近することを防止するための手段として、空母キラーミサイルなどを活用する。これをアクセス拒否戦略(A2 / AD:Anti-Access、Area Denial)という。中国にとって韓国のTHAAD配備は、米国MDの主な触手が中国の喉元まで迫ってくることを意味する。中国は、私たちがいくら「北朝鮮の核ミサイルから守るためにTHAADを配備する」と叫んだところで、「東アジアの再均衡戦略は中国を牽制するためのものではない」という米国の主張のように、たわごとに聞こえるだろう。中国にとって韓国のTHAAD配備は、米国の攻撃的な対中国封じ込め戦略に見えるだけだ。中国は、北朝鮮の非核化のための実効的政策よりも、北朝鮮の4回目の核実験をMD拡大に活用する米国と協力する韓国を非難せざるを得ない。

チェ・ジョンゴン延世大学政治外交学科教授//ハンギョレ新聞社
 THAADが北朝鮮だけをねらったものではないことは、工学と安全保障学、そして国際政治学的事実だ。そのTHAADは中国にも狙いを定めることになるだろう。しかし、世界の“安保狂たち”は、THAAD配備を同盟の名で支持する。彼らはTHAAD配備が米国と中国という超大国による国際政治の冷酷なコロシアムの中に韓国を押し込む結果になることを知らない。そのコロシアムの中には、北朝鮮の平和的非核化という国益も、統一という熱望もない。

 THAADを導入したいなら、するが良い。(その代わり)政府は、朝鮮半島信頼プロセス、ユーラシアイニシアチブ、北東アジア平和協力構想だけでなく、6カ国協議も放棄しなければならない。今後、中国との外交的協力も中止せざるを得ない。子供たちが朝鮮半島の平和の重要性と中国が提供する経済・社会的機会を夢にも思わないように伝えるしかない。周辺国との協力外交よりも軍事同盟の重要性だけを国定教科書に記述してもらおう。これがTHAAD以降、韓国の姿になるだろう。

チェ・ジョンゴン延世大学政治外交学科教授(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-02-02 20:42

http://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/729071.html訳H.J

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